〜はじめての3台チェンバロ〜 チェンバロ レッスン.:*・゜゜201602 **・゜゜
「今日はチェンバロ3台出しておきました。 でも、これだと狭くて、おさらい会はキツキツかも(^^;;」
え? と、れいね先生の言葉に、薫子さんと私は驚きの表情で顔を見合わせました。
そして、『ガラスの仮面』ばりにキラキラ輝く瞳で、突然の喜びを分かち合ったのでした。
はじめての3台クラヴィーアから3ヶ月。
何と、はじめての3台チェンバロの実現と相成りました。
残念ながら、3台クラヴィーアの時と同様、3台を楽しむ余裕はなかったわけですが、それでも、物事が好い方へ向かっているという感覚それ自体が、今後の加速につながります、きっと。
さて、今日のレッスンは、今までのデュオ・ローズのレッスンの中でも、最もデュオらしいレッスンとなりました。
つまり、アンサンブルの要、合わせることの難しさとトコトン向き合うレッスンとなったわけです。
合わせるって言っても、全部の音がピッタリ合うわけではありません。
そこまで合わせようとしたら、メトロノームと合わせるように機械的になってしまいます。
だから、音楽であるためには合わせない音もあって、でも合ってる感じを失ってはいけません。
ほんの一瞬、ここはやるぞっていう気持ちが一致するとすごくよくなります。
相手がメロディを受け持っているときに引き立たせることが出来るとガラッと曲が際立ってきます。
でも、そんなゆとりがないことの方が多くて、途中でついていけなくなってしまうこともしばしば。
2台チェンバロは2台4手の世界です。 2台あることで、連弾(1台4手)では出来ないような動きが可能になります。 4手それぞれが独立した旋律を奏でたり、ユニゾンになったり、色々なカラーが生まれます。
そこが魅力なのですが、綺麗な薔薇には棘があるんですよ。
ソロでつっかえたときは、誤魔化して進むか、止まって再開するか、とにかく自分のペースで弾き始めます。
でもね、デュオで自分だけ失敗しても曲は進みます。
流れている曲に合わせて弾き始めればいいだけですが、速い曲でしかもアウフタクトな曲だと、もう一度入るのはかなり困難!! そもそも、失敗してるくらいなのに。
テレビゲームで、いい感じにボスと戦ってたけど、1機死んだら、身ぐるみ剥がされた状態でボス戦再開みたいな。
そこから先はあれよあれよと残機がなくなり……
GAME OVER
キャー ((((;゚Д゚)))))))
今日は薫子さんにいっぱい迷惑を掛けてしまいました。
結局ここは自主練タイムに一小節ずつ合わせてもらうことにしました。
一小節ごとに止まって確認して、納得いかなければもう一度合わせてみます。 繰り返すうちにピタリとハマってきます。 ハマるとたった一小節でも美しく感じられます。
調弦がピタリと決まったときの昂揚感と似た感覚。
ちょっとずつですが、何かが摑めてきました。
先生のレッスンを受けて自主レッスンをして、もうグッタリです。 来たときの『ガラスの仮面』の瞳は、どこにいってしまったのでしょう。
帰りがけに先生からは甘いお言葉が…
「疲れてると思うのでカロリー摂ってくださいね ♫」
リーズナブルなランチを求めて電車で移動するも、多くのお店でランチタイムは終了していました。ガーン。
少ない選択肢からのランチ(デザート付き)でカロリー補給するも、いつになく寝てしまいそうで。
でも、とっても楽しかったです。
次は3台チェンバロ、満喫しますよ!
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〜アウフタクト再び〜 チェンバロ レッスン.:*・゜゜201601 **・゜゜
3歳の時点で身につけられていなかったことは、大人になってもそうそう簡単に出来るものではなくて、
「こけももちゃんは音感は抜群だけど、リズム感が(なさすぎ)ね…」
三つ子の魂百までってこういうときには使えるのでしたっけ?
