チェンバロの果実 ♪

ピアノのようなかたちをした鍵盤楽器チェンバロ。にほんでいちばんやさしいチェンバロのあれこれ。

オンド・マルトノって何?

ピアニストはピアノを弾く人。

チェンバリストチェンバロを弾く人。

じゃあ、オンディストは?

そう、オンド・マルトノを弾く人です。

本日の「チェンバロの果実 ♪」は、(私的)未開の鍵盤楽器オンド・マルトノについて。
にほんでいちばんやさしいオンド・マルトノのあれこれ。 をお届けします!

先日、 れいね先生のコンサート で再開したオンド・マルトノも習っているチェンバロ友だちに、オンド・マルトノのコンサートに連れて行ってもらうことになりました。

「今度、オンド・マルトノを聞きに行くことになったの」

「おんどまるとの?」

「そう、オンド・マルトノ

 オンドマルトノ

 おんどまるとの

 音頭 丸殿

 丸殿音頭??

「もう夏も随分前に終わってるけど盆踊りにいくの? それとも、マツケンサンバの新作?? サンバから音頭とは和風に帰ったねえ」

「違うよ! オンド・マルトノは、おフランス語ザマス。 オンドは電波、マルトノは人名。 マルトノさんが発明した電波を使った鍵盤楽器。」

「で、どんな楽器?」

「鍵盤がついてて、テルミンみたいな音がするんだけど・・・」

「それだけ?」

「うん。あんまりよく知らない。よく見てくるよ」

そんな私を知ってか知らずか、チェンバリスト兼オンディストの友だちからメールが届きました。

チェンバリスト兼オンディストの友だち・・・長いなあ、略してオンディーヌってことにしよう。

こけももさん、こんにちは。 オンドマルトノについて教えるって言ったけど、私だと不安なので、先輩オンディストにレクチャーしてもらおうかなあと。 って言うか、もう頼んじゃった。
じゃあ、コンサートの日の14時に池袋のラシーヌで。

唐突。でも、ありがたい!! しかし、教えてもらうとは言え、初対面の人に失礼すぎる知識量です。 もうちょっと予習しとかないと・・・。

確か、独眼竜政宗で使われてたと思うんだけど。

YouTube で発見しました。


独眼竜政宗 原田 節(ハラダ タカシ)Takashi Harada Ondes Martenot

懐かしい! でも、いまどきの若者には伝わらないのかな。

それから、イギリスのバンド、レディオヘッドにもオンド・マルトノを使用している曲があるようです。


Radiohead - Pyramid Song - YouTube

レディオヘッドのベストアルバムを聴いて過ごすことにしました。

予習、 カ ン ペ キ。

racines

池袋のラシーヌはビストロとブーランジェリーのお店。 パンマニアとしては、パンも食べたかったけど、この日は予約するために、アフタヌーンティーになりました。

まず、一杯目はロイヤルミルクティーを。 このへんの好みがオンディーヌちゃんと合っているようです。

先輩オンディストさんは、半端なく詳しくて、ブラタモリタモリさんを見ているようでした。 何を聞いても答えられるってすごいです。

初めてオンド・マルトノに興味を持ったのはインターネットが普及する前だそうで、当時は情報を集めるだけでも大変だったとか。

オンド・マルトノを発明したのはフランス人のモーリス・マルトノさん。 楽器なのに発明と言うことばが馴染むのは、例えば電球を発明したのはエジソンっていうのに近いからだと思われます。

オンド・マルトノ鍵盤楽器ですが、鍵盤がついてる部分だけでは完結しません。 この部分は本体と呼ばれますが、本体だけではダメなんですね。 見た目はオルガンみたいでいけそうなんですが。

多くの場合、電子キーボードは電源を入れると音が出ます。 一方、シンセサイザーはスピーカーを繋がないと音が出ません。 電子キーボードはスピーカーが本体についているからすぐに音が出るのです。

オンド・マルトノは本体にスピーカーがついていないため、スピーカーを繋ぐ必要があります。 それも市販のスピーカーではなく、専用の特殊なスピーカーです。

このスピーカーがオンド・マルトノの音の要になるので、ここの理解なくしてオンド・マルトノを知ったとは言えません。

「この写真見てください」

オンディスト先輩が見せてくれたのはオンド・マルトノの古い専門冊子。

オンド・マルトノが6台!!

オンド・マルトノ六重奏?

オンド・マルトノは単音楽器なんで、複数の音を同時に出したければ、複数のオンド・マルトノを用意しなくてはならないのです」

鍵盤楽器なのに和音が出ないってある意味画期的すぎる!

