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チェンバロの果実 ♪

ピアノのようなかたちをした鍵盤楽器チェンバロ。にほんでいちばんやさしいチェンバロのあれこれ。

オンド・マルトノって何?

コンサート

ピアニストはピアノを弾く人。

チェンバリストチェンバロを弾く人。

じゃあ、オンディストは?

そう、オンド・マルトノを弾く人です。

本日の「チェンバロの果実 ♪」は、(私的)未開の鍵盤楽器オンド・マルトノについて。
にほんでいちばんやさしいオンド・マルトノのあれこれ。 をお届けします!

先日、 れいね先生のコンサート で再開したオンド・マルトノも習っているチェンバロ友だちに、オンド・マルトノのコンサートに連れて行ってもらうことになりました。

「今度、オンド・マルトノを聞きに行くことになったの」

「おんどまるとの?」

「そう、オンド・マルトノ

 オンドマルトノ

 おんどまるとの

 音頭 丸殿

 丸殿音頭??

「もう夏も随分前に終わってるけど盆踊りにいくの? それとも、マツケンサンバの新作?? サンバから音頭とは和風に帰ったねえ」

「違うよ! オンド・マルトノは、おフランス語ザマス。 オンドは電波、マルトノは人名。 マルトノさんが発明した電波を使った鍵盤楽器。」

「で、どんな楽器?」

「鍵盤がついてて、テルミンみたいな音がするんだけど・・・」

「それだけ?」

「うん。あんまりよく知らない。よく見てくるよ」

そんな私を知ってか知らずか、チェンバリスト兼オンディストの友だちからメールが届きました。

チェンバリスト兼オンディストの友だち・・・長いなあ、略してオンディーヌってことにしよう。

こけももさん、こんにちは。 オンドマルトノについて教えるって言ったけど、私だと不安なので、先輩オンディストにレクチャーしてもらおうかなあと。 って言うか、もう頼んじゃった。
じゃあ、コンサートの日の14時に池袋のラシーヌで。

唐突。でも、ありがたい!! しかし、教えてもらうとは言え、初対面の人に失礼すぎる知識量です。 もうちょっと予習しとかないと・・・。

確か、独眼竜政宗で使われてたと思うんだけど。

YouTube で発見しました。


独眼竜政宗 原田 節(ハラダ タカシ)Takashi Harada Ondes Martenot

懐かしい! でも、いまどきの若者には伝わらないのかな。

それから、イギリスのバンド、レディオヘッドにもオンド・マルトノを使用している曲があるようです。


Radiohead - Pyramid Song - YouTube

レディオヘッドのベストアルバムを聴いて過ごすことにしました。

予習、 カ ン ペ キ。

racines

池袋のラシーヌはビストロとブーランジェリーのお店。 パンマニアとしては、パンも食べたかったけど、この日は予約するために、アフタヌーンティーになりました。

まず、一杯目はロイヤルミルクティーを。 このへんの好みがオンディーヌちゃんと合っているようです。

先輩オンディストさんは、半端なく詳しくて、ブラタモリタモリさんを見ているようでした。 何を聞いても答えられるってすごいです。

初めてオンド・マルトノに興味を持ったのはインターネットが普及する前だそうで、当時は情報を集めるだけでも大変だったとか。

オンド・マルトノを発明したのはフランス人のモーリス・マルトノさん。 楽器なのに発明と言うことばが馴染むのは、例えば電球を発明したのはエジソンっていうのに近いからだと思われます。

オンド・マルトノ鍵盤楽器ですが、鍵盤がついてる部分だけでは完結しません。 この部分は本体と呼ばれますが、本体だけではダメなんですね。 見た目はオルガンみたいでいけそうなんですが。

多くの場合、電子キーボードは電源を入れると音が出ます。 一方、シンセサイザーはスピーカーを繋がないと音が出ません。 電子キーボードはスピーカーが本体についているからすぐに音が出るのです。

オンド・マルトノは本体にスピーカーがついていないため、スピーカーを繋ぐ必要があります。 それも市販のスピーカーではなく、専用の特殊なスピーカーです。

このスピーカーがオンド・マルトノの音の要になるので、ここの理解なくしてオンド・マルトノを知ったとは言えません。

「この写真見てください」

オンディスト先輩が見せてくれたのはオンド・マルトノの古い専門冊子。

オンド・マルトノが6台!!

オンド・マルトノ六重奏?

オンド・マルトノは単音楽器なんで、複数の音を同時に出したければ、複数オンド・マルトノを用意しなくてはならないのです」

鍵盤楽器なのに和音が出ないってある意味画期的すぎる!

