聖地巡礼? パリの音楽博物館 Musee de la musique でチェンバロを見よう!
Bonjour, comment allez-vous ?
れいね先生オススメのMusee de la musique (ミュゼ・ドゥ・ラ・ミュズィック)は1997年にパリに出来た比較的新しい博物館です。
日本語にすると『音楽博物館』
まだ新しいのに、こんな唯一無二の名前が付いているということで、益々期待が膨らみます。
ずっと行きたかったのですが、ちょいと飛行機で12時間となると、中々都合がつきません。 先日、やっと、チェンバロを習ってから初めてのパリ行きが実現しました。
到着の次の日は特に予定がなかったので、念願のMusee de la musique へ。
早速メトロに乗って、といきたいところですが
その前に、アレを買わなくては。
次にパリに来たら買おうと思ってたもの
そう、パリのSuica、Navigo
です。
買うと決めていても下調べが出来ていないのはいつものこと。 きっとメトロの窓口で売ってますよね。
"Est-ce que je peux acheter un Navigo Decouverte ici ?" (ここで、Navigo を買えますか?)
"Bien sur !" (もちろんよ)
やったね。これで1週間26.25ユーロで、パリ市内とおまけに郊外も電車にバスに乗り放題!!
さあ、メトロに乗ろうと思ったら、窓口のお姉さんに止められました。
"Attendez ! Il faut la photo avant."
(乗る前に写真を貼らなきゃダメよ)
その辺は、Navigo の前身カルト・オランジュと同じシステムなのですね。
すぐそばにある Photomaton® (フォトマトン)で写真を撮って、さっきのお姉さんのところに持っていくと、雑な感じに切ってNavigoに貼ってくれました。 ちょっ、写真の枠からはみ出てるよ!
カルト・オランジュを買った時の記憶が蘇ります。 あれもかなり適当な感じに貼られたなぁ。
ちなみに、Photomaton® は日本で言うスピード写真で撮影料金は5ユーロでした。 高くはないけど、いまどきデジカメならタダで…
べらんめえ、こちとら江戸っ子でえ(ウソです)
そんな細かいことは気にしねえぜ。
しかも、パリのエスプリを感じる素敵な証明写真があと4枚も残ってらあ。
さあ、今度こそ、行きましょう。
ビュン!
Navigo をかざすと、何と表現すればいいかよくわからない近未来な音がします。
この音はぜひパリで確認してみてください。 初めてSuicaで改札を通った時のようなワクワク感が湧き上がること間違いありません。
さて、音楽博物館はパリの19区の端の方にあります。 最寄り駅はメトロ5号線のPorte de Pantin駅。 2回乗り換えて到着しました。
私にとっては初めて降りる駅です。ドキドキ。
わあ、音符!!
駅を降りるとホームの壁には五線譜が描かれていました。
Musee de la musique は Cite de la musique (シテ・ドゥ・ラ・ミュズィック)の中にあります。 Cite は都市という意味なので、ここは『音楽の都市』の最寄り駅ってことになります。
コンサートホールなどもあって、すぐ近くには Conservatoire nationale superieure de musique et danse de Paris(コンセルヴァトワール=パリ国立高等音楽・舞踏学校)があります。
さて、改札を出たものの、駅からの行き方がよくわかりません。 と、言うのも地図を見ても、まとめてシテの場所がドーンと書いてあるので、博物館の具体的な場所がどこかよくわからないのです。
3月中旬にしては寒いパリの街を少しキョロキョロ歩き回ってみました。 それらしき建物は1つしかなさそうです。 ここの入り口で聞いてみることにしましょう。
“Ou est la musee de la musique ?”
(音楽博物館はどこにありますか?)
“Ici."(ここだよ)
(写真を見直すと、右側のプレートに書いてありそうな…。)
パリの荷物検査は以前より厳しくなったように思います。 美術館などでバッグの中身を見せるのは以前からでしたが、結構覗き込まれ、ボディチェックもあります。 でも、安全のためなので仕方ありません。
怪しいものは持っていませんので、程なく中に入れました。
まずはチケットを買います。大人1枚7ユーロです。
左手に進んでと言われたので見るといきなりおみやげやさん。日本だとぐるっと一周回って元のところが出口兼おみやげやさんっていうのはよくあるけど、出会い頭におみやげやさんってのは結構斬新な造りですね。
おみやげはとりあえずスルーしましょう。右手奥にクロークが見えますが預けたいものはありません。受付に進んでお姉さんにチケットを見せます。
“Vous parlez le français ?”