それはともかく、3歳までのリズミカルなエクスペリエンスが足らなかったらしく、リズム感が欠如した大人になってしまいました。
あ、れいね先生からデュオ・ローズにLINEが来ました。
おさらい会は2月でお願いします。
とりいそぎ
なんかの暗号みたい。
わお。時間ない。( j・ω・)
おさらい会って一般的にはあまり使われないことばでしょうか。
ピアノやバレエとか習ってた子は、使っていたような。
ざっくり言うと小規模な発表会で、でも特にこれがおさらい会という定義はありません。
れいね先生は会場を借りるときは発表会、先生の自宅でやるときはおさらい会という言葉を使います。
デュオ・ローズの片割れ薫子さんと短いやり取りをして、1月は別々に2月は一緒にレッスンを受けることにしました。
なぜに時の流れは容赦がないのでしょう。あっという間に1月のレッスンの日が来てしまいました。
「じゃあ、もう一度最初から丁寧に見ていきましょう」
という笑顔のれいね先生が鬼の形相になったのは3秒後。
2拍目の音で止められました。
最短記録更新かも?
「相手を追いかけるので、合わせる形になるけど、1拍目は8分休符、つまり弱拍になるので、弱拍の16分音符♬ではなく、2拍目に当たる音に重さを置いて、そこがバシッと合う感じで。 アウフタクト、装飾みたいに」
が、何も活かせてない( ̄◇ ̄;)
そもそも、これがアウフタクトであることに気がついていませんでした。
言われればわかるのに、気がつけない。
今度から楽譜を初めて見るときに、アウフタクトかどうか、あえて意識することを誓います。
「じゃあ、もう1回」
リズムを刻んで、こんな感じかな。
「そう! いいですね」
もらいました、れいね先生の菩薩のような笑顔!
「あとは、もうちょっと楽に弾けそうな気がするので、頑張らないで」
頑張らないって結構難しいのですが、幾つかのポイントを教えて頂きました。
・拍を刻むところ以外は軽く
・音が上がっていくところは指だけで弾くと固くなってしまうので、下から上に手首の回転を使って
・1拍目が終わりでも始まりでもあるところは駆け込んでしまいがちだけど一呼吸待って
・低い音だからといって全部5の指で弾かないで4•3を重ねて重量感を出して
デュオのレッスンまでにどこまでもっていけるかなあ。
それにしても、リズム感が欲しい。
ちなみに、全然身に付かないリズム感とは対照的に、音感の方はドンドン錆びついていったのですが、この話は絶対音感の話と合わせてまたの機会に。
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みんな気になるチェンバロの値段の話
あけましておめでとうございます♪( ´▽`)
……と言うのも憚れる時期になってしまいましたが、
今年最初の更新です。
1月ももう終わりですね。 暖冬で冬物が売れないと嘆いていたところから一転、急に寒くなりました。
長崎市では観測史上最多の16センチの積雪、奄美大島では115年ぶりの降雪、こけももさんも寒さによるのど風邪を引く(今シーズン二度目ですが…)など寒い話題でもちきりです。
そんな大寒波にちなんで(?)
今日は懐が凍えるチェンバロの値段の話を。
ストーブに火を灯して、お付き合いくださいませ。
チェンバロがどんなものかわかってもらえると次に気になるのが、
「幾らぐらいするものなの?」
結構この質問は多いんです。
何でもそうかもしれませんが、楽器の値段も上は天井知らずです。
高い楽器と言えば、ヴァイオリンのストラディバリウス(ストラド)が有名ですね。 ストラドは、アントニオ・ストラディバリさんが製作したヴァイオリンのこと。 安くても数千万円、億を下らないものもたくさんあります。
ストラディバリが生きたのは17世紀から18世紀、この時期はチェンバロの最盛期と重なります。
では、チェンバロもストラドのような名器がたくさんあるかって言うと、残念ながらそうではありません。 ピアノの台頭と共に廃れてしまったチェンバロはそれほど数が残っていません。
大きいし邪魔だし要らないし、となれば処分されてしまいます。
きっと当時の良家の姫君も
「さっさとピアノをよこしなさい。 チェンバロなんか燃やしておしまい。」
と、言ったことでしょう。
ああ、もったいない。
美術館や博物館に残っている17〜18世紀のチェンバロは、装飾も華やかで美術品としての価値も高いですが、 市場に出回るものでないため、価格をつけることにあまり意味はないでしょう。
と・こ・ろ・で、自動車って幾らくらいしますか?