では、パーツ別に見ていきましょう。

ondes martenot

https://fr.wikipedia.org/wiki/Ondes_Martenot#/media/File:Ondes_martenot.jpg

本体

本体は鍵盤がついています。 鍵盤はチェンバロと一緒でピアノより鍵盤が細め。 鍵盤の色はピアノと同じ。 ナチュラルキーが白、シャープキーが黒です。

鍵盤を弾いて音を出すことも出来ますが、鍵盤の前に「リボン」と呼ばれる一本の弦が張ってあり、その弦の先端についているバーグ(指輪)に指を入れて左右に移動させることにより、音の高さを変えることが出来ます。

オンドは単音しか出ないので、この「リボン奏法」が成り立つわけです。

そしてこの微妙な音の揺れがオンド・マルトノの特徴のひとつでもあります。 トロンボーンでスライドをビューンと動かしてあの特徴的な音を出せるのと同じようなイメージです。

音楽用語で言い換えると、ポルタメントとかビブラートが出来るというわけです。 ポルタメントは違う音に移る時に滑らかに徐々に変えること、ビブラートは一つの音の中で周期的に音を揺らすことを言います。

さて、通常は指輪は右手の人差し指に入れます。 音の高低を担当するのが右手です。

では、左手は?

その前にスピーカーを見ていきましょう。

プランシパル

1個目のスピーカーです。英語だとプリンシパル。 まず、最初にこのスピーカーが作られたようです。

見た目は普通のスピーカーですが、実は中にバネがついてます。この部分はレゾナンスと言います。 1つのスピーカーに、プランシパルとレゾナンスがのっています。

メタリック

銅鑼(ドラ)がついたスピーカーです。 このメタリックは1つでもいけますが、2つあることが多いそうです。

銅鑼が2個って、それだけでも持っていくのが大変そう・・・。

そして、銅鑼とスピーカーを組み合わせてしまおうという、マルトノ氏の発想に脱帽です。

パルム

弦が張ってあるスピーカーです。

「この弦はマンドリンの弦と同じものを使っています」

なるほど。見た目も何処となくマンドリン

マルトノさんもマンドリンにヒントを得てスピーカーにしてみたのかもしれませんね。

「へえ。じゃあ、弦が切れちゃったら、マンドリンの弦をくださいって買ってくればいいんだね」とオンディーヌちゃん。

オンド・マルトノの弦を売っているのは見たことありませんが、こうなるとチェンバロの弦より簡単に手に入るかもしれません。

ちなみに普通の弦楽器のように弾かれることはありません。 その弦自身が鳴らなくても、他の音に共鳴します。

本体のティロワール

さて、ここまで紹介した4つのスピーカー。これらを自在に操ることでオンド・マルトノ独特の音を奏でることができます。

ここで、ついに左手が登場します。

本体の左側にはティロワールと呼ばれる小箱のようなものがついています。

ティロワールはフランス語で引き出し。

ここにはトゥッシュと呼ばれるスイッチがついていて、トゥッシュの操作により音量をコントロールします。

左手は単なる音量の強弱だけではなく、どのスピーカーでどのくらいの音を出すか、そのボタン操作も担当します。

ティロワールは言ってみれば、ミキサーのようなものです。

単音しか出せないオンド・マルトノ。 でも、微妙な音の揺れやうねりまで表現できるヴォーカリストのような繊細さを持ち合わせています。

そこに、バネ、銅鑼、弦のついたスピーカーを、どのようにミキシングするか、ミキサーの能力もなければ務まりません。

「電子楽器でしょって言われると寂しいんだよね」 オンディストちゃんが言います。 「確かに電子だけど、ただの電子楽器とは違うの。こんなことが出来るのは、こんな音が出せるのは、オンド・マルトノだけなのに」

ちなみに、オンド・マルトノは現在受注販売。 お値段は1式150万円程度(為替レートの影響を受けます)となりますが、納期はわかりません。 しかも、もう昔のオンドは今では作れないとも言われてます。

さあ、これから、生のオンド・マルトノの音を堪能しに参ります!