(フランス語は話せますか?)
“Oui, mais un peu.”
(少しなら)
“Est-ce que ca vous convient en français ?”
(これはフランス語で大丈夫?)
あ、音声ガイドを貸してくれるんですね。 別料金の設定ではないようです。
“Il n'y a aucune probleme.”
(フランス語で問題ないです)
“Vous venez d'ou ?”
(どちらからお越しですか?)
“Je viens du Japon. ”
(日本からです)
“・・・”
(・・・)
極東の島国 Japonには特に思い入れがなかったのか、そのまま操作方法の説明に入りました。
音声ガイドの操作は簡単で、使い方はすぐわかりました。
お礼して、展示フロアに入ると、
いきなりチェンバロ!!!
わお。テンションマックス!!
と、いうのは勘違いで、
入ってすぐのフロアは17世紀の間。 年代順に配置されると、チェンバロは当然初めの方になります。
館内を見ているうちに、先ほど渡された音声ガイドが大活躍していることに気がつきました。
よく美術館で貸してくれる音声ガイドは、書かれている番号を押すと、その絵の背景やその絵を描いた画家についての説明があるのだと思います。
この音声ガイドもその楽器にまつわる歴史を聞けるのは勿論のこと、その楽器で録音された演奏を聴くことができるのです。
どんな楽器かを知るにはビジュアルだけじゃなく、耳から入る音の情報があってこそ。
更に、館内の要所には小型のディスプレイが配置され、そこで動画を再生しています。 この動画の音声はこのガイド端末で聞くことが出来ます。
普通、音の出る解説動画を流すとなると、他のお客さんへの影響も考えて、壁で仕切るなどするものですが、この方法ですと、あちこちで解説動画を流すことが出来ますね。
音声ガイドが必ず手渡される理由がわかりました。
あとは、点字が用意されているのも楽器の博物館ならではでしょうか。
楽器の形状や演奏方法も指で触れてわかるようになっています。
次のフロアは18世紀。
18世紀と言えば豪華なフレンチチェンバロの時代。 華やかな楽器が展示されています。
こんな煌びやかな楽器が似合うのは、やっぱりマリー・アントワネット?
さすが、フランス。ラモーがピックアップされています。
そして、18世紀の後半、ピアノが台頭してきます。
いわゆるフォルテピアノです。
でもここでは Piano a queue(グランドピアノ)と書かれていただけで、特にモダンピアノとの区別はされていませんでした。
音の強弱がつくもの同士だからか、何故かクラヴィコードも同じあたりに置いてありました。
この18世紀のフロアにはステージがあります。 毎日ここでミニコンサートをやっているようです。
この日はクラリネット奏者が、クラリネットの他に古楽のリコーダーなども色々演奏していました。 また、演奏だけでなく管楽器の歴史もお話されていました。ちょっとした音楽史の講義みたいですね。
後ろのチェンバロらしきものが気になったのですが、残念ながらこちらが演奏されることはありませんでした。 このコンサートは数日で違うものに変わるようなので、いつかこの楽器の音色と出会える日が来るかもしれません。
次のフロアは19世紀。音楽で言うとロマン派の時代です。
チェンバロも終わっちゃたし、長いこと演奏を聴いていたのもあって、このフロアは軽めに流しました。
なので、写真も流しました。テヘペロ (・ω≦)
そして20世紀のフロアです。
そこには、ちょっと眼が覚めるようなものが置いてありました。
まず、テルミンがきて、
去年オンドについて少し学んだので、何だか感慨深いです。 原田さんが演奏した楽器とは少し雰囲気が違います。
その先には録音ブースのような場所にミキサーが展示されていて、現在に繋がります。
音楽の時間旅行はここでおしまい。
平日の昼間だったせいか、混み過ぎず、かといって誰もいないわけでもなく、居心地のよい空間でした。
この日比較的多かった来館者は、小学生の課外授業のような少人数の団体でした。
子供たちはフロアに直に座って先生の話を聞いています。 質問したり、ふざけたり、楽しそうでした。 私も子供の頃にこういう体験をしたかったなあ。
この博物館には、鍵盤楽器の他にヴァイオリンやフルートなどたくさんの楽器が展示されています。 メトロノームなど楽器周辺の小物や世界の民族楽器もあります。 チェンバロ以外にも装飾に凝った楽器が色々と置いてあり、音を鳴らす前から芸術作品です。
ぜひ、パリを訪れた際は立ち寄ってみてください。
MUSEE DE LA MUSIQUE
221 avenue Jean Jaures 75019 Paris
Metro : Porte de Pantin
休館 : 月曜
次回のチェンバロの果実♪もパリ編をお届け予定です。
フランス語のアクサン等につきましては、文字化け防止のため省略しています。
merci de votre visite.