何を突然と言われてしまいそうですが、そう言わずに。
新車で軽自動車クラスだと100万円、普通のセダンなら300万円くらいが基準でしょうか。
それより安くてリーズナブルなのももちろんあります。
高機能高性能だったり、ラグジュアリーなソファだったり、優れたデザインだったりと、オプションがつくことによって、どんどん値段は上がっていきます。
新しいものは高いし、中古市場も充実していて、外車は総じて高いですね。
では次に、ピアノって幾らくらいでしょうか?
かなりザックリ言うなら、ヤマハやカワイなど国産のアップライトピアノで100万円くらい、グランドピアノで300万円くらいかと思います。
スタインウェイやベヒシュタインなど海外メーカーのものだともっと高くなります。
でも、じゃあ100万円ないとピアノを始められないの?って言うと、そんなことはありません。
安価なモデルを探せば70万円台でもありますし、中古市場も活気があります。
自動車はピアノより陳腐化が早く、買い替えの頻度が高いですが、 同じくらいの感覚で捉えることが出来そうです。
では、チェンバロの金額ですが、幾らくらいするかって言うと、小型のもので100万円くらい、大型のものだと300万円くらいを目安にするといいかなと思います。
あれ? また同じような数字になってしまいました。 覚えやすくてラッキー。
もう少しチェンバロについて見ていきましょう。
小型チェンバロと言うと、スピネットやヴァージナル。
◆ スピネット https://fr.wikipedia.org/wiki/Épinette_(instrument_de_musique)#/media/File:Epinette_Rouaud.JPG © 2005 Rouaud
◆ ヴァージナル https://fr.wikipedia.org/wiki/Clavecin#/media/File:Virginal.jpg
アップライトピアノは壁と平行に弦を張ることで省スペース化を図っていますが、スピネットやヴァージナルは普通のチェンバロと同じように床に対して平行に弦を張ります。
でも、鍵盤に対してまっすぐ張るのではなく、斜めに張ることによって小型化を実現しています。 弦の本数は、鍵盤の数と同じで、大体40〜60本くらいです。予算は100万円を見込んでください。
次に一段チェンバロになると、グランドピアノのような形、言い換えると一般的なチェンバロの形になります。 通常一段チェンバロには一つの鍵盤に二本の弦が張ってあります。 これを二列といいます。
レジスターを切り替えて、一本だけ鳴らしたり、二本同時に鳴らしたりできます。 鍵盤は50〜60鍵くらいなので、弦の本数は100本〜120本になります。 このクラスの楽器を買うときは200万円を目安にするとよいと思います。
そして、二段チェンバロ。 一般的にチェンバロと言って思い浮かべるのはこれですね。
上鍵盤には1つのキーに1つの弦、下鍵盤には2つの弦が割り当てられています。 また、下鍵盤を鳴らすと同時に上鍵盤の弦を鳴らすことの出来るカプラー装置がついていて、3つの弦を同時に鳴らすことも出来ます。
鍵盤は60×2で120個くらい、弦は60×3で180本くらいになります。ここまでくると300万円は用意しなくてはなりません。
大雑把な説明ですが、弦が増えると値段が上がるということがわかります。
受注生産が主のチェンバロはオプションも色々。 オプションをつければつけるほど当然値段が跳ね上がります。
響板に花や鳥を描いてもらったり、屋根の内側に風景を描いたりするのもオプションの一例です。 鍵盤の白黒反転もこう見えてオプションです。
最後に残念なことに、チェンバロを中古で買うのはなかなか困難です。 絶対数が少ないので仕方ないのですが、時々出てもあっという間に買い手が決まってしまいます。
ちなみに新品がいいかどうかっていうのはなかなか難しいところです。
弾き込むことによって楽器が安定してきますので、作り立ての時点では思うように鳴らなかったりします。 もちろんそれを育てていく楽しみもあります。
また、例えば「あれと同じもの」って頼んでも全く同じにならないのが楽器。 でも、その個性がまた魅力なのかもしれません。
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【2015/12/18 葉加瀬太郎 25th Anniversary Concert 「DELUXE」@NHKホール】
葉加瀬太郎のファンというわけではないのですが、毎年のようにコンサートに行っています。 誘われるがままに参加していたら、何故か年末の恒例行事のようになってしまいました。
私が最もよく聴きに行くアーティストは、もちろん、チェンバリストのれいね先生。 いつも素敵なれいね先生ですが、コンサートの時の佇まいが奏でる音と同じくらい格別に美しいのです。
その次によく行くアーティストが、ヴァイオリニストの葉加瀬太郎ということになります。
ハカセの代名詞といえば、『情熱大陸』
今回もコンサートののっけから、
「今年も情熱大陸は、アンコールでやります」
「アンコールは情熱大陸だけ」
「でもこの曲だけで15分はあるから」
「うち、ダンスは8分以上」
「ハカセンスは6色あるから休憩時間に買ってね」
(ハカセンスはダンス時間を楽しむジュリアナセンスのようなアイテムなんですが、すみません、私は買ったことありません…。)
などなど、情熱アピール!!
