La Flute de Pan エレガントでまた行きたくなるパリの素敵な楽譜屋さん
Musee de la musique に引き続き、チェンバロの果実♪ パリ編をお届けします。
旅行に行くと、朝から晩まで予定タップリの人と、のんびり行き当たりばったりの人、あなたはどちらですか?
私は、後者です。
根がナマケモノなので、楽しい予定でも、ありすぎると逃げ出したくなっちゃうのです。
でも、ちょっとは考えておかないとね。
パリで何しようかなぁ…
(o゚▽゚)o キュピーン!(←何かがヒラめいた音)
そうだ、楽譜屋さんに行ってみよう。
でも、どこにあるんだろう。
(o゚▽゚)o キュピーン!(←閃きの神が降臨した音)
れいね先生はパリに留学していたから、きっとパリの楽譜屋さんも知っているはず。
1月のレッスン のときにParis Pratique (edition 2001 ←古っ!)を持っていって尋ねてみました。
Paris Pratique はパリのポケットサイズ(よりちょっと大きいかな)の地図です。 全ての通りの索引があるところがポイントです。 これさえあればパリで迷うことはありません。 仮令パリで迷ってもすぐにどこにいるかわかります。*1
「メトロのEurope駅を降りてすぐのところ、この通りにあるんだけど、同じお店が3軒あるけど、チェンバロの楽譜を置いてあるのはここ」
めもめも_φ(・_・
「お店の名前は、えーと、La Flute de Pan (ラ・フリュート・ドゥ・パン) だったかな」
パンのフルート
パンはパリに行ったら発酵バターをタップリつけて食べようと思っているバケット的なアレではなくて、ギリシア神話の神様。
上半身は人、下半身は山羊の牧神パンは音楽も好きなんですよね。
で、楽器のパンフルートの由来となる神話があります。
何だか粋な感じ!!
お店の名前だけでワクワクしてきて、パリに行きたくなりました。 いや、パリには行くのですけども。
さて、Europe駅を降りたら、寒いのなんの。
ちょっと3月、もうちょっと暖かくしておいてよ。
この日は緩やかな風が吹きっぱなし。 柔らかい風は悪くないけど、こうも温度が低いと身に沁みます。
うぅ寒いです…。早くお店に入りたいです。
すぐに見つかるかなあ。まずは適当に歩いてみます。
キョロキョロしていたら、すぐに1軒目を発見しました。ラッキー。でも、多分ここではない予感。
入って聞いてみましょう。
"Est-ce que vous en avez pour le clavecin ?"
(チェンバロの楽譜ありますか?)
"Non, dans autre magasin."
(別の店舗になります)
やっぱり違ってました。れいね先生の説明からすると、そうじゃないかとは思ってました。
同じ通りなので、あとはこの道を真っ直ぐ行くだけです。程なく2軒目が見えてきました。
入ってみたところ、ピアノの楽譜がなさそうなので、多分ここも違います。 でも、オーケストラの譜面があるから、チェンバロのパート譜があるかなと聞いてみると、チェンバロはみんなもう一軒の店舗にあるとのこと。
さーてと、3軒目に参りますわよ。
別に間違えたわけなんかじゃなくてよ。
折角来たのですから他の店舗も視察させて頂こうかなと思いまして。
それに、真打ちは最後に登場って決まりなのですから。
3軒目は同じ通り沿い、最初に入った店舗の先にありました。
到着!!!
ここだけクリーム色の外観なので、次は間違えることはありませんわ。
ちょっとお待ちになって。間違えたなんて失礼なことをおっしゃるのはどなたかしら。
まだ氷点下になる事もある3月のパリだからといって、一目散に目的地に向かうなどパリジェンヌ日本代表の私には考えられないことでしてよ。
その割には寒過ぎて写真撮影が適当すぎで「3店舗とも全く同じアングルでワロスw」とか思いもしないですわ。
入り口の写真は構えが更に雑で、構図のかけらもなく本来ならお蔵入りですけれど、致し方ありませんわね。 日の丸を背負ってもメダルを逃す日だってありますもの。
ガチャ。
"Bonjour."
(こんにちは)
"Bonjour."
