【2016/07/03 チェンバロ・フェスティバル in 東京 第4回 J.S.バッハ@浜離宮朝日ホール】その3
バッハのチェンバロ協奏曲全曲を演奏すると言う何とも魅惑的なコンサート、今回はその続きをお届けします。
BWV1062を聴き終えて、その迫力に圧倒されたデュオ・ローズ(薫子さんと私)ですが、この先も最後まで目の離せない、いや耳が離せない?、魅力的な楽曲の数々です。
それでは、チェンバロ・フェスティバル最終楽章です。
J.S.バッハ
チェンバロ協奏曲全曲演奏会 第2回(続き)
チェンバロ協奏曲 第6番 ヘ長調 BWV1057
ここで本日、最初で最後の譜めくりすとが登場しました。
2台のリコーダーも加わり、華やかで動きも早く、チェンバロの転がるような音が魅力の1曲です。 原曲はブランデンブルク協奏曲第4番。
奏者の鈴木優人さんは昨年見に行ったジョワ・ド・ヴィーヴルでアーティスティックディレクターを務めていました。 前回は指揮者として拝見しましたが、今日のチェンバロもどちらも素敵です。
普段から指揮者として活躍されているからか、弦楽器やリコーダーとの調和がとても自然で美しく感じました。
チェンバロ協奏曲 第5番 ヘ短調 BWV1056
曽根さん本日二度目のソロです。 5番はあまり聞いたことがなかったのですが、曲の魅力に気が付いたという意味で、本日最大の収穫です。
第2楽章はカンタータ第156番と同じ。「バッハのアリオーソ」として人気だそうです。
3台のチェンバロのための協奏曲 第2番 ハ長調 BWV1064
4台は短調、3台のもう1曲も短調。 この曲は3台4台で唯一の長調の曲です。 チェンバロのキラキラした魅力がふんだんに盛り込まれています。 こちらは1063と比べると3台らしさがよく出ているので最後を飾るに相応しい派手な曲です。
7曲なんて多過ぎるかなと思いましたが、そんなことなく、それぞれの曲の魅力にどっぷり浸りました。
もう終わってしまうのが残念です。
鳴り止まぬ拍手の中、舞台の中央には今日初めて4台が配置されていきます。
もしや、アンコールは・・・。
そうですよね。こんな素敵なチェンバリストが4人揃って、アンコールにできる曲なんてこの世に1曲しかありません。
アンコール:4台のチェンバロのための協奏曲 イ短調 BWV1065
オリジナルはヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲。 今だったら バッハ feat. ヴィヴァルディ、ヴィヴァルディとバッハのコラボとか言うところです。 アレンジでこれだけ自分らしさを出すバッハの頭の中はどうなっていたのでしょうか。
こちらのプログラムには4台がないことが心残りだね、薫子さんとそう話していたのですが、ラッキーなことに少し4台を聴くことが出来ました!!
この豪華なプロのチェンバリストたちをもってしても、難しい、頭を使う、と言わせるヨハン・セバスチャン・バッハ。 この偉大な作曲家の曲を聴いたり演奏したり出来ることを、とても幸せに思います。
使用楽器
左:デヴィッド・レイ 作/ フレンチ様式。 ブランシュの復元。 白地に可愛らしい柄の楽器、最近の曽根さんの写真でよく見るので、曽根さんの持ち物だと思います。
左2番目: ウィリアム・ダウド 作/ フレンチ様式。 れいね先生のフレンチと同じダウドの楽器、2台のダウドのハーモニーを聞いてみたいです。
左3番目: ブルース・ケネディ 作/ ジャーマン様式。 ミートケの復元。 響板も外してあるし、この配置だと殆ど見えません(T_T)
右: 久保田彰 作/ フレミッシュ様式。 響板の絵画が美しい久保田さんのフレミッシュ。
ちなみに4台から始まる第1回では、違う配置だったそうです。
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【2016/07/03 チェンバロ・フェスティバル in 東京 第4回 J.S.バッハ@浜離宮朝日ホール】その2
バッハのチェンバロ協奏曲全14曲を2回で演奏すると言うパワフルなコンサート、薫子さんとその第2回を聴きにきました。
この演奏会は、3日間に渡って行われたチェンバロ・フェスティバルの5つのコンサートのトリを飾る公演に当たります。
フェスティバルの期間中は、本格的な演奏会だけではなく、DVD上映会、レクチャー・コンサート、ミニライブやチェンバロの展示など様々なイベントがありました。
コンサートの前にちょっと寄ってきたので、こちらもどうぞ。 → その1
それでは、チェンバロ協奏曲、開幕です。
J.S.バッハ
チェンバロ協奏曲全曲演奏会 第2回
浜離宮朝日ホールの音楽ホールは552席、このくらい広くなると、チェンバロの音は小さく感じられます。
バッハの時代のようにストリングスは1人ずつの構成でしたが、それでも最初はストリングスの音量が強く感じられました。
しかし、素晴らしい演奏を聴いていると、その差を感じたこともいつの間にか忘れていました。
チェンバロの音を心行くまで楽しむには、サロンのような、100人も入ったら狭く感じられるような場所で聴けたらいいのですが……