オンド・マルトノ後編になる次回の記事もぜひご覧くださいませ。(後編はこちら→♪ です)

おまけ

オンド・マルトノがフランスの楽器だったので、フランス語がたくさん出てきました。せっかくなので、まとめておきましょう。

onde(オンド)(女性名詞)電波。通常、複数形で使う。ondes

ondiste(オンディスト)オンド・マルトノを弾く人

Maurice Martenot (モーリスマルトノ)音楽教育者。発明家。

ondes Martenot(オンドマルトノ)モーリス・マルトノが発明した電子鍵盤楽器

racine(ラシーヌ)(女性名詞)根

ruban(リュバン)(男性名詞)リボン

bague(バーグ)(女性名詞)指輪

principal(プランシパル)(形容詞)主要な

resonance(レゾナンス)(女性名詞)共鳴

metallique(メタリック)(形容詞)金属の

palme(パルム)(女性名詞)ヤシの葉

tiroir(ティロワール)(男性名詞)引き出し

touche(トゥッシュ)(女性名詞)ボタン、スイッチ

※resonanceとmetalliqueの2文字目のeはアクサン・テギュがつきます。

ちなみに、チェンバロはフランス語だとクラヴサンなので、チェンバリストはクラヴシニストです。

clavecin(クラヴサン)(男性名詞)チェンバロ

claveciniste(クラヴシニスト)チェンバロを弾く人



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〜ちょっと小さなチェンバロ〜 チェンバロ レッスン.:*・゜゜201510 **・゜゜

1月に発表会を終えた後、3月頃からデュオの新しい曲に取り組んでいます。

1月の発表会で連弾した曲は、ふたりのパートが2ページで収まる短い曲だったのに対し、今回は12ページもあります。 それも自分のパートだけで。

私が一人でダラダラやったら、3年かけても終わらないかも。

1ヶ月1ページくらいは頑張るとして1年?

デュオ・ローズの片割れの薫子さんにも聞いてみよう。

「ねえ、この曲どのくらいの期間で完成させる?」

「うーん、1楽章4ヶ月、2楽章2ヶ月、3楽章6ヶ月で、1年かな」

お、偶然の一致!

そんなこんなで、1年目標でスタートしました。

しかし、気がつくと今年も秋桜の満開も過ぎ去り、秋の風が肌寒く感じられる季節になってきました。

現在、5ページある第3楽章の残り3ページが手付かずです。

ヤバイ、このままだと終わらない。

全身の神経を総動員して始めたら、私には異例の早さで終止線まで譜読みが完了しました!

なんだ、やればできるじゃん。

5ページ目はほとんど1ページ目と一緒だったということは秘密だけど。

ギリギリいっぱいで持っていったので、今日のレッスンはこの曲だけで終わりました。 直すところが山ほどあるので、早く合わせられるように精進します。

さて、前置きはこのくらいで、今日の目玉はこちらです。 レッスンに行ったら、置いてありました。

さて、なんでしょう?

・・・先生の新しいチェンバロ

大体、正解です。

でも、もう1枚どうぞ。

あれ、何かがおかしい?

そうなんです、この子は、実は
ミニチュアチェンバロなんです!!

本物のチェンバロと比べるととっても小さい!!

なのに、細かいところまで精巧に作られていて、
もうほとんど本物。

それもそのはず、このミニチェンバロの製作者は、あの久保田彰さんです。

久保田さんは日本でも有数のチェンバロ製作者。 久保田チェンバロ工房を構え、数々の素晴らしいチェンバロを世に送り出しています。

近江楽堂は久保田さん製作のフレンチを1台所有しています。 先日のアンサンブル・バロック・レジーナのコンサートでも使用されていたチェンバロです。

私も、久保田さんのスピネット(小型チェンバロ)を試弾したことがあります。

この時期に私が指弾した楽器で国産のものは、久保田さんのと東京古典楽器センターのと2台だったのですが、音の広がりや音色がどことなく似ているような気がしました。 材料とかに起因しているのかな。

ドールハウスの中から出てきたようなミニチュアチェンバロに、 こっそり妖精が弾きにくるかもと思いましたが、残念なことに音は出ないのです。


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【2015/09/26 アンサンブル・バロック・レジーナ@近江楽堂】〜memorandum〜

近江楽堂チェンバロ

ちょっと前になりますが、アンサンブル・バロック・レジーナに行って参りました。(予習記事はこちら→♪

MCはフルートの藤田真頼さんが担当なさっていました。 演奏と同じでやわらかくてあたたかい口調です。

アンコール前のあいさつがとても印象に残りました。 トリオの美しさと終わってしまう名残惜しさが綾なすように溶け込まれていて。

フレーズはうろ覚えですが・・・。

「近江楽堂はブザーがなくて、気がついたら始まって、気がついたら終わってる。

そんな場所に相応しい曲で、アンコールは

アヴェマリア』」

この組み合わせのアヴェマリアは、私にとっては初めてです。 でも、これ以外はなかったのではというくらい音が綺麗に響き合っていました。

美しい音楽を聴くことはとてもしあわせ。 そんな音に包まれると、自分も美しいような気がしてくるから。

憚らず言うのなら、きっと美しい音楽を聴くと美しくなる。

だってバロックレジーナの切ないくらいに透き通ったアヴェマリアを聞きながら悪いことなんて出来ないでしょ?

