【2016/03/19 Romeo et Juliette @ Opera Bastille, Paris】 (ロメオとジュリエット パリ バスチーユ オペラ座)
音楽は少し嗜んでいたけれど、バレエは友だちの発表会を見た程度。
だから「オペラ座で観るならオペラだよね、オペラ座だし」って思っていました。
でも、私がパリで初めて見たオペラは、イタリア語で歌ってフランス語の字幕がついていました。Σ(゚д゚lll)
字幕を見ながら舞台も見るって、オペラ初心者にはハードルが高過ぎやしませんか!
しかも、テレビの字幕なら、映像に重ねて表示できますが、舞台でそんなことは出来ません。 プロセニアムアーチの天井側にある電光板に字幕が出ていました。
舞台と字幕を同時に視野に入れるのは難しく、結局、字幕を読むのは諦めることにしました。
そしてあるとき気がつきました、実はオペラの曲よりバレエの曲の方をよく聴いていることに。
一度バレエを観てみると、音楽だけでなくバレエそのものもよい気がしてきました。
と言うのも、バレエに言葉の壁はないので、舞台に集中出来ます。
そんな理由?って言われるとそうなんですが、そんなところから徐々にバレエを楽しむことを覚えていきました。
さて、本日の作品は「ロメオとジュリエット」
ロミジュリって言うし、日本ではロミオの方が通りがいいでしょうか。
でも、バレエの演目ではローマっぽさを出すためにイタリア語読みにすることが多いので、ロメオ君とお呼びしましょう。英文学作品なのにね。
だからと言って、
「あゝロメオさま、何故あなたはロメオなの?」
とは言いません。バレエですから切ない気持ちも動きに乗せていきます。 言葉がないという制限された世界は、時に言葉以上の想いを伝えます。
原作:ウィリアム・シェークスピア
作曲:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:ルドルフ・ヌレエフ
プロコフィエフって知らないって言う人もこの曲はCMで聞いたことがあるのでは。
バレエの華は主役の二人ですが、この日はコール・ド・バレエ(群舞)がとても素敵でした。
この「騎士たちの踊り」もコール・ド・バレエ、キャピュレット家の人々の剣を使った踊りです。
キャピュレット家の衣装は真紅。 この色がとても鮮やかで、剣の鋭い動きと相まって、引き込まれます。
幾つものカップルが整然と舞台を駆け巡り、剣を振りかざし、そして、斜めの隊列は円になり、また違う形を見せていく。 個々の動きと全体の広がり。
少人数では絶対に出来ないコール・ド・バレエの世界。 ここまで舞台全体の動きに見惚れたことはなかったかもしれません。
やっぱりキャピュレットよねと思ってたら、モンタギュー家も負けていなかった。
モンタギュー家は深緑の衣装にフラッグを使った踊り。
いやーん、フラッグも格好いい(^^)
かなり大きなフラッグなのに、モンタギューの人々は寸分違わず正確に動かします。早い動きの中でフラッグだけは余韻のように優雅にはためき、昂揚感が高まっていきます。
剣やフラッグのもたらす華やかさと力強さの虜になりそうです。
剣は群舞だけではなく格闘シーンにも使われていました。この格好よさは殺陣に通じるものがありますね。 どちらが勝つか決まっていても、魅せ方が素晴らしく見入ってしまいます。
そういえば、この公演は Premiere(プルミエール)って書いてありました。初日の公演を観るのは初めてですが、そのせいもあるのか、今までに見たことないくらい、とにかく全員のクオリティの高さが最上級でした。
第2幕からは、主役ふたりの存在感が増していきます。
ロメオ君の衣装は爽やかなアップルグリーンとホワイトで、ジュリエット嬢は可愛さ溢れるコーラル。 この淡い感じが、ふたりの若さを象徴しているよう。
特にジュリエットは上に着る濃い赤のドレスが少女から大人への変化を表しているようでまた素敵でした。
主役のふたりのための踊り、パ・ド・ドゥが始まるとガラリと空気が変わります。
群舞の素晴らしさに心奪われていたけれど、これだけのダンサーの中から選ばれるエトワールは、やはり格別です。
それぞれの動きも神業としか思えない超絶技巧の世界ですが、それ以上にふたりの重なり合いに溜息。
どうしたらこんなに合わせられるのでしょう。
双子のような、鏡のような、それでいて相手に合わせているだけではないそれぞれの個性。