でも、こんな素敵なコンサートを聴けるのがたった552人だなんて既に勿体ないのに、ましてや100人なんて言ったらバチが当たりそうです。
出演:大塚直哉、鈴木優人、曽根麻矢子、渡邊順生、
チェンバロ・フェスティバル・アンサンブル
4人のチェンバリストは、全2回の公演で、1台から2曲、2台と3台から3曲、4台1曲の計6曲を弾きます。 これはかなり大変なことです。
でも、チェンバロ・フェスティバル・アンサンブルのメンバーは全曲弾くのだから、こちらも相当大変です。
3台のチェンバロのための協奏曲 第1番 二短調 BWV1063
静寂な空間を突き破る冒頭の強烈なユニゾンは正に1曲目を飾るに相応しい作品、この1楽章はかなりお気に入りです。
第1チェンバロが幅を利かせているので、1台の協奏曲に似た雰囲気もあるのですが、3台でのやり取りや3台のユニゾンもあるため、1台の魅力と複数台の魅力を両方味わうことが出来ます。
一説には、第1チェンバロをバッハ本人が、第2チェンバロと第3チェンバロをバッハの息子(も苗字はバッハですが)に弾かせるためにこのようなアレンジになったと言われています。
チェンバロ協奏曲 第2番 ホ長調 BWV1053
れいね先生の師匠でもある渡邊順生先生のソロです。 音にとても深みがあり、重厚な響きに感動しました。
バッハの作品は短調を好んで聴いていますが、荘厳な長調の演奏を聴くと、長調の曲もお気に入りリストに加えたくなります。
渡邊先生、途中、楽譜をめくったものの前のページに戻ってしまい、めくり直していたところがありました。
ページが戻ったら頭が真っ白になりそうなのに、全く動じていません。何事もなかったというより、小鳥でも遊びに来たかのような物腰で、素晴らしい演奏と同じくらい感動してしまいました。
そういえばこの公演では出演者はみなさん楽譜を使用していますが、譜めくりの人はいないですね。
物販コーナーでは、渡邊先生のゴルトベルク変奏曲のCDが売ってました。14のカノンには、れいね先生も参加しています。
J.S.バッハ ゴルトベルク変奏曲(Bach: Goldberg Variations)
- アーティスト: 渡邊順生,J.S.バッハ,Yoshio Watanabe
- 出版社/メーカー: ALM RECORDS
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チェンバロ協奏曲 第1番 ニ短調 BWV1052
花と言えば桜、チェンバロ協奏曲と言えばバッハの第1番、名曲中の名曲です。
曽根麻矢子さんは装飾音の掛け方が華やかに艶やかで、それなのに柔らかさも感じます。 やっぱり装飾音はチェンバロの醍醐味ですね。
あと素敵だったのが曽根さんの衣装!
クラシックコンサートは所謂ドレスの方が多いですが、曽根さんの服はワンピースとして普段から着れそうな、それでいてシースルーで舞台映えもして、とても情緒がありました。
2台のチェンバロのための協奏曲 第3番 ハ短調 BWV1062
休憩を挟んで、ここから後半戦になります。後半の1曲目はBWV1062です。
楽譜をめくるタイミングから、私たちが使用したのと同じ楽譜のような気がします。
薫子さんに話すと、
「そうだと思います。先程チラッと表紙が見えました」とのこと。
次にあの楽譜を見るときに、何だか武者震いしそうです。
第1楽章、今までに聴いた中で最速のテンポの1楽章でした。改めて聴いてみると重たい曲なので、重くなり過ぎないようにもうちょっと速くできるといいなと思います。このテンポは無理ですが。
第2楽章、楽譜にはない装飾がタップリで、かなり華やかです。アンダンテでちょっと間延びするとは思っていたので、自分で弾く時ももっと自由に遊べるとよい気がします。
第3楽章 アレグロアッサイ、第1楽章が速かったので、どれだけ速いのだろうと思ったら、3楽章は思っていたくらいの速さでした。よかった。
どの楽章も終わり方が格好よかったので真似したいです。終わることを強調しすぎずに、でもさりげなくアピールする感じでしょうか。終わりから2拍目に少し重みを持たせて、だからといって最後の音は延ばしすぎない。
1楽章、この演奏は速くない方かな。私はこの曲は3楽章が最も好きです♪( ´▽`)
ほえー。聴き終わったら、1062を演奏した気分です。 他の曲よりパワーを使い、若干抜け殻になりました。
でも、むしろ抜け殻になってからの方が、自然に音楽に身を委ねることが出来ていたかもしれません。
全7曲なので、あと3曲ありますが・・・もう一度だけ続きます(^^;; → その3
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written by coquemomo
【2016/07/03 チェンバロ・フェスティバル in 東京 第4回 J.S.バッハ@浜離宮朝日ホール】その1
こんにちは。今回はデュオ・ローズの相方の薫子さんと行ってきたチェンバロ・フェスティバルの様子をお届けします。
今回の目玉は、バッハのチェンバロ協奏曲の全曲演奏会です!