さて、ひとつ訂正させてください。

レジーナは、最初アンサンブル・レジーナで、フルート、ヴァイオリン、ピアノの三重奏だったものの、ネタ切れになってしまい、 チェンバロならいっぱいあるってことに気がついて、アンサンブル・バロック・レジーナが生まれたそうです。

私は予習のときにこの組み合わせは珍しいと書きましたが、 私にとって珍しかっただけで、実際はそうではありませんでした。

それと、マルティヌーの曲は、チェンバロチェンバロでもモダンチェンバロの曲で、ヒストリカルチェンバロだと、1オクターブくらい足りないそうです。

マルティヌーが活躍した20世紀前半という時代を考えれば、そうなりますね。全く気がつかなかった。

いつか、この曲をモダンチェンバロで聴いてみたいなあ。

あれ、そもそも、モダンチェンバロを生で聞いたことがない。(´・_・`)

ハードルをもう少し下げよう。

いつか、モダンチェンバロの演奏を聴いてみたいなあ。

ところで、また来月音楽を聴きに行く予定が入りました。

なんと、オンド・マルトノのコンサートに連れていってもらえることになりました!!

お ん ど ま る と の ?

アンサンブル・バロック・レジーナの開演前、席を確保してキョロキョロしてみるとチェンバロ友だちを発見しました。 チェンバロも弾きますが、私の知っている中では唯一のオンド・マルトノ弾きです。

オンド・マルトノは、モダンチェンバロが活躍していた20世紀初めくらいに生まれた鍵盤楽器です。
私も来月初めて実物にお目通りかないそうです。

どんな楽器か理解出来たら、未熟な鍵盤弾きとしてこのブログに残しておこうと思います。
ぜひ読みにいらしてくださいませ。


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チェンバロ レッスン.:*・゜゜201509 **・゜゜(はじめての通奏低音)

趣味はチェンバロですって言うと、詳しい方から稀に

通奏低音とかやるのですか?」

と聞かれたりします。

バロック音楽に触れると必ず出会う通奏低音ということば。 奏でるし、音だし、音楽用語かなってことは誰もが思うところですが・・・

でも一体 何なの?

“ つうそう‐ていおん【通奏低音】 ”

1 《(イタリア)basso continuo/(ドイツ)Generalbaß》バロック音楽の演奏で、チェンバロなどの奏者が低音旋律と和音を示す数字に基づいて即興的に和音を補いながら伴奏部を弾くこと。また、その低音部。数字付き低音。バッソコンティヌオ。ゲネラルバス。

2 常に底流としてある、考えや主張のたとえ。
「平和への願いがこの本の―となっている」

出典:デジタル大辞泉

とりあえず、古い時代の伴奏ってことはわかりました。

通奏低音と言うことばに出会うに連れ、 未熟ながらもチェンバロ弾きとして 通奏低音が何なのか知っておいた方が いいような気がしてきました。

先生に雑談でそんな話をしてみたら

「ちょっとやってみます?」

突然のことに驚くこけももさん。

目を見開いたまま、出てきたことばは、

「平和への願いがこの私の通奏低音となっている」

「昔、コードで挫折したんですが・・・」

「大丈夫。コードより簡単だから」

ウソだ!!!と思ったものの せっかくの提案を断る理由はありません。

こうして通奏低音の扉が開いたとまあそういうわけです。

通奏低音の楽譜

la française

トリオのこの曲を、例えば、フルート2本とチェンバロで演奏するとします。

一番上のパートが第1フルート

二番目のパートが第2フルート

一番下が、basse continue=通奏低音のパートです。
チェンバロはここの担当ですね。

チェンバロはピアノと同じように通常両手で弾きますが、通奏低音の楽譜は左手のみです。 でも、右手は遊んでていいわけじゃないのです。

一番下のパートには、コードの記号みたいに、何やら数字が書かれていますね。 それを元に右手は和音を演奏することになっています。

達人の域に到達すれば、右手は鮮やかな即興演奏を楽しむことができます。 まるでジャズのようです。

でも私は「この数字はどの音を弾いたらいいの??」状態ですので、 数字→和音 の変換を即座に出来るように鍛えるところから始めなくてはなりません。

「こけももさん、通奏低音脳トレです」

誰か、通奏低音を練習するアプリ、出してくれないかな。

需要ない?