重なるところと、際立つところ。
ひとつの世界と、無限の広がり。
あ、これってデュオのレッスンでれいね先生が言ってたことと同じ! フランス語で星を意味するエトワールは、正に雲のずっと上の存在だけど、このイメージが少しでもデュオ・ローズの演奏に繋がるといいなぁ。
ところで、パリのオペラ座には、ロシアのボリショイ劇場や英国のロイヤルオペラハウスなどと同様に付属のオーケストラがあります。
当然、生演奏です。 音楽監督がいて専属のオーケストラがあれば、音楽と合わせる練習もそれだけ充実します。
オペラ座管弦楽団といえば管弦楽のコンサートとして聴きに行く価値のある一流の楽団です。 その場で音が紡ぎ出される臨場感、バレエとの一体感がとても良かったです。 やっぱり音楽ってかなり重要な要素です。
ちなみに、日本の新国立劇場は専属のオケがないので、色々な楽団が交代で演奏します。
久々のフランス滞在でしたが、つくづくパリって芸術を身近に感じることの出来る街だなぁと思います。 3回に渡ってお届けしたパリの中に何か琴線に触れるようなものがあれば幸いです。
note*1 オペラ座のチケット購入〜ネット編〜
パソコンかスマートフォンでオペラ座の公式ページにアクセスします。言語は英語かフランス語です。
オペラ座はガルニエ宮とバスチーユと二つの劇場があります。 オペラ座と言われて思い浮かべるのはガルニエ宮の方なので、建物としてはやっぱりガルニエを見ておきたいですが、劇場としてはバスチーユの方が好きだったりします。
購入するには会員登録をしなくてはなりません。 登録に必要なのは、 メールアドレスと任意のパスワード。 名前、生年月日、住所、電話番号。 あとは、支払いにクレジットカードを使用しました。
公演を選択して支払いが完了すると、すぐにメールが届きます。 メールにあるリンクからログインすると「チケットが用意出来たのでダウンロードか印刷してね」とあります。
Bille mobileボタン(英語だとMobile ticketかな)をクリックすると、QRコードが表示されます。 当日はこのQRコードを見せればOKです。 なお印刷の方はもっと普通のチケットっぽい見た目です。
note*2
フランス語のアクサン等につきましては、文字化け防止のため省略しています。
merci de votre visite.
au revoir, paris.
ecrit par coquemomo
La Flute de Pan エレガントでまた行きたくなるパリの素敵な楽譜屋さん
Musee de la musique に引き続き、チェンバロの果実♪ パリ編をお届けします。
旅行に行くと、朝から晩まで予定タップリの人と、のんびり行き当たりばったりの人、あなたはどちらですか?
私は、後者です。
根がナマケモノなので、楽しい予定でも、ありすぎると逃げ出したくなっちゃうのです。
でも、ちょっとは考えておかないとね。
パリで何しようかなぁ…
(o゚▽゚)o キュピーン!(←何かがヒラめいた音)
そうだ、楽譜屋さんに行ってみよう。
でも、どこにあるんだろう。
(o゚▽゚)o キュピーン!(←閃きの神が降臨した音)
れいね先生はパリに留学していたから、きっとパリの楽譜屋さんも知っているはず。
1月のレッスン のときにParis Pratique (edition 2001 ←古っ!)を持っていって尋ねてみました。
Paris Pratique はパリのポケットサイズ(よりちょっと大きいかな)の地図です。 全ての通りの索引があるところがポイントです。 これさえあればパリで迷うことはありません。 仮令パリで迷ってもすぐにどこにいるかわかります。*1
「メトロのEurope駅を降りてすぐのところ、この通りにあるんだけど、同じお店が3軒あるけど、チェンバロの楽譜を置いてあるのはここ」
めもめも_φ(・_・
「お店の名前は、えーと、La Flute de Pan (ラ・フリュート・ドゥ・パン) だったかな」
パンのフルート
パンはパリに行ったら発酵バターをタップリつけて食べようと思っているバケット的なアレではなくて、ギリシア神話の神様。
上半身は人、下半身は山羊の牧神パンは音楽も好きなんですよね。
で、楽器のパンフルートの由来となる神話があります。
何だか粋な感じ!!