バッハのチェンバロ協奏曲は全部で14曲。 1台が8曲、2台が3曲、3台が2曲、4台が1曲です。 つまり、4台が1曲、そこから1曲ずつ増えて、3台が2曲、2台が3曲、残りが1台です。 明日テストに出ても答えられますね!
この全14曲を2回の公演で全曲演奏します。 なんて濃厚なプログラムでしょう。
どちらの回も捨てがたいですが、BWV1062が演奏される第2回を選択しました。先日まで慣れ親しんでいたこの曲がどんな風に聴こえてくるか楽しみです。
その前に当日のチケットを提示すると無料で入場できる小ホールのレクチャー・コンサートに来ました。
レクチャー・コンサート
「諸国チェンバロ物語vol.2~ ドイツ&フランス」
チェンバリストの植山けいさん(写真右)と野澤知子(写真左)さんによるスライドを使用したレクチャーです。
チェンバロの歴史と様式を、その時代や地域の曲の生演奏を交えながら解説してくださいました。
その曲に合わせて、バロックダンサーの岩佐樹里さん(写真中央)が踊りを披露されました。
バロックの曲は舞曲が多く、例えばクーラントも舞曲だということは知っていたのですが、どんな踊りか知らなかったので新鮮でした。
会場が階段教室のようだったので、年齢の近い薫子さんと一緒にいたこともあり、大学の講義を受けている気分になりました。 何だか懐かしい感じです。
レクチャーで使われた楽器は3台、先程の写真の2段チェンバロと次の写真の2台です。
手前はクラヴィコード、奥はヴァージナル。 クラヴィコードの音はとっても繊細です。マイクがあっても小さく、かなり耳を澄まさないと聞こえないくらいでした。
さて、レクチャー・コンサートが終わってからチェンバロ協奏曲の開始までちょっと時間があります。
折角なので展示楽器を見ようかと思っていたら、レクチャーの前に見て回っていた薫子さんが、
「ロビーに展示してある楽器にこけももさんのスピネットに似てるのありましたよ」
教えられて見に行くと、確かに見慣れた形の楽器
マーク・デュコルネのスピネットが!
ということは…
やっぱりオワゾリールハウスの井岡妙さんがいらっしゃってました。
オワゾリールハウスはフランスのチェンバロ工房マーク・デュコルネの日本総代理店です。
井岡さんは、妹でチェンバリストである井岡みほさんの留学先を訪ねた際にチェンバロの音色と出会い、遂にはオワゾリールハウスを立ち上げます。
楽器の納品のときにお会いして以来なので、3年ぶりくらいでしょうか。 まさか今日ここでお会いできるとは思っていませんでした。
このモデルのスピネットは高音が艶やかによく鳴るとてもいい楽器です。
1列なので音に変化をつけることは出来ませんが、コンパクトなので狭い部屋でも圧迫感がなく、かつ優雅な気分に浸れます。
それはさておき、フランコ・フレミッシュの楽器も来ていました。
スピネットもいい楽器ですが、これはもう全然別格です。 次元が違います。
手を触れないよう注意書きがあったので触ることは出来ませんが、美しい装飾を眺めていると、以前弾かせて頂いたときの音色が頭の中で流れ始めます。3年経った今でも、あの響きは忘れられません。
よっぽど弾きたそうにしていたのでしょうか。井岡さんが声を掛けてくださいました。
「弾いても構いませんよ」
え、本当ですか!?
今日、来て良かった〜。コンサートの前に早くもテンションが最高潮に達しそうです。
椅子に腰を掛け、ゆっくり鍵盤に指を下ろすと、まろやかで煌びやかな音が響きます。
C'est magnifique !! C'est merveilleux !!