ecrit par coquemomo
【2016/02 音楽とねことケーキ(おさらい会+お茶会)@及川邸チェンバロルーム】
心地よい音楽に包まれて、気まぐれなねこと戯れて、美味しいケーキがあったら、夢みたいだと思いませんか?
そんなうたかたのひととき、おさらい会に参加して参りました。
会場を借りて行うカチッとした発表会も悪くないけれど、
バロック時代の人たちは、こうやって誰かのところに集まって自由に音楽を楽しんだのではないかなと、そんな風に思います。
冬の間は頼まれたシュトーレン製作で時間がないというパティシエールなオンディーヌちゃんが、今日はガトーショコラを焼いてきてくれました。
しっとりしていて、ショコラのほろ苦さと甘さの加減が絶妙で、いくらでも食べたい!
さ・ら・に! れいね先生が用意してくれたグラニースミスのアップルパイ。
薫子さんと表参道のお店に行ったことがありますが、先生は世田谷のお店によく行くそう。
アップルパイだけのお店ですが、定番アップルパイも数種類あって、期間限定アップルパイも見逃せません。
チェンバロルームはこんな感じ。
被写体は現役アイドル、茜あいちゃん(*^^*)
かわいいと何やっても映える〜!!
もちろん、私もちゃんと弾きましたよ。
My Set List
(duo Rose feat. Reine)
バッハ:2台のチェンバロのための協奏曲 第3番 ハ短調 BWV 1062 第3楽章
J.S.Bach : Konzert fur zwei Cembali, Streicher und Basso Continuo c-moll, BWV1062
(solo)
モーツァルト:トルコ行進曲(ピアノソナタ第11番 第3楽章)
W.A.Mozart : Klaviersonate A-dur, KV 331
あ、両方とも3楽章(^^;;
夢の時間はあっという間に過ぎ去ります。 名残惜しい空気を柔らかく包みこむように、素敵なおみやげが配られました。 情感溢れる演奏をしてくれたかすみさんからです。 いつも優しい心遣いをありがとうございます。
参加されたみなさま、来年(予定)の発表会で、またお会いしましょうね!
thanks for coming by.