(いらっしゃいませ)
入るとピアノの楽譜がいっぱいあります。
お店の中は天井まである棚に所狭しと楽譜が並べられています。
日本で楽譜を扱っているお店だと売れ筋の楽譜が平積みされていますが、平積みはかなり少なめです。 もっとも、私が日本で行くのは、楽器屋さんの楽譜売り場になるので、楽譜の専門店だとこんな感じになるのかもしれません。
路面店だし、どちらかというと雰囲気でいうなら古書堂と言ったイメージでしょうか。 でも、扱っているのは古書ではありませんし、広さも3倍から4倍くらいはありそうです。
また、棚同士が近いので、感覚的に図書館に似たものを感じます。
そんな事を思いながらお店の中を一回りした後、チェンバロのコーナーをひたすら見ました。
ピアノに比べたらほんのちょっとですけれど、それでも見たことのないチェンバロ譜がたくさんあります。 それだけで楽しくて仕方ありません。
片っ端から取っ替え引っ替え、表紙に見とれたり、ページをめくったり。
楽譜一冊丸ごと手書き(印刷ですが)のものもあります。 作曲家本人の直筆でしょうか。流暢でお洒落な感じすらしますが、筆記体同様、ぺーぺーには即座に読むことが出来ません。 買い物は実用性重視です。 そそくさ棚に戻しました。
ところどころ日本の楽譜もありました。少々こそばゆいです。どういう基準で仕入れているのでしょうか。
高い棚に手を伸ばしたり、しゃがみこんで低い棚を漁ったり、そうこうしているうちに1時間以上、チェンバロ譜の辺りを陣取っていました。
お店の人に怪しまれたかも…
眺めているだけでアートなものもたくさんあり、欲しいのがいっぱいあります。さすがに気になったの全部買うと大変なことになりそうです。 楽譜って結構高いのですよね。
今はインターネットで無料や安価にダウンロード出来ます。 でも、楽譜を買うとそれだけでやる気が変わるのは私だけでしょうか。
そうは言っても、買ったものの弾いたことがない楽譜もあります。積ん読ならぬ積ん弾?
ここは厳選しましょう。 持って帰るのに重いし、大量買いしても楽譜は書籍だから、仮に免税が出来たとしてもたかが知れてます。*2
これとこれと…決めました。レジに持っていきましょう!
私の前のお客さんのお会計が終わり、私の番が回ってきました。 厳選したと言っても2冊以上の楽譜なんて普段買わないからか、武者震いがしてきました。
レジを打ちながら、店員さんが話しかけてきました。
"Vous etes professionnelle ?"
(プロの音楽家さんですか?)
"Non."
(いいえ、違います)
"Etudiante ?"
(学生さんかしら?)
"Non, je suis amateur."
(いえ、音楽は趣味なんです)
もしかして、音楽関係者だと割引があるのかな。
(そういうのはなかったと思います。れいね談。)
支払いが完了し、お店のお姉さんはビニールの袋らしきものに私が購入した楽譜を入れようとして、手を止めました。 少し考えるような仕草をしたあと、後ろに掛かっている布製の袋を指差しました。
"Quelle couleur aimez-vous ? Blue, rouge, jaune, rose."
(何色がいいですか? 青、赤、黄色、ピンク?)
"Rose, j'aime beaucoup." (えーと、ピンク)
慣れた手つきでピンクの布バッグを取り、楽譜を入れて差し出してくれました。
"Voila !" (はい、どうぞ)
"Merci, mais pourquoi avec le sac ?" (でも、何でこの袋を?)
"C'est un cadeau a vous." (あなたへのプレゼントよ)
"Merci, c'est gentil !" (ありがとうございます!)
布バッグは薄手のものなのでノベルティーなのだと思いますが、冊数なのか値段なのか店員さんの気分なのか、もらえた基準まではわかりませんでした。
もっと聞いてみてもよかったのですが、いただいたハッピーな気持ちが薄れてしまいそうなので、これ以上は聞かないでおきましょう。
今年と来年くらいで、この楽譜たちを楽しみたいと思います。
この楽譜が終わった頃、またこのお店に来れたらいいなあ。
La Flute de Pan
59 rue de Rome 75008 Paris
Metro : Europe
定休日 : 日曜
さて次回は、パリ編をもうひとつだけお届けしたいと思います。 チェンバロからはちょっと離れた話になる予定ですが、ご覧いただければ嬉しいです。
note*1
さすがに古過ぎるかなとParis Pratique の新しいのを買いました。 今回はiPhoneを持っていって、シャルルドゴール空港で購入した現地SIMが、そんなに要らないけど1ギガあったため、GPSも乗換案内も使いたい放題。 iPhone Pratique 状態だったのですが、それでも便利です、Paris Pratique。旅行者の強い味方です。 ⤴モドル
note*2
フランスのTVA(付加価値税=消費税)は20%ですが、食品や書籍は5.5%です。
免税をするには最低175.01ユーロ以上の買い物をする必要があります。
このお店が免税に対応しているかは確認していませんが、仮に出来てもそもそものTVA が小さいため、大した返金は見込めないということになります。⤴モドル
note*3
フランス語のアクサン等につきましては、文字化け防止のため省略しています。
merci de votre visite.
ecrit par coquemomo