なんて素晴らしい楽器なのでしょう!
一音鳴らしただけで、もう完全に夢の世界です。
アルペジオを掻き鳴らすと、溜息の出そうなまばゆい音がします。
余韻に浸り、興奮している気持ちを少し鎮めて、座り直します。
いつもより長めの呼吸をして、思い切って、今、練習している曲の出だしを弾いてみました。
私が弾いたとは思えない響き!
さすがフランス製の楽器、フランスの曲がよく似合います。
「やっぱり、いいですね。700万でしたっけ?」
「装飾がないものなら、600万くらいになりますよ」
うーん、どっちにしても高いです。
・・・私は当分はスピネットで頑張ります。
・・・あー、チェンバロ貯金しようかなあ。
こちらはマーク・デュコルネのイタリアン、奥が安達正浩さんのフレンチかな。 どの楽器も本当に素敵ですね!
で、気がついたらあっという間に開演時間が迫っていました。
さあ、お待ちかね、チェンバロ協奏曲全曲(の半分)の演奏会が始まります。
演奏会の様子は・・・次回に続きます(^^;; → その2
(注)文中に出てきたチェンバロの価格は参考価格であり、その金額で購入出来ることを保証するものではありません。
thanks for coming by.
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〜BWV1062 フィナーレ〜 チェンバロ レッスン.:*・゜゜201605 **・゜゜
prologue
今月はデュオ・ローズでのレッスンです。
薫子さんと私の予定を合わせられる日が一日しかなく、今月は無理かもと言い合っていたのですが、れいね先生の予定が奇跡的に合ったので、何とか実現できました。
そして本日は、おさらい会で3楽章を弾いたBWV1062の完全版という位置づけです。
この曲はバッハが作曲した2台ヴァイオリンの協奏曲(BWV1043)をバッハ自身がチェンバロ用にアレンジしたものと言われています。
それぞれのパートは単独でも曲として成立するくらい魅力的です。 重なり合ってはじめて、この旋律は対旋律だったのかと気がつかされることもありました。
印象的なテーマが提示され、別のパートが追いかけるように応え、更に広がり、形を変え、調も変化し、曲は展開していきます。 追いかけ合いの中、時折登場するユニゾンの緊張感もまた魅力的です。
長く弾いた曲から離れるタイミングは難しいものですね。何だか寂しい気持ちになります。 でも、前に進むためには必要なステップなのかもしれません。
それに不思議なもので、曲も熟成するらしく、ちょっと寝かせて、また弾くと、意外と良くなったりします。
第1楽章
「1楽章、いいですね ♪」
いつもれいね先生の評価が高い第1楽章。
薫子さんと私の間ではミスタッチが最も多い楽章として評価が低いのですが、先生はそういう反応ではないんですよね。
正確さだけで評価するのなら、コンピューターに演奏させればいいよねってことになってしまうので、表現の部分は大切にしなくてはと思います。
でも、ミスを減らす努力もしないとなぁ。
あと、84小節目の4拍目、合わせる!
第2楽章
「こけももさん、多分そっちの楽器のせいだと思うのですが、もっとギリギリまで押さずに」
先生がこっちにやってきました。
「そうね。やっぱりかなり軽いですね。でももっともっと溜めて」
そう言って出だしの部分を弾いて見せてくれました。
多分、最終回と言ってしまったので、大サービスでの見本。
しっかり焼きつけて、再現しなくては。
あの響きを、あのタッチを。
2度目の演奏で何とか及第点となりました。
「そう、これで2台の響きが同じところになりましたね」
1楽章と3楽章は2列で弾いてますが、2楽章は1列にしています。 この2楽章の柔らかい雰囲気にはやっぱり1列の方が合うのです。
でも、この音色の点において、今日、私は根本的なところを直されたわけで、曲の根幹を左右するような致命的なことであったように思います。
この音の感じを感覚に刻み込んで、いつでも取り出せるように、どういう風に弾きたいかを忘れないように。
溜める、味わう、楽器の軽さにつられない。
24小節目はCembalo Ⅱ が聞く。
47小節目はCembalo Ⅰ が聞く。
第3楽章
3楽章は最近猛烈にやったせいもあり、それほど指摘を受けませんでした。
134小節目、最後のテーマに戻るところ、ここが最大の山場です。
1楽章と同じような展開ですが、最後の山はとにかく大切に。ここで全てが決まると言っても過言ではありません。
72小節目から勢いで誤摩化している感があるので、再度この曲をやるときはしっかり弾きこんでいきたいと思います。
総括
「それぞれの楽章の個性が違ったカラーで出ていて、とても良かったと思います。 卒業おめでとうございます」
おまけ:金平糖の踊り
12月に勢いで合わせてみたものの、笑い話にしかならなかった金平糖。
あの後、iPadアプリを購入して2台チェンバロ用の譜面を起こしました。
家で眠っていたこちらが活躍しました。
iPad/iPhone用スタイラスペン (タッチペン) Su-Pen P201S-T9C (カーボン軸)
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もうちょっと、安いやつだったような…。
iPad miniの画面に現れた鍵盤をひたすらSu-Penで押し続けて、完成しました。
「これ、先生の分です ⸜( ´ ꒳ ` )⸝」
最後のページが1行になってしまったところは少々美しくありませんが、その点を除けば、Notionが格好よく楽譜を印刷してくれました。
「ありがとう! 綺麗ですね」
褒められました ⸜( ´ ꒳ ` )⸝
でも、先生の手書きの楽譜はもっと素敵なんです。 私は、いつかれいねフォントを販売する権利を交渉したいと思っております。
「こけももさん、このファの音は何?」
1小節目の1拍目に、必要のない音が!!!