そんな、ハカセもアーティスト活動について悩んでいたある時期には、この曲なしのコンサートもありました。
でも、その迷いからふっきれ、生涯現役を決意し、それと同時にこの曲を求める観客の声に積極的になることを決めたようです。
今年はハカセのデビュー25周年記念ということで、大道具までもがいつもより「DELUXE」な感じでした。 更には追加公演であるNHKホールには、ゲストにMay J. を迎え、more DELUXE な内容です。
今日の見どころのひとつ、第1部の佳境に登場したゲストのMay J.が、観客の期待に応え、Let it Go を歌いました。
曲が進むに連れて、ハカセのヴァイオリンが対旋律を奏でます。
何だか、少し懐かしい感じがしてきました。
英語ヴァージョンだったせいもあり、聴いていくうちに益々その思いは強くなりました。
セリーヌとの曲、何てタイトルだったかなぁ…。
もう1曲May J.の曲を演って、第1部は終わりました。
そして、第2部の半ば頃、アンケートと“大人の事情”で決めたハカセベストテンという企画コーナーがあり、
第2位は、情熱大陸 でした。
2位がこの曲ということは、1位にはあの曲が来て、そして一緒にやるってコトなんだろうなぁ。
第1位 TO LOVE YOU MORE
Celine Dion - To Love You More (with Taro Hakase)
カナダの生んだ世界のディーバ セリーヌ・ディオン の代わりに、本日の歌姫 May J. が再び舞台に登場しました。
最初は静かに始まる曲ですが、次第にハカセの音色がMay J. の歌声に織りなす糸のように重なりあい、ヴォーカルとヴァイオリンの協奏曲のようになります。
あれ?
この曲はCDを持っていたので、かなり聴き込んでいました。 でも、当時の私はそんな風に感じることは出来ませんでした。
ヴァイオリンは他の楽器に比べれば一際目立つ存在だけれども、やっぱりヴォーカルがメインで聴こえてきたあの頃。
時を経て、聴く側の意識が変わると、同じ曲でも違って聴こえてくるのですね。
私にとってデュオ元年だった2015年にこの曲と再会したことは、何だか意味のあるようなことに思えました。
懐かしい曲を紐解くと、きっとそこには新しい出会いがあなた待っています。
時は巡り、繰り返す、ほんの少し形を変えて。
変わることの尊さ、変わらないものの気高さ。
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actually, this is the last article of 2015 (^^;;
and I wish you a happy new year !
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〜はじめての3台クラヴィーア〜 チェンバロ レッスン.:*・゜゜201512 **・゜゜
クラビーア(〈ドイツ〉Klavier)
チェンバロ・クラビコード・ピアノなど、鍵盤(けんばん)を有する弦楽器の総称。オルガンを含めていう場合もある。
目白で薫子さんと2台の自主練習をしました。
つ・い・に、第3楽章まで辿り着きました。
「12月はデュオでレッスン受けたいですね」
私たち2人と先生の予定を合わせるとなると意外と大変。 早速候補となる日を先生にLINEしてみると、
「その日は何時でも大丈夫です。私もオケ部分を見ておきます」
オケ部分!
デュオ・ローズが現在取り組んでいるのは2台のチェンバロのための協奏曲。 本来はバイオリンやチェロなどもある曲です。
「先生のチェンバロルームで3台で合わせるって可能ですか?」
「もちろんです。3楽章は参加しようかなと思いまして」
やったあ!
れいね先生がオケパートを弾いてくれるなんて!!!
もしかして、これは…
duo Rose feat. Reine
何か、アーティストっぽくなったゼ!