written by coquemomo
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〜はじめての3台チェンバロ〜 チェンバロ レッスン.:*・゜゜201602 **・゜゜
「今日はチェンバロ3台出しておきました。 でも、これだと狭くて、おさらい会はキツキツかも(^^;;」
え? と、れいね先生の言葉に、薫子さんと私は驚きの表情で顔を見合わせました。
そして、『ガラスの仮面』ばりにキラキラ輝く瞳で、突然の喜びを分かち合ったのでした。
はじめての3台クラヴィーアから3ヶ月。
何と、はじめての3台チェンバロの実現と相成りました。
残念ながら、3台クラヴィーアの時と同様、3台を楽しむ余裕はなかったわけですが、それでも、物事が好い方へ向かっているという感覚それ自体が、今後の加速につながります、きっと。
さて、今日のレッスンは、今までのデュオ・ローズのレッスンの中でも、最もデュオらしいレッスンとなりました。
つまり、アンサンブルの要、合わせることの難しさとトコトン向き合うレッスンとなったわけです。
合わせるって言っても、全部の音がピッタリ合うわけではありません。
そこまで合わせようとしたら、メトロノームと合わせるように機械的になってしまいます。
だから、音楽であるためには合わせない音もあって、でも合ってる感じを失ってはいけません。
ほんの一瞬、ここはやるぞっていう気持ちが一致するとすごくよくなります。
相手がメロディを受け持っているときに引き立たせることが出来るとガラッと曲が際立ってきます。
でも、そんなゆとりがないことの方が多くて、途中でついていけなくなってしまうこともしばしば。
2台チェンバロは2台4手の世界です。 2台あることで、連弾(1台4手)では出来ないような動きが可能になります。 4手それぞれが独立した旋律を奏でたり、ユニゾンになったり、色々なカラーが生まれます。
そこが魅力なのですが、綺麗な薔薇には棘があるんですよ。
ソロでつっかえたときは、誤魔化して進むか、止まって再開するか、とにかく自分のペースで弾き始めます。
でもね、デュオで自分だけ失敗しても曲は進みます。
流れている曲に合わせて弾き始めればいいだけですが、速い曲でしかもアウフタクトな曲だと、もう一度入るのはかなり困難!! そもそも、失敗してるくらいなのに。
テレビゲームで、いい感じにボスと戦ってたけど、1機死んだら、身ぐるみ剥がされた状態でボス戦再開みたいな。
そこから先はあれよあれよと残機がなくなり……
GAME OVER
キャー ((((;゚Д゚)))))))
今日は薫子さんにいっぱい迷惑を掛けてしまいました。
結局ここは自主練タイムに一小節ずつ合わせてもらうことにしました。
一小節ごとに止まって確認して、納得いかなければもう一度合わせてみます。 繰り返すうちにピタリとハマってきます。 ハマるとたった一小節でも美しく感じられます。
調弦がピタリと決まったときの昂揚感と似た感覚。
ちょっとずつですが、何かが摑めてきました。
先生のレッスンを受けて自主レッスンをして、もうグッタリです。 来たときの『ガラスの仮面』の瞳は、どこにいってしまったのでしょう。
帰りがけに先生からは甘いお言葉が…
「疲れてると思うのでカロリー摂ってくださいね ♫」
リーズナブルなランチを求めて電車で移動するも、多くのお店でランチタイムは終了していました。ガーン。
少ない選択肢からのランチ(デザート付き)でカロリー補給するも、いつになく寝てしまいそうで。
でも、とっても楽しかったです。
次は3台チェンバロ、満喫しますよ!
thanks for coming by.
written by coquemomo
〜アウフタクト再び〜 チェンバロ レッスン.:*・゜゜201601 **・゜゜
3歳の時点で身につけられていなかったことは、大人になってもそうそう簡単に出来るものではなくて、
「こけももちゃんは音感は抜群だけど、リズム感が(なさすぎ)ね…」
三つ子の魂百までってこういうときには使えるのでしたっけ?
それはともかく、3歳までのリズミカルなエクスペリエンスが足らなかったらしく、リズム感が欠如した大人になってしまいました。
あ、れいね先生からデュオ・ローズにLINEが来ました。
おさらい会は2月でお願いします。
とりいそぎ
なんかの暗号みたい。
わお。時間ない。( j・ω・)
おさらい会って一般的にはあまり使われないことばでしょうか。
ピアノやバレエとか習ってた子は、使っていたような。
ざっくり言うと小規模な発表会で、でも特にこれがおさらい会という定義はありません。
れいね先生は会場を借りるときは発表会、先生の自宅でやるときはおさらい会という言葉を使います。
デュオ・ローズの片割れ薫子さんと短いやり取りをして、1月は別々に2月は一緒にレッスンを受けることにしました。
なぜに時の流れは容赦がないのでしょう。あっという間に1月のレッスンの日が来てしまいました。
「じゃあ、もう一度最初から丁寧に見ていきましょう」
という笑顔のれいね先生が鬼の形相になったのは3秒後。
2拍目の音で止められました。
最短記録更新かも?