「印刷するときに触って変な音を入力しちゃったみたいです( ´・ω・`)」
何で見直さなかったのーー!!
詰めが甘いなあ。
この蛇足な音はさておき、おかしいところがないか先生にチェックしてもらいました。何度も聞き直したおかげか、修正は1箇所で済みました。
「殆どこのままで問題ないですね。売れますね」
「私もそう思ったのですが、2台チェンバロアレンジの需要がないみたいです」
1部壱千円也。一家に1部、いかがでしょうか?
epilogue
最後に今後やりたい曲の話をしてデュオレッスンは終了しました。
一人でもハーモニーが奏でられるという理由で鍵盤楽器に戻ってきたけれど
2台チェンバロって楽しい!!
thanks for coming by.
duo rose is to be continued.
written by coquemomo
【2016/05/03 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2016 #168@G409】
La Folle Journee (ラ・フォル・ジュルネ) は2月の初め頃にフランスのナントで開催されるクラシックの音楽祭です。
10年くらい前から日本でも行われていて、Le Salon du Chocolat (ル・サロン・デュ・ショコラ) のようにフランスで開催してから数ヶ月遅れでやってきます。
サロン・デュ・ショコラは今や大人気のイベントとなり、あまりの混雑に足が遠のいてしまった一方で、ラ・フォル・ジュルネは何だか億劫で行ったことがありませんでした。
今年はチケットが販売される時期にパリ行きの準備をしていてフランス気分が高まっていたのか、いつの間にかチケットを買っていました。
ただ単に財布の紐が緩んでいただけかもしれません。 おかげで今はひもじいです。(>_<)
ラ・フォル・ジュルネには毎年テーマがあります。
今年のテーマは
「la nature ナチュール - 自然と音楽」
です。最初の頃は作曲家や時代をテーマにしていたのですが、段々テーマが壮大になってきました。
ちなみに、ナントでの記念すべき第1回目のテーマはモーツァルト。
“La Folle Journee” は
『フィガロの結婚』の正式なタイトル
“La Folle Journee, ou le Mariage de Figaro”
から来ているので、納得ですね。
英訳しておくと、
“The Mad Day, or the Marriage of Figaro”
ラ・フォル・ジュルネはマッドな日ということになりますが、熱狂の日という素敵な訳がつきました。
さて、自然というテーマからはどんな曲をやるのかよくわかりませんが、毎年一つくらいはチェンバロメインの公演もあるので調べてみたら、3つありました。
公演番号168 5/3 チェンバロ:ピエール・アンタイ
公演番号268 5/4 チェンバロ:ピエール・アンタイ
公演番号367 5/5 チェンバロ:ピエール・アンタイ
3つあるけど、つまり日にちが選べるってことですね。
演奏曲目がラモーとF.クープランの曲から構成されていてオールフレンチなので、チェンバロよりもフランス語でクラヴサンと言った方がいいかもしれません。
それにしても、なぜラモーやクープラン?と思ったら、ふたりの曲には番号ではなくタイトルが付いているものがたくさんあるんですよね。 鳥とか花とかナチュールな曲を集めやすいわけです。
このイベントではたくさんのクラシックコンサートが行われ、東京国際フォーラムのコンサートホールを主な会場としています。それぞれの会場にはナチュールに川の名前が付されていました。
チェンバロの公演会場は3つとも『G409(セーヌ)』です。 パリの繁栄の原点とも言われる川の名前を持つ会場はどのホールかと調べてみると、
セーヌ(G409:153席) ガラス棟にある会議室。東京国際フォーラムならではの充実した設備が導入されており、イベントにもよく利用されています。
あ、『G(ガラス棟の)409(号会議室)』でしたか。
国際フォーラムの一面ガラス張りのところ、何があるのか気になっていましたが、会議室などがあるんですね。
気がついたらポチッとしていた公演は初日の5月3日のものです。18歳以上入場可となっています。