お店の名前だけでワクワクしてきて、パリに行きたくなりました。 いや、パリには行くのですけども。
さて、Europe駅を降りたら、寒いのなんの。
ちょっと3月、もうちょっと暖かくしておいてよ。
この日は緩やかな風が吹きっぱなし。 柔らかい風は悪くないけど、こうも温度が低いと身に沁みます。
うぅ寒いです…。早くお店に入りたいです。
すぐに見つかるかなあ。まずは適当に歩いてみます。
キョロキョロしていたら、すぐに1軒目を発見しました。ラッキー。でも、多分ここではない予感。
入って聞いてみましょう。
"Est-ce que vous en avez pour le clavecin ?"
(チェンバロの楽譜ありますか?)
"Non, dans autre magasin."
(別の店舗になります)
やっぱり違ってました。れいね先生の説明からすると、そうじゃないかとは思ってました。
同じ通りなので、あとはこの道を真っ直ぐ行くだけです。程なく2軒目が見えてきました。
入ってみたところ、ピアノの楽譜がなさそうなので、多分ここも違います。 でも、オーケストラの譜面があるから、チェンバロのパート譜があるかなと聞いてみると、チェンバロはみんなもう一軒の店舗にあるとのこと。
さーてと、3軒目に参りますわよ。
別に間違えたわけなんかじゃなくてよ。
折角来たのですから他の店舗も視察させて頂こうかなと思いまして。
それに、真打ちは最後に登場って決まりなのですから。
3軒目は同じ通り沿い、最初に入った店舗の先にありました。
到着!!!
ここだけクリーム色の外観なので、次は間違えることはありませんわ。
ちょっとお待ちになって。間違えたなんて失礼なことをおっしゃるのはどなたかしら。
まだ氷点下になる事もある3月のパリだからといって、一目散に目的地に向かうなどパリジェンヌ日本代表の私には考えられないことでしてよ。
その割には寒過ぎて写真撮影が適当すぎで「3店舗とも全く同じアングルでワロスw」とか思いもしないですわ。
入り口の写真は構えが更に雑で、構図のかけらもなく本来ならお蔵入りですけれど、致し方ありませんわね。 日の丸を背負ってもメダルを逃す日だってありますもの。
ガチャ。
"Bonjour."
(こんにちは)
"Bonjour."
(いらっしゃいませ)
入るとピアノの楽譜がいっぱいあります。
お店の中は天井まである棚に所狭しと楽譜が並べられています。
日本で楽譜を扱っているお店だと売れ筋の楽譜が平積みされていますが、平積みはかなり少なめです。 もっとも、私が日本で行くのは、楽器屋さんの楽譜売り場になるので、楽譜の専門店だとこんな感じになるのかもしれません。
路面店だし、どちらかというと雰囲気でいうなら古書堂と言ったイメージでしょうか。 でも、扱っているのは古書ではありませんし、広さも3倍から4倍くらいはありそうです。
また、棚同士が近いので、感覚的に図書館に似たものを感じます。
そんな事を思いながらお店の中を一回りした後、チェンバロのコーナーをひたすら見ました。
ピアノに比べたらほんのちょっとですけれど、それでも見たことのないチェンバロ譜がたくさんあります。 それだけで楽しくて仕方ありません。
片っ端から取っ替え引っ替え、表紙に見とれたり、ページをめくったり。
楽譜一冊丸ごと手書き(印刷ですが)のものもあります。 作曲家本人の直筆でしょうか。流暢でお洒落な感じすらしますが、筆記体同様、ぺーぺーには即座に読むことが出来ません。 買い物は実用性重視です。 そそくさ棚に戻しました。
ところどころ日本の楽譜もありました。少々こそばゆいです。どういう基準で仕入れているのでしょうか。
高い棚に手を伸ばしたり、しゃがみこんで低い棚を漁ったり、そうこうしているうちに1時間以上、チェンバロ譜の辺りを陣取っていました。
お店の人に怪しまれたかも…
眺めているだけでアートなものもたくさんあり、欲しいのがいっぱいあります。さすがに気になったの全部買うと大変なことになりそうです。 楽譜って結構高いのですよね。
今はインターネットで無料や安価にダウンロード出来ます。 でも、楽譜を買うとそれだけでやる気が変わるのは私だけでしょうか。
そうは言っても、買ったものの弾いたことがない楽譜もあります。積ん読ならぬ積ん弾?