全国の未熟なチェンバリストたちがこぞって買い求める人気アプリになる予定なんだけど・・・。

数字の読み方

通奏低音の基準は楽譜に書かれた低音です。
いつも一番低い音だけが楽譜に書かれています。
出てくる数字も低音から数えます。

低音がドなら、1はレ、2はミ、となります。
もし、低音がレになれば、1はミ、2はファとなります。
世界は低音を中心に回っています。

ひとつめの和音

初めに覚える基本の和音は『低音+3+5』です。
3度と5度 と言った方がわかりやすいかもしれません。

低音がドならミとソになります。
低音がレならファとラです。

ところで先ほどの楽譜、数字が何も書いてないところがあります。 何も書いてないときは、この3と5の和音です。 いちばんよく出てくるから書かない。省エネ!

脳トレ・入門レベル〜

etude

こちらは、私が練習している楽譜です。 左手だけでなく、右手用にひとつ音が書いてあります。

左手と数字だけでは難しいので、ヒント付きって感じでしょうか。

左手の低音と右手のヒントを元に、間に音を埋めてみましょう。

数字がないので、全部3と5の和音です。

答えは・・・

(左手:右手)
ラ:ミラド
ファ:ファラド
ソ:レソシ
ド:ミソド

となります。

後は、ひたすら練習あるのみ!

明日には忘れてそうです・・・。

「いいんです。通奏低音は3歩進んで2歩下がるくらいで丁度いいです。 でも、ときにこれをすぐに出来てしまう人がたまにいて、羨ましいですね」

私が365歩のマーチ的な出来ない人間であることは重々承知しておりましたが、 先生からそんなことばが出ようとは。

「書くのも練習になるので、分からなければ書いてみてくださいね」

早くも挫折しそうな通奏低音ですが、 また新しい知識が身についたら続きをお伝えしたいと思います。

ふたつめのハーモニーでお会いしましょう、きっと!

おまけ コードとの違い

コードも挫折した、通奏低音も始めたばかりですが、今日の部分がコードだとどうなるか見てみましょう。

コードでは一番下の音はルート(根音)と呼びます。

まずはこのルートを記号にします。
ドはCです。

次にこのルートを中心に記号で和音を表現します。
ドミソはメジャー、記号にするとMまたは△です。
でも、基本の和音なので通常は書きません。

なのでドミソはC(またはCM、C△)。
『Cメジャー』と呼びます。
『コマーシャル』でも『Cさん、かっけー』でもありません。

ファラドはF。 ソシレはG。

でも、レファラはDではなく、Dmなんです。

Dはレファ#ラ、ことばにするとややこしいですね。

しかもこれだと通奏低音の方が簡単そうに見えてしまう。

私にはどっちも同じくらい激ムズです。クシュン。

ここから先はまた改めて。


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予習【2015/09/26 アンサンブル・バロック・レジーナ@近江楽堂】

まいにち大量に降り続いた雨がようやく上がり、
天気に少し優しさが感じられるようになりました。

芸術の秋、久々にコンサートを見に行きます ♪

バロック・レジーナ

『アンサンブル・バロック・レジーナ』は、
フルートとヴァイオリンとチェンバロの三重奏(トリオ)です。

めずらしい組み合わせかなと思っていたけれど
9/26の演奏会でもう6回目になるのですね。
私が聴きにいくのはこれが2度目です。

今回は今までのものでよかったもの中心ということで
ベストアルバムみたいな感じだそうです。すてき!

主なプログラム(順不同)

J.S.バッハ音楽の捧げもの BWV1079

音楽を捧げる相手は、プロイセンの王フリードリヒ大王
(フリードリヒ2世)。

バッハがフリードリヒ大王に与えられたとされる
王の主題を元に、2曲のリチェルカーレ(鍵盤用フーガ)、
10曲のカノン、フルート・ヴァイオリン・通奏低音
ためのトリオソナタ(全4楽章)が作られました。

バロック・レジーナはトリオなので、きっとソナタ
演奏するはず。

https://itunes.apple.com/jp/album/musical-offering-sonata-sopril/id419373305?i=419373372&uo=4&at=1001l66w