チェンバロはオトナになってから。
ではなく、22時開始の夜の公演です。
開場は21時45分とあったので、ホールE(パシフィック)の無料公演の観覧を適当に切り上げ、意気揚々とガラス棟のエレベーターを上がりました。 しかし、時間になっても409号室の扉は開かれません。
会議が長引いているのか、もしやチェンバロを狙った密室殺人が起きたのではと思ったのですが、ハープの公演が延びただけのようです。
開始予定時間も過ぎた頃にやっと会場に入ることができました。
もうガラスは見えません。普通の会議室です。 Atlier von Nagel の2段チェンバロと燭台のようなランプがセットされていました。
頑張ってランプは用意したけれど、明かり以外にこれと言ったデコレーションもなく、会議室感満載です。
この開始時間で遅れてくる人はいないでしょう。会場を見回すとほぼ満席です。着席は速やかに済み、程なく運営の方から遅延に対する簡単な謝罪と注意事項がありました。
「1曲は2〜3分程度の短めのものですが、演奏者の希望により1曲ごとに拍手をしないようにお願い致します。本日の公演は大きく3つのパートに区切られていますので拍手はそこでお願い致します」
こんな注意、初めて聞きました。
クラシックコンサートで曲が終わったと思って拍手したら、次の楽章が始まって顰蹙を買ったということがありますが、拍手くらい好きにさせてあげればと思う反面、積み上げた空気が壊れてしまうことも否めません。
会場の後ろの方からチェンバリストのピエール・アンタイさんが軽やかに入ってきます。
一旦チェンバロの椅子に座りましたが、すぐに演奏は始まりません。思ったより燭台ランプが暗かったのか、ちょっと調整が入りました。
さあ、始まりますよ。
22時から遅れること20分、この日最後にして最大の公演が幕を開けました。
早い曲とゆっくりの曲、明るい曲と暗い曲が絶妙に配置されています。
好きな曲っていうと、つい早い曲を選んでしまいがちですが、ゆっくりな曲も繊細でやわらかくて素敵です。また、ゆっくりした曲があると、早い曲の魅力も更に際立ちます。
日常ではBGMとして音楽を聴くことの方が多いかもしれませんが、こうして心を込めて組まれたプログラムを聴くことはとても優雅で贅沢な時間です。
チェンバロは強弱のつかない楽器ですが、これだけ素晴らしいとそんな次元はあっさり超えてしまいます。 煌めくような音に心は囚われ、あっという間に終わってしまいました。
アンコールはフレンチではなく、バッハのゴルトベルク変奏曲のアリアでした。
ラモーで高まった空気が、ゴルトベルクのしめやかでゆったりとしたものに変わり、今宵の音楽の宴は締めくくられました。
華やかで煌びやかで美しいクラヴサンの演奏にフランスの空気を感じましたが、そういえばここはガラス棟の会議室です。
凄いなぁ。会議室にいることどころか、日本にいることすら忘れていました。
そんな私の余韻とは裏腹に、急いで出て行く人たちのざわめきが広がります。
そうでした、開始が遅れたことも忘却の彼方に消え去っていました。
これだけ時間に正確な日本ですが、コンサートの開始時間だけはなぜか当てにならないですね。
merci de votre visite.
ecrit par coquemomo
〜こけもも meets ヴァージナル〜 チェンバロ レッスン.:*・゜゜201604 **・゜゜
La Flute de Pan で購入した楽譜を携えて、いざレッスンへ。 ちょうどおさらい会 も終わった後で新たな気持ちで再出発です。
でも、練習時間もあまり取れなかったので、全然上手く弾ける気がしません ( ´・ω・`)
「じゃあ、始めます?」
と、いつも以上に笑顔が素敵なれいね先生。 今日の曲が先生の専門のフランス・バロックの作品だからでしょうか。
でも、ガッカリさせてしまう予感がします。 先に伝えておきましょう。
「音、はずしまくりますけど」
「これ、はずしまくりあるあるな曲なの。私も何度も試験とかで外したし」
うーん、れいね先生に外しまくり認定を受ける曲を選んでしまったことを後悔するべきでしょうか。 まあ、でも動きがあって華やかな曲ってことで前向きにいきましょう!