では、パーツ別に見ていきましょう。

ondes martenot

https://fr.wikipedia.org/wiki/Ondes_Martenot#/media/File:Ondes_martenot.jpg

本体

本体は鍵盤がついています。 鍵盤はチェンバロと一緒でピアノより鍵盤が細め。 鍵盤の色はピアノと同じ。 ナチュラルキーが白、シャープキーが黒です。

鍵盤を弾いて音を出すことも出来ますが、鍵盤の前に「リボン」と呼ばれる一本の弦が張ってあり、その弦の先端についているバーグ(指輪)に指を入れて左右に移動させることにより、音の高さを変えることが出来ます。

オンドは単音しか出ないので、この「リボン奏法」が成り立つわけです。

そしてこの微妙な音の揺れがオンド・マルトノの特徴のひとつでもあります。 トロンボーンでスライドをビューンと動かしてあの特徴的な音を出せるのと同じようなイメージです。

音楽用語で言い換えると、ポルタメントとかビブラートが出来るというわけです。 ポルタメントは違う音に移る時に滑らかに徐々に変えること、ビブラートは一つの音の中で周期的に音を揺らすことを言います。

さて、通常は指輪は右手の人差し指に入れます。 音の高低を担当するのが右手です。

では、左手は?

その前にスピーカーを見ていきましょう。

プランシパル

1個目のスピーカーです。英語だとプリンシパル。 まず、最初にこのスピーカーが作られたようです。

見た目は普通のスピーカーですが、実は中にバネがついてます。この部分はレゾナンスと言います。 1つのスピーカーに、プランシパルとレゾナンスがのっています。

メタリック

銅鑼(ドラ)がついたスピーカーです。 このメタリックは1つでもいけますが、2つあることが多いそうです。

銅鑼が2個って、それだけでも持っていくのが大変そう・・・。

そして、銅鑼とスピーカーを組み合わせてしまおうという、マルトノ氏の発想に脱帽です。

パルム

弦が張ってあるスピーカーです。

「この弦はマンドリンの弦と同じものを使っています」

なるほど。見た目も何処となくマンドリン

マルトノさんもマンドリンにヒントを得てスピーカーにしてみたのかもしれませんね。

「へえ。じゃあ、弦が切れちゃったら、マンドリンの弦をくださいって買ってくればいいんだね」とオンディーヌちゃん。

オンド・マルトノの弦を売っているのは見たことありませんが、こうなるとチェンバロの弦より簡単に手に入るかもしれません。

ちなみに普通の弦楽器のように弾かれることはありません。 その弦自身が鳴らなくても、他の音に共鳴します。

本体のティロワール

さて、ここまで紹介した4つのスピーカー。これらを自在に操ることでオンド・マルトノ独特の音を奏でることができます。

ここで、ついに左手が登場します。

本体の左側にはティロワールと呼ばれる小箱のようなものがついています。

ティロワールはフランス語で引き出し。

ここにはトゥッシュと呼ばれるスイッチがついていて、トゥッシュの操作により音量をコントロールします。

左手は単なる音量の強弱だけではなく、どのスピーカーでどのくらいの音を出すか、そのボタン操作も担当します。

ティロワールは言ってみれば、ミキサーのようなものです。

単音しか出せないオンド・マルトノ。 でも、微妙な音の揺れやうねりまで表現できるヴォーカリストのような繊細さを持ち合わせています。

そこに、バネ、銅鑼、弦のついたスピーカーを、どのようにミキシングするか、ミキサーの能力もなければ務まりません。

「電子楽器でしょって言われると寂しいんだよね」 オンディストちゃんが言います。 「確かに電子だけど、ただの電子楽器とは違うの。こんなことが出来るのは、こんな音が出せるのは、オンド・マルトノだけなのに」

ちなみに、オンド・マルトノは現在受注販売。 お値段は1式150万円程度(為替レートの影響を受けます)となりますが、納期はわかりません。 しかも、もう昔のオンドは今では作れないとも言われてます。

さあ、これから、生のオンド・マルトノの音を堪能しに参ります!

オンド・マルトノ後編になる次回の記事もぜひご覧くださいませ。(後編はこちら→♪ です)

おまけ

オンド・マルトノがフランスの楽器だったので、フランス語がたくさん出てきました。せっかくなので、まとめておきましょう。

onde(オンド)(女性名詞)電波。通常、複数形で使う。ondes

ondiste(オンディスト)オンド・マルトノを弾く人

Maurice Martenot (モーリスマルトノ)音楽教育者。発明家。

ondes Martenot(オンドマルトノ)モーリス・マルトノが発明した電子鍵盤楽器

racine(ラシーヌ)(女性名詞)根

ruban(リュバン)(男性名詞)リボン

bague(バーグ)(女性名詞)指輪

principal(プランシパル)(形容詞)主要な

resonance(レゾナンス)(女性名詞)共鳴

metallique(メタリック)(形容詞)金属の

palme(パルム)(女性名詞)ヤシの葉

tiroir(ティロワール)(男性名詞)引き出し

touche(トゥッシュ)(女性名詞)ボタン、スイッチ

※resonanceとmetalliqueの2文字目のeはアクサン・テギュがつきます。

ちなみに、チェンバロはフランス語だとクラヴサンなので、チェンバリストはクラヴシニストです。

clavecin(クラヴサン)(男性名詞)チェンバロ

claveciniste(クラヴシニスト)チェンバロを弾く人



thanks for coming by.
written by coquemomo

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