ここは厳選しましょう。 持って帰るのに重いし、大量買いしても楽譜は書籍だから、仮に免税が出来たとしてもたかが知れてます。*2
これとこれと…決めました。レジに持っていきましょう!
私の前のお客さんのお会計が終わり、私の番が回ってきました。 厳選したと言っても2冊以上の楽譜なんて普段買わないからか、武者震いがしてきました。
レジを打ちながら、店員さんが話しかけてきました。
"Vous etes professionnelle ?"
(プロの音楽家さんですか?)
"Non."
(いいえ、違います)
"Etudiante ?"
(学生さんかしら?)
"Non, je suis amateur."
(いえ、音楽は趣味なんです)
もしかして、音楽関係者だと割引があるのかな。
(そういうのはなかったと思います。れいね談。)
支払いが完了し、お店のお姉さんはビニールの袋らしきものに私が購入した楽譜を入れようとして、手を止めました。 少し考えるような仕草をしたあと、後ろに掛かっている布製の袋を指差しました。
"Quelle couleur aimez-vous ? Blue, rouge, jaune, rose."
(何色がいいですか? 青、赤、黄色、ピンク?)
"Rose, j'aime beaucoup." (えーと、ピンク)
慣れた手つきでピンクの布バッグを取り、楽譜を入れて差し出してくれました。
"Voila !" (はい、どうぞ)
"Merci, mais pourquoi avec le sac ?" (でも、何でこの袋を?)
"C'est un cadeau a vous." (あなたへのプレゼントよ)
"Merci, c'est gentil !" (ありがとうございます!)
布バッグは薄手のものなのでノベルティーなのだと思いますが、冊数なのか値段なのか店員さんの気分なのか、もらえた基準まではわかりませんでした。
もっと聞いてみてもよかったのですが、いただいたハッピーな気持ちが薄れてしまいそうなので、これ以上は聞かないでおきましょう。
今年と来年くらいで、この楽譜たちを楽しみたいと思います。
この楽譜が終わった頃、またこのお店に来れたらいいなあ。
La Flute de Pan
59 rue de Rome 75008 Paris
Metro : Europe
定休日 : 日曜
さて次回は、パリ編をもうひとつだけお届けしたいと思います。 チェンバロからはちょっと離れた話になる予定ですが、ご覧いただければ嬉しいです。
note*1
さすがに古過ぎるかなとParis Pratique の新しいのを買いました。 今回はiPhoneを持っていって、シャルルドゴール空港で購入した現地SIMが、そんなに要らないけど1ギガあったため、GPSも乗換案内も使いたい放題。 iPhone Pratique 状態だったのですが、それでも便利です、Paris Pratique。旅行者の強い味方です。 ⤴モドル
note*2
フランスのTVA(付加価値税=消費税)は20%ですが、食品や書籍は5.5%です。
免税をするには最低175.01ユーロ以上の買い物をする必要があります。
このお店が免税に対応しているかは確認していませんが、仮に出来てもそもそものTVA が小さいため、大した返金は見込めないということになります。⤴モドル
note*3
フランス語のアクサン等につきましては、文字化け防止のため省略しています。
merci de votre visite.
ecrit par coquemomo
聖地巡礼? パリの音楽博物館 Musee de la musique でチェンバロを見よう!