「相手を追いかけるので、合わせる形になるけど、1拍目は8分休符、つまり弱拍になるので、弱拍の16分音符♬ではなく、2拍目に当たる音に重さを置いて、そこがバシッと合う感じで。 アウフタクト、装飾みたいに」
が、何も活かせてない( ̄◇ ̄;)
そもそも、これがアウフタクトであることに気がついていませんでした。
言われればわかるのに、気がつけない。
今度から楽譜を初めて見るときに、アウフタクトかどうか、あえて意識することを誓います。
「じゃあ、もう1回」
リズムを刻んで、こんな感じかな。
「そう! いいですね」
もらいました、れいね先生の菩薩のような笑顔!
「あとは、もうちょっと楽に弾けそうな気がするので、頑張らないで」
頑張らないって結構難しいのですが、幾つかのポイントを教えて頂きました。
・拍を刻むところ以外は軽く
・音が上がっていくところは指だけで弾くと固くなってしまうので、下から上に手首の回転を使って
・1拍目が終わりでも始まりでもあるところは駆け込んでしまいがちだけど一呼吸待って
・低い音だからといって全部5の指で弾かないで4•3を重ねて重量感を出して
デュオのレッスンまでにどこまでもっていけるかなあ。
それにしても、リズム感が欲しい。
ちなみに、全然身に付かないリズム感とは対照的に、音感の方はドンドン錆びついていったのですが、この話は絶対音感の話と合わせてまたの機会に。
thanks for coming by.
written by coquemomo
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みんな気になるチェンバロの値段の話
あけましておめでとうございます♪( ´▽`)
……と言うのも憚れる時期になってしまいましたが、
今年最初の更新です。
1月ももう終わりですね。 暖冬で冬物が売れないと嘆いていたところから一転、急に寒くなりました。
長崎市では観測史上最多の16センチの積雪、奄美大島では115年ぶりの降雪、こけももさんも寒さによるのど風邪を引く(今シーズン二度目ですが…)など寒い話題でもちきりです。
そんな大寒波にちなんで(?)
今日は懐が凍えるチェンバロの値段の話を。
ストーブに火を灯して、お付き合いくださいませ。
チェンバロがどんなものかわかってもらえると次に気になるのが、
「幾らぐらいするものなの?」
結構この質問は多いんです。
何でもそうかもしれませんが、楽器の値段も上は天井知らずです。
高い楽器と言えば、ヴァイオリンのストラディバリウス(ストラド)が有名ですね。 ストラドは、アントニオ・ストラディバリさんが製作したヴァイオリンのこと。 安くても数千万円、億を下らないものもたくさんあります。
ストラディバリが生きたのは17世紀から18世紀、この時期はチェンバロの最盛期と重なります。
では、チェンバロもストラドのような名器がたくさんあるかって言うと、残念ながらそうではありません。 ピアノの台頭と共に廃れてしまったチェンバロはそれほど数が残っていません。
大きいし邪魔だし要らないし、となれば処分されてしまいます。
きっと当時の良家の姫君も
「さっさとピアノをよこしなさい。 チェンバロなんか燃やしておしまい。」
と、言ったことでしょう。
ああ、もったいない。
美術館や博物館に残っている17〜18世紀のチェンバロは、装飾も華やかで美術品としての価値も高いですが、 市場に出回るものでないため、価格をつけることにあまり意味はないでしょう。
と・こ・ろ・で、自動車って幾らくらいしますか?
何を突然と言われてしまいそうですが、そう言わずに。
新車で軽自動車クラスだと100万円、普通のセダンなら300万円くらいが基準でしょうか。
それより安くてリーズナブルなのももちろんあります。
高機能高性能だったり、ラグジュアリーなソファだったり、優れたデザインだったりと、オプションがつくことによって、どんどん値段は上がっていきます。
新しいものは高いし、中古市場も充実していて、外車は総じて高いですね。
では次に、ピアノって幾らくらいでしょうか?