◆ C.Ph.E.バッハ:トリオソナタ H-moll

カール・フィリップエマヌエル・バッハ
大バッハ次男坊。

C.Ph.E.バッハは、さきほどの『音楽の捧げもの』の
フリードリヒ大王が若かりし頃より鍵盤楽器奏者として
彼に仕えていました。

長く仕えていたものの最終的にはプロイセンを離れて
ハンブルクに行ってしまいます。

今回演奏される予定の曲ではありませんが、
アンサンブル・バロック・レジーナの
C.Ph.E.バッハの演奏を。

youtu.be

うっとり♪

J.C.バッハ:トリオソナタ G-dur

ヨハン・クリスティアン・バッハ。大バッハの11男。
11! 子どもだけでサッカーチームが作れる人数です。

J.C.バッハ父親が亡くなったあと、兄のひとりに
引き取られますが、このお兄さんが使えていたのが、
またまた登場、フリードリヒ大王。

J.C.バッハ自身は、その後ロンドンに渡り、
まだ幼いモーツァルトと出会い、仲良くなります。

J.C.バッハの曲はあまり聴いていないのですが、この曲
かな。この演奏は、フルート2本と弦ですが。

Trio G Major: III. Presto

Trio G Major: III. Presto

  • Peder Elbæk, Bent Larsen, Klaus Frederiksen, Birthe Holst Christensen, Henrik Olsen & Ole Birger Pedersen
  • クラシック
  • ¥250

モーツァルトっぽい曲ですね。
むしろモーツァルトJ.C.バッハっぽいということになるのでしょうか。

◆ B.マルティヌー:プロムナード

20世紀に活躍したチェコの作曲家。

Promenades for Flute, Violin and Harpsichord, III. Scherzando

Promenades for Flute, Violin and Harpsichord, III. Scherzando

  • Feinstein Ensemble
  • クラシック
  • ¥150

20世紀のチェコの作曲家と云えばヤナーチェク
ヤナーチェクは、村上春樹の小説『1Q84』に度々出てくる『シンフォニエッタ』を作曲した人です。

◆ J.イベール:2つの間奏曲

20世紀に活躍したフランスの作曲家。

Deux Interludes: II. Allegro Vivo

Deux Interludes: II. Allegro Vivo

  • Trio Lyra
  • クラシック
  • ¥150

幻想的なハープの響きが煌びやかなチェンバロの音色に
変わるとどのようなアンサンブルになるのか期待も高まります。

来週の土曜日、アンサンブル・バロック・レジーナを
聴いて、贅沢な時間を過ごしませんか。

アンサンブル・バロック・レジーナ
Ensemble Baroque REGINA
フルート:藤田真頼
ヴァイオリン:鍋谷里香
チェンバロ:及川れいね
2015年9月26日(土) 開場13:30 開演14:00
@近江楽堂 (東京オペラシティ3F)
京王新線 初台駅 徒歩3分

お問い合わせ アトリエ・ソノーロ
tel&fax 03-3355-4038 fl.mayori@gmail.com
www.ens-baroque-regina.com

主催 アトリエ・ソノーロ
後援 一般社団法人日本フルート協会
   日本チェンバロ協会
協賛 パール楽器製造株式会社
協力 オフィス・モデルン


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チェンバロ レッスン.:*・゜゜201508 **・゜゜

まっすぐな通りを足早に歩き、最後に小道に入ると
そこが目的地。

先生が家の前を掃除しています。

初めて見る光景なのにとても自然なのは、その動作が
まいにち繰り返されているものだからでしょうか。

iPhoneで時計を確かめると、めずらしく早く到着した
ようです。

なんだ、早歩きしなくてよかったかも。

時間に余裕があったので、秋の気配を感じる曇り空の
もと、先生とたわいない話をしていると

「こけももさんの姿がずっと見えていたのに、結局
最後まで追いつけませんでした」と薫子さんの声。

なんだ、早歩きしない方がよかったかも。

本日のレッスンは、デュオ・ローズ。
前回のレッスンが6月だから、思いのほか
早い再会です。

今日のメインは、第2楽章。
2楽章と言えば、ゆっくりめの曲がきます。

早く弾くのは苦手なのですが
なぜか久々なゆっくりめの曲。

1年ぶりくらい?