Bonjour, comment allez-vous ?
れいね先生オススメのMusee de la musique (ミュゼ・ドゥ・ラ・ミュズィック)は1997年にパリに出来た比較的新しい博物館です。
日本語にすると『音楽博物館』
まだ新しいのに、こんな唯一無二の名前が付いているということで、益々期待が膨らみます。
ずっと行きたかったのですが、ちょいと飛行機で12時間となると、中々都合がつきません。 先日、やっと、チェンバロを習ってから初めてのパリ行きが実現しました。
到着の次の日は特に予定がなかったので、念願のMusee de la musique へ。
早速メトロに乗って、といきたいところですが
その前に、アレを買わなくては。
次にパリに来たら買おうと思ってたもの
そう、パリのSuica、Navigo
です。
買うと決めていても下調べが出来ていないのはいつものこと。 きっとメトロの窓口で売ってますよね。
"Est-ce que je peux acheter un Navigo Decouverte ici ?" (ここで、Navigo を買えますか?)
"Bien sur !" (もちろんよ)
やったね。これで1週間26.25ユーロで、パリ市内とおまけに郊外も電車にバスに乗り放題!!
さあ、メトロに乗ろうと思ったら、窓口のお姉さんに止められました。
"Attendez ! Il faut la photo avant."
(乗る前に写真を貼らなきゃダメよ)
その辺は、Navigo の前身カルト・オランジュと同じシステムなのですね。
すぐそばにある Photomaton® (フォトマトン)で写真を撮って、さっきのお姉さんのところに持っていくと、雑な感じに切ってNavigoに貼ってくれました。 ちょっ、写真の枠からはみ出てるよ!
カルト・オランジュを買った時の記憶が蘇ります。 あれもかなり適当な感じに貼られたなぁ。
ちなみに、Photomaton® は日本で言うスピード写真で撮影料金は5ユーロでした。 高くはないけど、いまどきデジカメならタダで…
べらんめえ、こちとら江戸っ子でえ(ウソです)
そんな細かいことは気にしねえぜ。
しかも、パリのエスプリを感じる素敵な証明写真があと4枚も残ってらあ。
さあ、今度こそ、行きましょう。
ビュン!
Navigo をかざすと、何と表現すればいいかよくわからない近未来な音がします。
この音はぜひパリで確認してみてください。 初めてSuicaで改札を通った時のようなワクワク感が湧き上がること間違いありません。
さて、音楽博物館はパリの19区の端の方にあります。 最寄り駅はメトロ5号線のPorte de Pantin駅。 2回乗り換えて到着しました。
私にとっては初めて降りる駅です。ドキドキ。
わあ、音符!!
駅を降りるとホームの壁には五線譜が描かれていました。
Musee de la musique は Cite de la musique (シテ・ドゥ・ラ・ミュズィック)の中にあります。 Cite は都市という意味なので、ここは『音楽の都市』の最寄り駅ってことになります。
コンサートホールなどもあって、すぐ近くには Conservatoire nationale superieure de musique et danse de Paris(コンセルヴァトワール=パリ国立高等音楽・舞踏学校)があります。
さて、改札を出たものの、駅からの行き方がよくわかりません。 と、言うのも地図を見ても、まとめてシテの場所がドーンと書いてあるので、博物館の具体的な場所がどこかよくわからないのです。
3月中旬にしては寒いパリの街を少しキョロキョロ歩き回ってみました。 それらしき建物は1つしかなさそうです。 ここの入り口で聞いてみることにしましょう。
“Ou est la musee de la musique ?”
(音楽博物館はどこにありますか?)