かなりザックリ言うなら、ヤマハやカワイなど国産のアップライトピアノで100万円くらい、グランドピアノで300万円くらいかと思います。
スタインウェイやベヒシュタインなど海外メーカーのものだともっと高くなります。
でも、じゃあ100万円ないとピアノを始められないの?って言うと、そんなことはありません。
安価なモデルを探せば70万円台でもありますし、中古市場も活気があります。
自動車はピアノより陳腐化が早く、買い替えの頻度が高いですが、 同じくらいの感覚で捉えることが出来そうです。
では、チェンバロの金額ですが、幾らくらいするかって言うと、小型のもので100万円くらい、大型のものだと300万円くらいを目安にするといいかなと思います。
あれ? また同じような数字になってしまいました。 覚えやすくてラッキー。
もう少しチェンバロについて見ていきましょう。
小型チェンバロと言うと、スピネットやヴァージナル。
◆ スピネット https://fr.wikipedia.org/wiki/Épinette_(instrument_de_musique)#/media/File:Epinette_Rouaud.JPG © 2005 Rouaud
◆ ヴァージナル https://fr.wikipedia.org/wiki/Clavecin#/media/File:Virginal.jpg
アップライトピアノは壁と平行に弦を張ることで省スペース化を図っていますが、スピネットやヴァージナルは普通のチェンバロと同じように床に対して平行に弦を張ります。
でも、鍵盤に対してまっすぐ張るのではなく、斜めに張ることによって小型化を実現しています。 弦の本数は、鍵盤の数と同じで、大体40〜60本くらいです。予算は100万円を見込んでください。
次に一段チェンバロになると、グランドピアノのような形、言い換えると一般的なチェンバロの形になります。 通常一段チェンバロには一つの鍵盤に二本の弦が張ってあります。 これを二列といいます。
レジスターを切り替えて、一本だけ鳴らしたり、二本同時に鳴らしたりできます。 鍵盤は50〜60鍵くらいなので、弦の本数は100本〜120本になります。 このクラスの楽器を買うときは200万円を目安にするとよいと思います。
そして、二段チェンバロ。 一般的にチェンバロと言って思い浮かべるのはこれですね。
上鍵盤には1つのキーに1つの弦、下鍵盤には2つの弦が割り当てられています。 また、下鍵盤を鳴らすと同時に上鍵盤の弦を鳴らすことの出来るカプラー装置がついていて、3つの弦を同時に鳴らすことも出来ます。
鍵盤は60×2で120個くらい、弦は60×3で180本くらいになります。ここまでくると300万円は用意しなくてはなりません。
大雑把な説明ですが、弦が増えると値段が上がるということがわかります。
受注生産が主のチェンバロはオプションも色々。 オプションをつければつけるほど当然値段が跳ね上がります。
響板に花や鳥を描いてもらったり、屋根の内側に風景を描いたりするのもオプションの一例です。 鍵盤の白黒反転もこう見えてオプションです。
最後に残念なことに、チェンバロを中古で買うのはなかなか困難です。 絶対数が少ないので仕方ないのですが、時々出てもあっという間に買い手が決まってしまいます。
ちなみに新品がいいかどうかっていうのはなかなか難しいところです。
弾き込むことによって楽器が安定してきますので、作り立ての時点では思うように鳴らなかったりします。 もちろんそれを育てていく楽しみもあります。
また、例えば「あれと同じもの」って頼んでも全く同じにならないのが楽器。 でも、その個性がまた魅力なのかもしれません。
thanks for coming by.
written by coquemomo
previous articles about harpsichord (Cembalo) ▼ lepetitclavecin.hatenablog.com
【2015/12/18 葉加瀬太郎 25th Anniversary Concert 「DELUXE」@NHKホール】
葉加瀬太郎のファンというわけではないのですが、毎年のようにコンサートに行っています。 誘われるがままに参加していたら、何故か年末の恒例行事のようになってしまいました。
私が最もよく聴きに行くアーティストは、もちろん、チェンバリストのれいね先生。 いつも素敵なれいね先生ですが、コンサートの時の佇まいが奏でる音と同じくらい格別に美しいのです。
その次によく行くアーティストが、ヴァイオリニストの葉加瀬太郎ということになります。
ハカセの代名詞といえば、『情熱大陸』
今回もコンサートののっけから、
「今年も情熱大陸は、アンコールでやります」
「アンコールは情熱大陸だけ」
「でもこの曲だけで15分はあるから」
「うち、ダンスは8分以上」
「ハカセンスは6色あるから休憩時間に買ってね」
(ハカセンスはダンス時間を楽しむジュリアナセンスのようなアイテムなんですが、すみません、私は買ったことありません…。)
などなど、情熱アピール!!
