チェンバロの果実 ♪

ピアノのようなかたちをした鍵盤楽器チェンバロ。にほんでいちばんやさしいチェンバロのあれこれ。

ヾ(´∀`)ノ バイバイ暗譜 〜チェンバロの常識・ピアノの非常識〜

愛の夢~リスト:ピアノ名曲集

時々、聞かれることがあります。

チェンバロって、本番でも楽譜を見るんですか?」

ピアノ弾きには常識である暗譜。

他の楽器だとどうでしょうか?

オーケストラは指揮者も演奏者も
みんな楽譜あります。オケの映像見ると
譜面台いっぱいありますよね。

指揮者の中には見ない人もいます。
暗譜の指揮者と言えば、カラヤン
でも、アマチュアの指揮者は見るでしょうし、
主流は見るってことでよいと思います。

オペラ、ミュージカル、宝塚、
舞台の上で彼らは、歌手でもあり、
役者でもあります。
ここでは楽譜は不自然な小道具。
舞台の演者は楽譜を見ません。

それにそんな回りくどい説明をしなくても、
演じない歌い手だって楽譜は見ません。

ストラディバリウスを持つヴァイオリニスト。
ソリストも楽譜を見ないですね。

ステージ上で主役クラスと思われるような人は、
だいたい楽譜は持たないことになっているようです。

ピアノでも伴奏のときは楽譜見てます。
だいたい、譜めくりの人がめくってくれます。

ところで、暗譜って、何故するのでしょう?

今の暗譜のカタチは、
ピアノの魔術師フランツ・リストに始まった
と言われています。

リストは、超イケメンピアニスト。
作曲家でもあり、初見も暗譜も得意。

楽譜どころか鍵盤も見ません。
自分に酔いまくってピアノを弾く。

失神する女子も続出。
リスト自身も失神したこともあるそう。

リストがなぜ暗譜したかといえば、
多分、暗譜しようとしなくても
覚えてしまったから。

なぜ楽譜を置かなかったかといえば、
きっと美意識のカタマリだし、
ない方がカッコいいと思ったから。

クララ・シューマンが、当時まだ
主流ではなかった暗譜に取り組んだのは、
リストに傾倒してと言われていますし、
カッコいいものが広まって定着した
ということでしょうか。

オケや伴奏は合わせることが
大事になってくるから、
バラバラにならないためには
楽譜があった方がよいかもしれません。

さて、チェンバロのはなし。

チェンバロの世界では特に暗譜を求められません。

リストがこの世に生を享けたのは、
バッハやモーツァルトが亡くなった後。
つまり、時代的にチェンバロはリストより前です。

チェンバロは一度廃れて、復興しています。

モダン・チェンバロから古典チェンバロへの話は
また別の機会に譲ることにしまして、
そこには過去を再現しようという意識があった。

そうなると、その時代に求められていなかった
暗譜はしない方がむしろ自然な流れになります。

未熟なチェンバロ弾きだけでなく
プロのチェンバリストも暗譜をしません。

もし、暗譜で弾く超イケメンチェンバリスト
現れて、世界的に超有名の人気者になったら?
チェンバロの世界に暗譜をもたらすでしょうか?

ちょっとイメージが湧いてきません。

そういう人がひとり出てくることはあっても、
それが主流になるところまでは想像ができません。

そういったギスギス感のない優雅さが、
チェンバロの魅力なのかもしれません。

それにチェンバロは楽譜が置いてある方が
映えるような気がします。

絵画のように美しい芸術性豊かなチェンバロ
ちょっと使い込んだ楽譜が凛と佇んでいる姿が
そこにとても馴染むような気がするのです。


thanks for coming by.
written by coquemomo
Of course, I love Franz Liszt !

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