ゆっくりの方が楽かと思いきや、
結構そうでもなく・・・

メトロノームで速さをもらって一呼吸。

弾き始めは私から。

「速いっ!」

一蹴されました。

ゆっくりな曲の難しさの一つは、
早くなってしまうこと。

気を取り直して、始めから。

曲の持つ柔らかい美しさに導かれ、
段々その世界に溶け込めていくような気がします。

「いいですね」

確かに、初めて合わせる曲にしてはなかなか合っていた
ようには思いますが、

「少し直していきましょう」

そうですよね。

「44小節目は優しく、P(ピアノ)で」

ゆっくりな曲の難しさのもう一つは、
ゴマカシがきかないこと。

速い曲なら勢いで押せるところも
繊細に美しくなくてはなりません。

「18小節目は歌うと合わなくなってしまうので、
歌い上げないで」

「そこ、左手はリズムに集中して。拍を刻んで」

デュオでもこんなに大変なので、
オーケストラや吹奏楽の人を尊敬します。

難しいのは予想外の動きをされるとき。

楽譜に書いてあるでしょって言われれば
その通りですが、自分のフレーズしかなかったら
こう演奏するところに、もう一つ要素が
重なりあうと、当然違う解釈が出てきます。

右手は三連符、左手は16分音符と言われると、
ちょっと待ってってなるのと同じように、
相手の動きが私の動きから離れると、
一挙に合わせづらくなります。

そんな中にユニゾンが混ざってたりすると
更に合わなくなります。

さて、前回のデュオレッスンはデュオのみだった
のですが、今回はソロも少し見てもらいました。

ソロを見てもらうということは、

逆の立場になると

スーパーチェンバロレッスンです。

NHKスーパーピアノレッスンというテレビ番組が
ありました。ピアノ留学するようなスーパーな日本人
生徒が、海外のミラクルスーパーなピアニストから
レッスンを受ける光景を録画して放送するという番組。

スーパーな生徒がスーパーな先生に教わるのを見ること
はまずありませんが、自分以外の人のソロレッスンを
見る機会そのものも、実は相当ありません。
なかなか貴重な体験です。

しかも、私たちの師匠、れいね先生は、アンサンブルを
中心に演奏活動を行っている実力派チェンバリスト
さらに、私の相方、薫子さんは、一般人にしておくには
勿体ないチェンバロの実力の持ち主。

これをスーパーチェンバロレッスンと言わずして、
何をスーパーチェンバロレッスンと言うことができるでしょう。

ソロの時間のリフレッシュ効果で気持ちも切り替わり、
あらためてデュオの曲をもう一度。

掛け合いと重なり合いを楽しむような曲。

複雑な重なり方を複雑に見せずに、自然な音の流れに
どうやって溶け込ませるのがこれからの課題です。

さて、今日のレッスンの後は薫子さんとランチへ。

お店を探す途中で見かけたフェリシモ猫部の
お店に吸い寄せられてニャシュマロをお買い上げ。

ニャシュマロ

チェンバロ弾きのネコ好き率はかなり高いです。
しかし、世の中のネコ好き率も相当高いので、
チェンバロ弾きの猫好き率は平均に毛の生えた程度
かもしれません。

ニャシュマロは10/2まで飾って、いただこうと思います。

ニャシュマロ

ニャンコの脳ミソはショコラです。嬉しい。

ごはん食べながら作戦会議。

デュオ・ローズ第3楽章に続く。


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細くて、軽くて、白黒反転!! チェンバロの鍵盤は、かよわい女子の救世主!!

スピネットを弾くマリー・アントワネット

かよわい女子代表のマリーさん (13) 

チェンバロの鍵盤に触れてみたことがありますか?

今日は、チェンバロの鍵盤の世界を覗いていきます。

1. 鍵盤の幅はちょっと細め

チェンバロはピアノと違って統一規格がありません。

統一はされていないものの、チェンバロの鍵盤の幅は
ピアノより概ね細めです。

ピアノもその長い歴史の中では、鍵盤の幅に
バリエーションがありました。
でも、時代と共に統一化が図られて今に至ります。

チェンバロは一度死んで、生き返っています。
チェンバロ製作の伝統は途絶えて、美術館や博物館に
残されたチェンバロを元に復元されました。

残されたチェンバロは古いものだから、
鍵盤の幅がそれぞれ違っていました。

チェンバロの復興をしようとした人たちは
これをこのまま良しとして、それぞれの味を
大切に特徴と受け止めました。

それぞれの地域や時代で、それぞれの傾向。

結果として、チェンバロには統一規格がないまま
となりました。

だから、色んな幅があって、始めて弾く楽器だと
調子が狂うかもしれません。

不便じゃないかって?

いつもと違う楽器を弾くピアノの発表会。
あれっとなった人も少なくないはず。

フルートを買うときに何本も試し弾きをして
個性の違いに驚いた人もいるでしょう。

楽器って、その楽器は世界にたったひとつ。
同じものなんてない。

どうせそれぞれ違うなら、別に幅が多少色々だって、
そんなに気にすることもありません。

細いと嬉しいことと言えば、

今まで指がつりそうだったオクターブ以上の和音が
少し楽になること。

手の小さな女子には朗報です!