頑張ったら思いもよらない幸せが舞い込んできました。
しかし、それほど時間もなかったので、幸せに比例した上達は見られず今日を迎えてしまったのでした。
まずは、2台の演奏の指導から。
「3連符のところでどうしても早くなるので、そこは気持ちゆっくりめで。それから p (ピアノ) で。 その前後のティラリララのところが、グッと音が上がってくので、ここを f (フォルテ) にして」
気がつくと早くなってるなとは思ってたけど、3連符のところか。 3連符って難しい。
「あと、こけももさん。そこは薫子さんの音を聴いて合わせる感じで。合わなかったら、弾かなくてもいいくらいの気持ちで」
あ、ここ、そういうところだったのか。
この前の小節はユニゾンで下っていくところなのですが、この小節で、私は下がり続け、一方薫子さんはメロディを弾き始めます。
言われたことが身体でわかると、自分の役割もわかってきました。
自分の両手でもメロディを殺してしまうことがあるくらいなので、ちゃんと曲を読まなくては。
そして、はじめての3台の時間です。
先生の家にはフレンチとイタリアンと小型のものと3台のチェンバロがありますが、今回は小型のものは使用せず、ピアノを使用しました。
だから3台チェンバロではなく、3台クラヴィーアですね。
3台クラヴィーア、今日初めて使った言葉だけど、なんて贅沢な響きでしょう。
でも、せっかく3台になったのに不完全燃焼だったことは否めません。
自主練したものの、3楽章の2台でのレッスンは初めてでしたし、まだ楽しむ余裕がありませんでした。 だけど、あと少しで手が届く感じがしてきています。
来年、また3台クラヴィーア、やりましょうね!
それから、今日はもう一曲、何と数日前に用意した曲を合わせました。
私にとっては前代未聞の一大事です。 実力のある人には全然大したことない話ですが、私には初見は難しいのです。
クリスマスも近いし、クリスマスにちなんだ曲でもやりたいですねという流れになり、薫子さんから、
「金平糖の踊りは?」
という案が出ました。
金平糖の踊りはチャイコフスキーのくるみ割り人形の一曲。 くるみ割り人形はクリスマスのお話なのでピッタリです。さすが薫子さん。
チェレスタのソロが幻想的で独特の世界観があります。 金平糖の踊りはチェレスタを使った一番最初の曲なので、チャイコフスキーのチェレスタのイメージが余すところなくつめこまれているのだと思います。
2台ピアノ用のアレンジとオケのスコアを見つつ修正を加えました。
チェレスタは高音の楽器なので、チェンバロだと相当音を下げることになります。これが意外と厄介でした。 楽譜はト音記号なのに、弾いてるのはヘ音記号の領域だと何度も読み違えて大混乱です!
数日しか見れなかったので、最初合わせたときは笑いが込み上げるくらいでした。 でも、何回かやってるうちに少しずつ曲らしくなってきました。
よく聴く曲でも、自分で演奏すると、聴いていただけのときよりその曲の深みがわかってきます。 どんな曲かわかってくるとやるのが楽しくなってきます。
「この曲、チェンバロに合ってるので、レパートリーに加えましょう」
先生に提案いただいたこともあり、2台チェンバロ用の譜面を起こすことにしました。
きっと需要があるに違いないから1部1,000円で売ろう。 いくら儲かるかな。ψ(`∇´)ψ
誰モ買ワナイヨ。
New譜面を引っさげて、来年のクリスマスシーズンにはもっと素敵な金平糖の踊りをやりたいと思います。
さて、チェンバロの果実の更新はこれが今年最後になります。
みなさま、よいお年をお迎えくださいませ。 そして、来年も是非遊びに来てくださいね。
補足:クラヴィーアのこと
ドイツ語でピアノはクラヴィーアなので、現代ドイツ語では限定しなければ多くの場合ピアノを指します。 しかし、ドイツ以外ではピアノはピアノなので、クラヴィーアというと鍵盤または鍵盤楽器の総称となります。
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and I wish you a merry Chiristmas !