「あ、いい楽譜ですね。私、これに書き込みしづらいです」
え、それは困ります。ビシバシ書いてください!
こうして新たなシーズンが幕を開けました。
先生の丁寧な書き込みと私の記憶から本日のポイントを。
・前打音はフランスものでは普通前の音に拍の頭が来るけれど、3度で収まっている音型では拍の頭が後ろの音に来る。 これはお決まりのパターンで指使いは必ず3→2(前打音を3で弾く)。
・普通アーティキュレーションを入れるようなところにスラーが書いてあるのは、アーティキュレーションを入れないでという意味。
さて、前置きはこのくらいで、今日の目玉はこちらです。 レッスンに行ったら、置いてありました。
ヴァージナル!
何ヶ月か前のデジャヴュって感じもしますが、今回はミニチュアではありません。本物の楽器です。
「弾いてみてもいいですか?」
「どうぞ」
やったね!
ゆっくりと指を鍵盤に下ろします。弦が
フェルメールが描いた楽器といえばやっぱりヴァージナルを思い浮かべる人が多いと思いますが、あの絵の雰囲気そのままの音色です。
私の感想に対し、れいね先生が楽器の構造の観点から解説をしてくれます。
「そうですね。チェンバロやスピネットは弦の端のほうを
なるほど。弦を
この写真で見えるかなぁ。
精彩な画面だとペアになっているジャックのそれぞれ左側の方のプレクトラムが見えると思います。 右側の方は恐らく逆側にプレクトラムがついているので見ることは出来ません。
そういえばこの楽器、ジャックが木製ではありません、珍しいかも。
古楽に触れるにつれて、フレンチチェンバロ、イタリアンチェンバロ、スピネット、クラヴィコード、フォルテピアノと、色々な楽器を弾く機会に恵まれましたが、ヴァージナルを弾いたのって初めてです。
この暖かみのあるまろやかな音は、大型のチェンバロには出すことが出来ない、ヴァージナルならではの響きですね。
そして、装飾もかなり可愛いくて、こんな素敵な楽器なのに、ドの音に惜しげもなくシールが貼られています。先生の娘さんのためでしょうか?
あぁ、私も今日見てもらった外しまくりあるあるの曲のために、低いレの音にシールが欲しいです。
merci de votre visite.
ecrit par coquemomo
【2016/03/19 Romeo et Juliette @ Opera Bastille, Paris】 (ロメオとジュリエット パリ バスチーユ オペラ座)
音楽は少し嗜んでいたけれど、バレエは友だちの発表会を見た程度。
だから「オペラ座で観るならオペラだよね、オペラ座だし」って思っていました。
でも、私がパリで初めて見たオペラは、イタリア語で歌ってフランス語の字幕がついていました。Σ(゚д゚lll)
字幕を見ながら舞台も見るって、オペラ初心者にはハードルが高過ぎやしませんか!
しかも、テレビの字幕なら、映像に重ねて表示できますが、舞台でそんなことは出来ません。 プロセニアムアーチの天井側にある電光板に字幕が出ていました。
舞台と字幕を同時に視野に入れるのは難しく、結局、字幕を読むのは諦めることにしました。
そしてあるとき気がつきました、実はオペラの曲よりバレエの曲の方をよく聴いていることに。
一度バレエを観てみると、音楽だけでなくバレエそのものもよい気がしてきました。
と言うのも、バレエに言葉の壁はないので、舞台に集中出来ます。
そんな理由?って言われるとそうなんですが、そんなところから徐々にバレエを楽しむことを覚えていきました。
さて、本日の作品は「ロメオとジュリエット」
ロミジュリって言うし、日本ではロミオの方が通りがいいでしょうか。
でも、バレエの演目ではローマっぽさを出すためにイタリア語読みにすることが多いので、ロメオ君とお呼びしましょう。英文学作品なのにね。
だからと言って、
「あゝロメオさま、何故あなたはロメオなの?」
とは言いません。バレエですから切ない気持ちも動きに乗せていきます。 言葉がないという制限された世界は、時に言葉以上の想いを伝えます。
原作:ウィリアム・シェークスピア
作曲:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:ルドルフ・ヌレエフ
プロコフィエフって知らないって言う人もこの曲はCMで聞いたことがあるのでは。
バレエの華は主役の二人ですが、この日はコール・ド・バレエ(群舞)がとても素敵でした。
この「騎士たちの踊り」もコール・ド・バレエ、キャピュレット家の人々の剣を使った踊りです。