でも、必ずしも細いことが正義ではありません。
細くてちょっと弾きづらいという男性の方もいます。

チェンバロの中でも、より鍵盤が細いのは、18世紀
フレンチ様式。チェンバロの全盛期の楽器と言って
よいでしょう。

細くなった理由には諸説ありますが、一説によれば、
楽器のサイズを変えずに鍵盤の数を増やすためと
言われています。全盛期の楽器が細い理由としては、
なかなか有力な説だと思われます。

ちなみに鍵盤の奥行きも全体的に少し短めです。

2. 軽い。そして、爪弾く瞬間

さあ、チェンバロを弾いてみましょう。

どうですか?

ピアノをよく知っている人は同じ感想を持ちます。

そう、とても軽いんです。

ピアノも最初は軽かったんですが、時代と共に
段々重くなっていきました。

大きな音を出すために。

音の強弱をつけられるピアノは
フォルティッシモがよりフォルティッシモであるほど
ピアニッシモとの差がついて、豊かになる。

じゃあ、チェンバロはダメな子?

大きな音という点では、勝負にならないのですが、

軽やかなコロコロ転がるような音は
チェンバロならでは。

どちらが偉いとか考えるのは野暮ってものです。

それぞれの魅力を楽しめばいいだけ。

鍵盤の重さの違いは、腕の筋力にもつながります。
ピアノからチェンバロに専攻を変えると
腕の筋肉が落ちるそうです。

もちろん、私はそんな経験はしたことがありません。
そりゃそうです。元々、腕に筋肉がつくほど
ピアノを弾いていません。

それでも、久々にピアノを弾くと、
鍵盤 こんなに重かったのか、と愕然とします。

チェンバロの響きは、透明感のあるクリアな世界。

鍵盤の上をコロコロ転がるように駆け巡りましょう。

止まることを知らない妖精がクルクル飛び回るように。

さて、今度はチェンバロの鍵盤をゆっくり押さえてみましょう。

小さな抵抗が感じられるところがあります。
プレクトラムが弦を弾く瞬間です。

この爪弾く感じが撥弦楽器

鍵盤が軽くても、この爪弾く瞬間には小さな抵抗感。
ここを粗雑にすれば、荒れた音になるし、
ここを繊細に扱えば、澄んだ音になります。

ちなみに、ピアノにも同じような感触はあります。
ピアノを音を出さないつもりでゆっくり押していくと
打弦する瞬間を感じることが出来ます。

3. おまけ 〜鍵盤の色〜

チェンバロっていうと、

ああ、黒鍵が白鍵で白鍵が黒鍵のやつだよね?

鍵盤が白黒逆のやつだよね?

そう言われることがあります。

その視覚的な記憶はおそらく正しい。
けれども、それが全てではないのです。

そういうチェンバロもあるし、
そうではないチェンバロもあります。

つまり、白黒反転のものもあるし、
反転していないものもあるということです。

鍵盤の色の歴史はまた別の機会に紐解くとしまして、
ザックリ言えば、初めの頃は今と同じ配色、
チェンバロ全盛期の頃には主流は白黒反転していて、
その後また元に戻りました。

反転した理由でよく取り上げられるのが、

マリー・アントワネット

「私の手の白さが際立つように鍵盤を黒くして」

と言った説。

マリーが言ったって言うのは
「パンがなければケーキを食べればいい」
と同じかそれ以上に作り話ですが、

王侯貴族の女性の手が白く見えるように
白鍵を黒くしたという説は可能性あります。

あと有力な説としては、金銭的な問題。

白い鍵盤の素材としてよく使われるのが象牙
一方、黒い方は黒壇。象牙の方が高価なので、
面積の広い方に黒壇を使用してコスト削減した
という説。

そして、2番目の話に戻ってしまう感じもしますが、
黒壇は軽いので、黒壇のキーがメインになっている方が
長時間弾いた時に疲れにくいという説。

理由はさておき、初めの頃は私も反転している方に
惹かれていました。

ピアノで見慣れた色と逆で何だか新鮮 ♪

テレビゲームの2Pカラーみたいでレアキャラっぽい ♪

今となっては、逆の状態に慣れてしまって、
どっちでもよくなっちゃいましたが。

目を閉じて、そっとチェンバロの鍵盤に触れてみてください。

楽しいチェンバロの時間が始まります。


thanks for coming by.
written by coquemomo

Marie Antoinette at the spinet,
(スピネットを弾くマリー・アントワネット)
by Franz Xaver Wagenschön

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