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〜通奏低音 ふたつめの和音〜 チェンバロ レッスン.:*・゜゜201511 **・゜゜
つい、練習が後回しになりがちな通奏低音。
このままフェードアウトもありかなとは思ったのですが、少しだけ復習したので、見てもらいました。 でも、本当に少ししかやってないので、もう全然出来る気がしません。
そのせいでしょうか。先生は、なかなか進まない私に痺れを切らしたみたい。
「じゃあ、今日は6の和音を見ていきましょう」
新しいことなんて無理ーーー。
「まだ3・5の和音が、2歩進んで3歩下がった状態なんですが…」
「6の練習は6だけってわけじゃなくて、5も出てくるから大丈夫 !」
実際、6だけの曲っていうのはないでしょうが、5と6と絶対混乱してしまう気がします。
そう思ったものの、5と6の和音の混乱もさることながら、禁止のルールという枷があることがわかりました。
では、6の和音を見ていきましょう!
「通奏低音って何?」って方は前回の記事を先にご覧くださいませ → ♪
ふたつめの和音
ふたつめに登場する和音は6の和音です。
「6の和音は、バスの音(低音)に対して、3と6を重ねます。バスがドならミとラになります」
ふむふむ。
もし、低音がレならファとシ、
低音がミならソとドってことですね。
前回の和音が『低音+3+5』だったのに対して、 今回は『低音+3+6』なので上の音が違うだけ。 でも、響きはかなり違います。
「それから、バスの音と同じ音を上に重ねてしまうとあんまりきれいな音にならないので、この音を重ねるのは避けたいんです」
えっ?
「バスがドだったら、その上に更にドは重ねたくないので、代わりに何を足すかっていうと、この場合はミ」
えっ??
「ド:ミラミ
にすると、美しい響きになります。このポジションはよく使います」
〜脳トレ・レベル2〜
前回と同じような楽譜で見ていきましょう。
今回はひとつめとふたつめに6と書いてあります。 6の和音は3と6なので、3と6を書いてもよいのですが、前回と同様に省エネです。 3はわかるよねってことで、6だけ書きます。
ひとつめはバスがミだから、ミソドって重ねたいけど、それは避けたいってさっき教わりました。
ここは、ミ:ドソド ってことかな。
で、次がファだから…
ファ:レラレ かな。
「そのルールで行くと、次も
ファ:レラレ
でいきたいのですが、
『ド→レ』というオクターヴの進行が出来ちゃうので、それは禁止事項なんです。
だから、それを避けるために、ここは致し方なく、バスの音を重ねます。
ファ:ファラレ」
えええ???
「さっきバスの音を重ねないって言いましたが、それは禁止ではありません。 ただ、あまりきれいではない。 というわけで、この響きは △」
ファ:ファラレ
「こっちは ○」
ミ:ドソド
「オクターヴ進行は規則として ×」
ミ:ドソド
↓
ファ:レラレ
そう言えば、テキストに『避けねばならない連続8度』って書いてあったのですが、こういうことを言ってたのですね。
読んでも全く意味がわからなかったので、見なかったことにしていました。 オクターヴで同じ動きをしちゃいけないって書いてくれればいいのに。
「最近の曲だと全然無視して作られているのもありますけど、基本的には禁止なので、その響きが聴こえると すごく気になります。そういう刷り込みをされているので」
聴いてみると、美しい感じがしないのは確かです。 プロの本音はどうなのでしょうか。
「先生は、もし禁止じゃないって言われたとしたら、どう思いますか?」
「うーん…それでもやはり “気持ち悪い” ですね。 きっときちんと分析すれば、その “気持ち悪さ” を数値で示すことができるのではないかと思います」
何かしっくりこない流れになるので、聴く分にはそのルールの良さを感じることができるのだけれど…自分で弾くとなると話は別です。なに、この縛り( ̄д ̄;)
『6が続くとオクターヴ進行を避けなくてはいけない』という縛りが登場して、脳トレもレベルアップしてしまいました。
最後に、前出の楽譜の回答例をあげておきます。
(左手:右手)
ミ:ドソド
ファ:ファラレ
ソ:レソシ
ド:ミソド
さて、私の通奏低音への適応能力の低さに今後の展開がイヤな予感しかしませんが、2歩進んで30歩下がる予感すらしますが、こんな私でも続ければきっと何か発見があるのではと思います。
にほんでいちばんやさしい通奏低音のあれこれ。気長にお待ちいただければ嬉しいです。