“Ici."(ここだよ)
(写真を見直すと、右側のプレートに書いてありそうな…。)
パリの荷物検査は以前より厳しくなったように思います。 美術館などでバッグの中身を見せるのは以前からでしたが、結構覗き込まれ、ボディチェックもあります。 でも、安全のためなので仕方ありません。
怪しいものは持っていませんので、程なく中に入れました。
まずはチケットを買います。大人1枚7ユーロです。
左手に進んでと言われたので見るといきなりおみやげやさん。日本だとぐるっと一周回って元のところが出口兼おみやげやさんっていうのはよくあるけど、出会い頭におみやげやさんってのは結構斬新な造りですね。
おみやげはとりあえずスルーしましょう。右手奥にクロークが見えますが預けたいものはありません。受付に進んでお姉さんにチケットを見せます。
“Vous parlez le français ?”
(フランス語は話せますか?)
“Oui, mais un peu.”
(少しなら)
“Est-ce que ca vous convient en français ?”
(これはフランス語で大丈夫?)
あ、音声ガイドを貸してくれるんですね。 別料金の設定ではないようです。
“Il n'y a aucune probleme.”
(フランス語で問題ないです)
“Vous venez d'ou ?”
(どちらからお越しですか?)
“Je viens du Japon. ”
(日本からです)
“・・・”
(・・・)
極東の島国 Japonには特に思い入れがなかったのか、そのまま操作方法の説明に入りました。
音声ガイドの操作は簡単で、使い方はすぐわかりました。
お礼して、展示フロアに入ると、
いきなりチェンバロ!!!
わお。テンションマックス!!
と、いうのは勘違いで、
入ってすぐのフロアは17世紀の間。 年代順に配置されると、チェンバロは当然初めの方になります。
館内を見ているうちに、先ほど渡された音声ガイドが大活躍していることに気がつきました。
よく美術館で貸してくれる音声ガイドは、書かれている番号を押すと、その絵の背景やその絵を描いた画家についての説明があるのだと思います。
この音声ガイドもその楽器にまつわる歴史を聞けるのは勿論のこと、その楽器で録音された演奏を聴くことができるのです。
どんな楽器かを知るにはビジュアルだけじゃなく、耳から入る音の情報があってこそ。
更に、館内の要所には小型のディスプレイが配置され、そこで動画を再生しています。 この動画の音声はこのガイド端末で聞くことが出来ます。
普通、音の出る解説動画を流すとなると、他のお客さんへの影響も考えて、壁で仕切るなどするものですが、この方法ですと、あちこちで解説動画を流すことが出来ますね。
音声ガイドが必ず手渡される理由がわかりました。
あとは、点字が用意されているのも楽器の博物館ならではでしょうか。
楽器の形状や演奏方法も指で触れてわかるようになっています。
次のフロアは18世紀。
18世紀と言えば豪華なフレンチチェンバロの時代。 華やかな楽器が展示されています。
こんな煌びやかな楽器が似合うのは、やっぱりマリー・アントワネット?
さすが、フランス。ラモーがピックアップされています。
そして、18世紀の後半、ピアノが台頭してきます。
いわゆるフォルテピアノです。
でもここでは Piano a queue(グランドピアノ)と書かれていただけで、特にモダンピアノとの区別はされていませんでした。
音の強弱がつくもの同士だからか、何故かクラヴィコードも同じあたりに置いてありました。
この18世紀のフロアにはステージがあります。 毎日ここでミニコンサートをやっているようです。
この日はクラリネット奏者が、クラリネットの他に古楽のリコーダーなども色々演奏していました。 また、演奏だけでなく管楽器の歴史もお話されていました。ちょっとした音楽史の講義みたいですね。
後ろのチェンバロらしきものが気になったのですが、残念ながらこちらが演奏されることはありませんでした。 このコンサートは数日で違うものに変わるようなので、いつかこの楽器の音色と出会える日が来るかもしれません。
次のフロアは19世紀。音楽で言うとロマン派の時代です。
チェンバロも終わっちゃたし、長いこと演奏を聴いていたのもあって、このフロアは軽めに流しました。
なので、写真も流しました。テヘペロ (・ω≦)
そして20世紀のフロアです。
そこには、ちょっと眼が覚めるようなものが置いてありました。
まず、テルミンがきて、
去年オンドについて少し学んだので、何だか感慨深いです。 原田さんが演奏した楽器とは少し雰囲気が違います。
その先には録音ブースのような場所にミキサーが展示されていて、現在に繋がります。
音楽の時間旅行はここでおしまい。
平日の昼間だったせいか、混み過ぎず、かといって誰もいないわけでもなく、居心地のよい空間でした。
この日比較的多かった来館者は、小学生の課外授業のような少人数の団体でした。
子供たちはフロアに直に座って先生の話を聞いています。 質問したり、ふざけたり、楽しそうでした。 私も子供の頃にこういう体験をしたかったなあ。
この博物館には、鍵盤楽器の他にヴァイオリンやフルートなどたくさんの楽器が展示されています。 メトロノームなど楽器周辺の小物や世界の民族楽器もあります。 チェンバロ以外にも装飾に凝った楽器が色々と置いてあり、音を鳴らす前から芸術作品です。
ぜひ、パリを訪れた際は立ち寄ってみてください。
MUSEE DE LA MUSIQUE
221 avenue Jean Jaures 75019 Paris
Metro : Porte de Pantin
休館 : 月曜
次回のチェンバロの果実♪もパリ編をお届け予定です。
フランス語のアクサン等につきましては、文字化け防止のため省略しています。
merci de votre visite.