そんな、ハカセもアーティスト活動について悩んでいたある時期には、この曲なしのコンサートもありました。
でも、その迷いからふっきれ、生涯現役を決意し、それと同時にこの曲を求める観客の声に積極的になることを決めたようです。
今年はハカセのデビュー25周年記念ということで、大道具までもがいつもより「DELUXE」な感じでした。 更には追加公演であるNHKホールには、ゲストにMay J. を迎え、more DELUXE な内容です。
今日の見どころのひとつ、第1部の佳境に登場したゲストのMay J.が、観客の期待に応え、Let it Go を歌いました。
曲が進むに連れて、ハカセのヴァイオリンが対旋律を奏でます。
何だか、少し懐かしい感じがしてきました。
英語ヴァージョンだったせいもあり、聴いていくうちに益々その思いは強くなりました。
セリーヌとの曲、何てタイトルだったかなぁ…。
もう1曲May J.の曲を演って、第1部は終わりました。
そして、第2部の半ば頃、アンケートと“大人の事情”で決めたハカセベストテンという企画コーナーがあり、
第2位は、情熱大陸 でした。
2位がこの曲ということは、1位にはあの曲が来て、そして一緒にやるってコトなんだろうなぁ。
第1位 TO LOVE YOU MORE
Celine Dion - To Love You More (with Taro Hakase)
カナダの生んだ世界のディーバ セリーヌ・ディオン の代わりに、本日の歌姫 May J. が再び舞台に登場しました。
最初は静かに始まる曲ですが、次第にハカセの音色がMay J. の歌声に織りなす糸のように重なりあい、ヴォーカルとヴァイオリンの協奏曲のようになります。
あれ?
この曲はCDを持っていたので、かなり聴き込んでいました。 でも、当時の私はそんな風に感じることは出来ませんでした。
ヴァイオリンは他の楽器に比べれば一際目立つ存在だけれども、やっぱりヴォーカルがメインで聴こえてきたあの頃。
時を経て、聴く側の意識が変わると、同じ曲でも違って聴こえてくるのですね。
私にとってデュオ元年だった2015年にこの曲と再会したことは、何だか意味のあるようなことに思えました。
懐かしい曲を紐解くと、きっとそこには新しい出会いがあなた待っています。
時は巡り、繰り返す、ほんの少し形を変えて。
変わることの尊さ、変わらないものの気高さ。
thanks for coming by.
actually, this is the last article of 2015 (^^;;
and I wish you a happy new year !
written by coquemomo
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〜はじめての3台クラヴィーア〜 チェンバロ レッスン.:*・゜゜201512 **・゜゜
クラビーア(〈ドイツ〉Klavier)
チェンバロ・クラビコード・ピアノなど、鍵盤(けんばん)を有する弦楽器の総称。オルガンを含めていう場合もある。
目白で薫子さんと2台の自主練習をしました。
つ・い・に、第3楽章まで辿り着きました。
「12月はデュオでレッスン受けたいですね」
私たち2人と先生の予定を合わせるとなると意外と大変。 早速候補となる日を先生にLINEしてみると、
「その日は何時でも大丈夫です。私もオケ部分を見ておきます」
オケ部分!
デュオ・ローズが現在取り組んでいるのは2台のチェンバロのための協奏曲。 本来はバイオリンやチェロなどもある曲です。
「先生のチェンバロルームで3台で合わせるって可能ですか?」
「もちろんです。3楽章は参加しようかなと思いまして」
やったあ!
れいね先生がオケパートを弾いてくれるなんて!!!
もしかして、これは…
duo Rose feat. Reine
何か、アーティストっぽくなったゼ!