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written by coquemomo
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【2015/11/01 ジョワ・ド・ヴィーヴル@東京芸術劇場】〜オンド・マルトノの世界〜
「チェンバロの果実 ♪」特別編、オンド・マルトノ後編です。 前編は こちら→♪ です。
本日の会場は東京芸術劇場。 芸術劇場は池袋の西口にあります。 ラシーヌのある東口からは駅を越えていく感じになります。 駅の逆側に行くって知らないとちょっと難しい。
東京や新宿ならわかるのだけど、ここは頼りになるふたりについていきます。 今日は頼りっぱなしです。
16時半を過ぎて外は少し肌寒くなってきました。 コンサートの開場は17時、開演は17時半です。
池袋も久しぶりだけど芸術劇場はもっともっと久しぶり。 いつ以来だか全く記憶にありません。
中に入ると長いエスカレーターがあり、ガラス張りの大胆な広い空間使いに驚きました。 天井までの距離が奥行きの長さを超えると、越えた分だけ、空間を支配したような強い気分になれます。
「芸劇って、こんなに綺麗だったっけ?」
失礼な発言をしてみると、
「私もそう思ってたんです」
オンディーヌちゃんが答えてくれました。
「確か、改装したと思います。これならまた来たい感じがします」
コンサートホールに入る一歩手前の空間は気持ちを盛り上げるのにとても重要な役割を果たします。
私の記憶からは朧げにしか思い浮かばないものの、やっぱり生まれ変わった新しい空気を纏っています。
期待は益々高まります。
今日のコンサートには、
ジョワ・ド・ヴィーブル 生きる喜び
という名前が付けられています。
ジョワ joie は喜び (英語のjoy) 、ヴィーブル vivre は生きる (英語ならlive) 。
日本語部分は、まんま訳ですね。
サブタイトルは、第1部が祈り、第2部は希望と愛。
オンド・マルトノが登場するのは第2部のみなので、今回は第2部のみの参加です。 でも、第2部の中でも途中休憩がある長丁場です。
「こけももさん、オンド・マルトノの『トゥーランガリーラ交響曲』は休憩のあとなので、休憩時間にセッティングすると思うんです。 だから、休憩時間になったら舞台の近くまで見に行きましょう!」
なるほど。そんなところまで気がつきませんでした。
そんなわけで、後半に力を取っておくつもりで、前半はのんびり楽しもうと思っていたのですが、その目論みは鮮やかに裏切られました。
ストラヴィンスキーは20世紀前半に活躍したロシアの作曲家、 火の鳥はロシア民話を元に作られたバレエ作品です。
バレエのチケットを買おうと思って作品名をクリックすると、次に出てくるのは作曲家と振付家が誰かということ。 その後に、今回の公演の演出家や指揮者、そして、それぞれの公演のダンサーの情報が出てきます。
華やかで美しいバレエダンサーに目が行きがちだけれど、バレエ作品の根幹は作曲家と振付家です。
ストラヴィンスキーはバレエ・リュスの敏腕プロデューサーであるディアギレフにより才能を見いだされ、火の鳥の作曲を任されます。そして、振付家のフォーキンと試行錯誤を重ねて、火の鳥を書き上げました。
元々とても好きな曲ではあったのですが、フィギュアスケートでほぼ毎年誰かが使っていたのを見ていたせいか、よく聞く曲という印象になっていました。
最近の中では、ソチオリンピックの年の町田樹選手のプログラムがとても印象に残っています。 今シーズンはグレイシー・ゴールド選手が使ってますね。 グレイシーの艶やかさにとても合っていると思います。
バレエにせよフィギュアにせよ、音楽は大事だけど、主役はダンサーであり、選手です。
けれども、今日の主役は音楽。 元々、火の鳥はオーケストラですが、 本日はアールズ編曲の吹奏楽版全曲でした。
本格的な吹奏楽を聴いたのは、初めてだったかもしれません。
オーケストラは厚みのある重厚な弦楽器に華やかな管楽器が重なり合う世界です。 一方、ブラスバンドは一つ一つの音に迫力があり、割と違う音質が個性として重なり合います。
普通のスピーカーが2chかせいぜい5.1chだとしたら、楽器の種類の数だけチャンネルがあるような響きを感じます。 音があっちから来て、また別の音がそっちから来て。 これは、音が溶け合うオーケストラにはない魅力です。 ブラバン、凄いなあ。
魔王カスチェイが登場する頃には曲に釘付けになり、火の鳥が空高く舞うような昂揚感に包まれます。 そして、終幕まで一気に畳み掛けます。
火の鳥、すごい!