ecrit par coquemomo
【2016/02 音楽とねことケーキ(おさらい会+お茶会)@及川邸チェンバロルーム】
心地よい音楽に包まれて、気まぐれなねこと戯れて、美味しいケーキがあったら、夢みたいだと思いませんか?
そんなうたかたのひととき、おさらい会に参加して参りました。
会場を借りて行うカチッとした発表会も悪くないけれど、
バロック時代の人たちは、こうやって誰かのところに集まって自由に音楽を楽しんだのではないかなと、そんな風に思います。
冬の間は頼まれたシュトーレン製作で時間がないというパティシエールなオンディーヌちゃんが、今日はガトーショコラを焼いてきてくれました。
しっとりしていて、ショコラのほろ苦さと甘さの加減が絶妙で、いくらでも食べたい!
さ・ら・に! れいね先生が用意してくれたグラニースミスのアップルパイ。
薫子さんと表参道のお店に行ったことがありますが、先生は世田谷のお店によく行くそう。
アップルパイだけのお店ですが、定番アップルパイも数種類あって、期間限定アップルパイも見逃せません。
チェンバロルームはこんな感じ。
被写体は現役アイドル、茜あいちゃん(*^^*)
かわいいと何やっても映える〜!!
もちろん、私もちゃんと弾きましたよ。
My Set List
(duo Rose feat. Reine)
バッハ:2台のチェンバロのための協奏曲 第3番 ハ短調 BWV 1062 第3楽章
J.S.Bach : Konzert fur zwei Cembali, Streicher und Basso Continuo c-moll, BWV1062
(solo)
モーツァルト:トルコ行進曲(ピアノソナタ第11番 第3楽章)
W.A.Mozart : Klaviersonate A-dur, KV 331
あ、両方とも3楽章(^^;;
夢の時間はあっという間に過ぎ去ります。 名残惜しい空気を柔らかく包みこむように、素敵なおみやげが配られました。 情感溢れる演奏をしてくれたかすみさんからです。 いつも優しい心遣いをありがとうございます。
参加されたみなさま、来年(予定)の発表会で、またお会いしましょうね!
thanks for coming by.