キャピュレット家の衣装は真紅。 この色がとても鮮やかで、剣の鋭い動きと相まって、引き込まれます。
幾つものカップルが整然と舞台を駆け巡り、剣を振りかざし、そして、斜めの隊列は円になり、また違う形を見せていく。 個々の動きと全体の広がり。
少人数では絶対に出来ないコール・ド・バレエの世界。 ここまで舞台全体の動きに見惚れたことはなかったかもしれません。
やっぱりキャピュレットよねと思ってたら、モンタギュー家も負けていなかった。
モンタギュー家は深緑の衣装にフラッグを使った踊り。
いやーん、フラッグも格好いい(^^)
かなり大きなフラッグなのに、モンタギューの人々は寸分違わず正確に動かします。早い動きの中でフラッグだけは余韻のように優雅にはためき、昂揚感が高まっていきます。
剣やフラッグのもたらす華やかさと力強さの虜になりそうです。
剣は群舞だけではなく格闘シーンにも使われていました。この格好よさは殺陣に通じるものがありますね。 どちらが勝つか決まっていても、魅せ方が素晴らしく見入ってしまいます。
そういえば、この公演は Premiere(プルミエール)って書いてありました。初日の公演を観るのは初めてですが、そのせいもあるのか、今までに見たことないくらい、とにかく全員のクオリティの高さが最上級でした。
第2幕からは、主役ふたりの存在感が増していきます。
ロメオ君の衣装は爽やかなアップルグリーンとホワイトで、ジュリエット嬢は可愛さ溢れるコーラル。 この淡い感じが、ふたりの若さを象徴しているよう。
特にジュリエットは上に着る濃い赤のドレスが少女から大人への変化を表しているようでまた素敵でした。
主役のふたりのための踊り、パ・ド・ドゥが始まるとガラリと空気が変わります。
群舞の素晴らしさに心奪われていたけれど、これだけのダンサーの中から選ばれるエトワールは、やはり格別です。
それぞれの動きも神業としか思えない超絶技巧の世界ですが、それ以上にふたりの重なり合いに溜息。
どうしたらこんなに合わせられるのでしょう。
双子のような、鏡のような、それでいて相手に合わせているだけではないそれぞれの個性。
重なるところと、際立つところ。
ひとつの世界と、無限の広がり。
あ、これってデュオのレッスンでれいね先生が言ってたことと同じ! フランス語で星を意味するエトワールは、正に雲のずっと上の存在だけど、このイメージが少しでもデュオ・ローズの演奏に繋がるといいなぁ。
ところで、パリのオペラ座には、ロシアのボリショイ劇場や英国のロイヤルオペラハウスなどと同様に付属のオーケストラがあります。
当然、生演奏です。 音楽監督がいて専属のオーケストラがあれば、音楽と合わせる練習もそれだけ充実します。
オペラ座管弦楽団といえば管弦楽のコンサートとして聴きに行く価値のある一流の楽団です。 その場で音が紡ぎ出される臨場感、バレエとの一体感がとても良かったです。 やっぱり音楽ってかなり重要な要素です。
ちなみに、日本の新国立劇場は専属のオケがないので、色々な楽団が交代で演奏します。
久々のフランス滞在でしたが、つくづくパリって芸術を身近に感じることの出来る街だなぁと思います。 3回に渡ってお届けしたパリの中に何か琴線に触れるようなものがあれば幸いです。
note*1 オペラ座のチケット購入〜ネット編〜
パソコンかスマートフォンでオペラ座の公式ページにアクセスします。言語は英語かフランス語です。
オペラ座はガルニエ宮とバスチーユと二つの劇場があります。 オペラ座と言われて思い浮かべるのはガルニエ宮の方なので、建物としてはやっぱりガルニエを見ておきたいですが、劇場としてはバスチーユの方が好きだったりします。
購入するには会員登録をしなくてはなりません。 登録に必要なのは、 メールアドレスと任意のパスワード。 名前、生年月日、住所、電話番号。 あとは、支払いにクレジットカードを使用しました。
公演を選択して支払いが完了すると、すぐにメールが届きます。 メールにあるリンクからログインすると「チケットが用意出来たのでダウンロードか印刷してね」とあります。
Bille mobileボタン(英語だとMobile ticketかな)をクリックすると、QRコードが表示されます。 当日はこのQRコードを見せればOKです。 なお印刷の方はもっと普通のチケットっぽい見た目です。
note*2
フランス語のアクサン等につきましては、文字化け防止のため省略しています。
merci de votre visite.
au revoir, paris.
ecrit par coquemomo