「こけももさん、下、行きますよ」
そうでした、休憩だけど休んでるヒマはありません。
下りエスカレーターに乗りながらオンディーヌちゃんが言いました。 「今日はトゥーランガリーラを聴きに来たけど、前半も良かったので得した気分です」
本当に。
火の鳥ってつくづく名曲だったんだなぁ。
オンディーヌちゃんの読みどおり、舞台には無造作にオンド・マルトノのそれぞれが配置されるのを待っています。
あれが本体で、左側にティロワールが付いていて、残りはスピーカー。 プランシパルと銅鑼付きと弦付き。
設置しているのは、写真で見た原田節さん。 オンディスト先輩とオンディーヌちゃんの先生です。 演奏者自らが設置してるけど、そういうものなのかな。 この設置が出来る人は少ないのかもしれません。
「あの本体の上の透明な半円はなんですか?」
「あれは譜面台です」
さすが、オンディスト先輩、即答ありがとうございます。 って、あれ、譜面台なのね。
でも、原田さんは自ら譜面台を設置したものの、譜面なしで弾いていました。
「あそこにあるのはペダルです」
事前講義で出てこなかった部分のフォローも抜かりありません。
でも、待って! ペダルって何に使うの?
「ペダルは左手を鍵盤に使ってしまった場合に、音の強弱を担当します。本来の仕事のような複雑なことはできませんが」
本体の準備が整い、スピーカーの位置などの調整が始まりました。
私たちが舞台のすぐ下を陣取ってずっと見ていたせいもあったのか、周りに人々が続々と増えていきます。
「初めて見るわね」(習ってます、私じゃないけど。) 「単音楽器らしいよ」(知ってます、数時間前からだけど。)
ピアノも運び込まれてきました。 トゥーランガリーラ交響曲は本当に贅沢な楽器編成ですね。
ピアノは下手側(舞台に向かって左)。よく見たことある位置だと思います。 ピアノもチェンバロも共鳴板のためにこちらに置くのがベストとなります。
それに向かい合う形でオンド・マルトノ。 オンドの本体自体はピアノより全然小さいですが、4台のスピーカーを従えると、ピアノと同じくらい幅を利かせてます。
「トゥーランガリーラはピアノとオンドの2台協奏曲のような曲ですからね」
こうして、手際よくセッティングが終わりました。
席に戻り全景が見えると心地のよい緊張感がしてきました。 私が演奏するわけでもないので、緊張する必要はないのですが、本番前の空気感とはそういったもののように思います。
休憩の終わりが告げられ、オーケストラが席に着き、指揮者とピアニストの児玉桃さんとオンディストの原田節さんが入ってきます。
目を引いたのは桃さんの赤い衣装。 コンサートといえば女性は普通はドレスですが、桃さんはインドのダンスを踊るようなパンツルックで現れました。 トゥーランガリーラはサンスクリット語なのでそういうイメージで用意されたのでしょう。 粋な衣装です。
一方、先ほどまでカジュアルな格好でオンドを設定していた原田さんは、黒のステージ衣装に着替えて登場されました。早業!
そして、メシアン作曲、トゥーランガリーラ交響曲が幕を開けました。
全10楽章、約80分に渡ります。
オンド・マルトノの音色と共にあっという間にその世界観に引き込まれます。
電波の音なのに、何処と無く古いような懐かしいような響きもします。
それもそう。オンド・マルトノの音は、パイプオルガンの音が元になっているのです。
音は普通その発生地点からこちらに向かってくるように感じますが、オンド・マルトノは一旦空間を支配して、その空間の広がりと共に音が届くように感じます。
古典と未来の融合、古の世界のようでもあり、宇宙的な広がりまで感じさせます。
テクニカルで優美なピアノの調べ、 七変化するオンド・マルトノの音色、 オーケストラも聞かせてくれます。
80分って長いと思ったけど、気がつくとあっという間でした。
火の鳥が名曲なら、トゥーランガリーラ交響曲は大作です。 それぞれの魅力は全然別の次元にあり、何とも豪勢なコンサートでした。
オンディスト先輩の解説付きで連れて来てくれたオンディーヌちゃんに感謝です。
2回に渡ってお届けしたオンド・マルトノ、いかがでしたか。 少しでもその魅力が伝わっていれば嬉しいです。
thanks for coming by.
written by coquemomo
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