頑張ったら思いもよらない幸せが舞い込んできました。
しかし、それほど時間もなかったので、幸せに比例した上達は見られず今日を迎えてしまったのでした。
まずは、2台の演奏の指導から。
「3連符のところでどうしても早くなるので、そこは気持ちゆっくりめで。それから p (ピアノ) で。 その前後のティラリララのところが、グッと音が上がってくので、ここを f (フォルテ) にして」
気がつくと早くなってるなとは思ってたけど、3連符のところか。 3連符って難しい。
「あと、こけももさん。そこは薫子さんの音を聴いて合わせる感じで。合わなかったら、弾かなくてもいいくらいの気持ちで」
あ、ここ、そういうところだったのか。
この前の小節はユニゾンで下っていくところなのですが、この小節で、私は下がり続け、一方薫子さんはメロディを弾き始めます。
言われたことが身体でわかると、自分の役割もわかってきました。
自分の両手でもメロディを殺してしまうことがあるくらいなので、ちゃんと曲を読まなくては。
そして、はじめての3台の時間です。
先生の家にはフレンチとイタリアンと小型のものと3台のチェンバロがありますが、今回は小型のものは使用せず、ピアノを使用しました。
だから3台チェンバロではなく、3台クラヴィーアですね。
3台クラヴィーア、今日初めて使った言葉だけど、なんて贅沢な響きでしょう。
でも、せっかく3台になったのに不完全燃焼だったことは否めません。
自主練したものの、3楽章の2台でのレッスンは初めてでしたし、まだ楽しむ余裕がありませんでした。 だけど、あと少しで手が届く感じがしてきています。
来年、また3台クラヴィーア、やりましょうね!
それから、今日はもう一曲、何と数日前に用意した曲を合わせました。
私にとっては前代未聞の一大事です。 実力のある人には全然大したことない話ですが、私には初見は難しいのです。
クリスマスも近いし、クリスマスにちなんだ曲でもやりたいですねという流れになり、薫子さんから、
「金平糖の踊りは?」
という案が出ました。
金平糖の踊りはチャイコフスキーのくるみ割り人形の一曲。 くるみ割り人形はクリスマスのお話なのでピッタリです。さすが薫子さん。
チェレスタのソロが幻想的で独特の世界観があります。 金平糖の踊りはチェレスタを使った一番最初の曲なので、チャイコフスキーのチェレスタのイメージが余すところなくつめこまれているのだと思います。
2台ピアノ用のアレンジとオケのスコアを見つつ修正を加えました。
チェレスタは高音の楽器なので、チェンバロだと相当音を下げることになります。これが意外と厄介でした。 楽譜はト音記号なのに、弾いてるのはヘ音記号の領域だと何度も読み違えて大混乱です!
数日しか見れなかったので、最初合わせたときは笑いが込み上げるくらいでした。 でも、何回かやってるうちに少しずつ曲らしくなってきました。
よく聴く曲でも、自分で演奏すると、聴いていただけのときよりその曲の深みがわかってきます。 どんな曲かわかってくるとやるのが楽しくなってきます。
「この曲、チェンバロに合ってるので、レパートリーに加えましょう」
先生に提案いただいたこともあり、2台チェンバロ用の譜面を起こすことにしました。
きっと需要があるに違いないから1部1,000円で売ろう。 いくら儲かるかな。ψ(`∇´)ψ
誰モ買ワナイヨ。
New譜面を引っさげて、来年のクリスマスシーズンにはもっと素敵な金平糖の踊りをやりたいと思います。
さて、チェンバロの果実の更新はこれが今年最後になります。
みなさま、よいお年をお迎えくださいませ。 そして、来年も是非遊びに来てくださいね。
補足:クラヴィーアのこと
ドイツ語でピアノはクラヴィーアなので、現代ドイツ語では限定しなければ多くの場合ピアノを指します。 しかし、ドイツ以外ではピアノはピアノなので、クラヴィーアというと鍵盤または鍵盤楽器の総称となります。
thanks for coming by.
and I wish you a merry Chiristmas !
written by coquemomo
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