written by coquemomo
previous duo rose lesson (with Kaoruko-san)▼ lepetitclavecin.hatenablog.com
previous lesson for Turkish▼ lepetitclavecin.hatenablog.com
previous article with Ondine-chan ▼ lepetitclavecin.hatenablog.com
〜はじめての3台チェンバロ〜 チェンバロ レッスン.:*・゜゜201602 **・゜゜
「今日はチェンバロ3台出しておきました。 でも、これだと狭くて、おさらい会はキツキツかも(^^;;」
え? と、れいね先生の言葉に、薫子さんと私は驚きの表情で顔を見合わせました。
そして、『ガラスの仮面』ばりにキラキラ輝く瞳で、突然の喜びを分かち合ったのでした。
はじめての3台クラヴィーアから3ヶ月。
何と、はじめての3台チェンバロの実現と相成りました。
残念ながら、3台クラヴィーアの時と同様、3台を楽しむ余裕はなかったわけですが、それでも、物事が好い方へ向かっているという感覚それ自体が、今後の加速につながります、きっと。
さて、今日のレッスンは、今までのデュオ・ローズのレッスンの中でも、最もデュオらしいレッスンとなりました。
つまり、アンサンブルの要、合わせることの難しさとトコトン向き合うレッスンとなったわけです。
合わせるって言っても、全部の音がピッタリ合うわけではありません。
そこまで合わせようとしたら、メトロノームと合わせるように機械的になってしまいます。
だから、音楽であるためには合わせない音もあって、でも合ってる感じを失ってはいけません。
ほんの一瞬、ここはやるぞっていう気持ちが一致するとすごくよくなります。
相手がメロディを受け持っているときに引き立たせることが出来るとガラッと曲が際立ってきます。
でも、そんなゆとりがないことの方が多くて、途中でついていけなくなってしまうこともしばしば。
2台チェンバロは2台4手の世界です。 2台あることで、連弾(1台4手)では出来ないような動きが可能になります。 4手それぞれが独立した旋律を奏でたり、ユニゾンになったり、色々なカラーが生まれます。
そこが魅力なのですが、綺麗な薔薇には棘があるんですよ。
ソロでつっかえたときは、誤魔化して進むか、止まって再開するか、とにかく自分のペースで弾き始めます。
でもね、デュオで自分だけ失敗しても曲は進みます。
流れている曲に合わせて弾き始めればいいだけですが、速い曲でしかもアウフタクトな曲だと、もう一度入るのはかなり困難!! そもそも、失敗してるくらいなのに。
テレビゲームで、いい感じにボスと戦ってたけど、1機死んだら、身ぐるみ剥がされた状態でボス戦再開みたいな。
そこから先はあれよあれよと残機がなくなり……
GAME OVER
キャー ((((;゚Д゚)))))))
今日は薫子さんにいっぱい迷惑を掛けてしまいました。
結局ここは自主練タイムに一小節ずつ合わせてもらうことにしました。
一小節ごとに止まって確認して、納得いかなければもう一度合わせてみます。 繰り返すうちにピタリとハマってきます。 ハマるとたった一小節でも美しく感じられます。
調弦がピタリと決まったときの昂揚感と似た感覚。
ちょっとずつですが、何かが摑めてきました。
先生のレッスンを受けて自主レッスンをして、もうグッタリです。 来たときの『ガラスの仮面』の瞳は、どこにいってしまったのでしょう。
帰りがけに先生からは甘いお言葉が…
「疲れてると思うのでカロリー摂ってくださいね ♫」
リーズナブルなランチを求めて電車で移動するも、多くのお店でランチタイムは終了していました。ガーン。
少ない選択肢からのランチ(デザート付き)でカロリー補給するも、いつになく寝てしまいそうで。
でも、とっても楽しかったです。
次は3台チェンバロ、満喫しますよ!
thanks for coming by.
written by coquemomo
〜アウフタクト再び〜 チェンバロ レッスン.:*・゜゜201601 **・゜゜
3歳の時点で身につけられていなかったことは、大人になってもそうそう簡単に出来るものではなくて、
「こけももちゃんは音感は抜群だけど、リズム感が(なさすぎ)ね…」
三つ子の魂百までってこういうときには使えるのでしたっけ?
それはともかく、3歳までのリズミカルなエクスペリエンスが足らなかったらしく、リズム感が欠如した大人になってしまいました。
あ、れいね先生からデュオ・ローズにLINEが来ました。
おさらい会は2月でお願いします。
とりいそぎ
なんかの暗号みたい。
わお。時間ない。( j・ω・)
おさらい会って一般的にはあまり使われないことばでしょうか。
ピアノやバレエとか習ってた子は、使っていたような。
ざっくり言うと小規模な発表会で、でも特にこれがおさらい会という定義はありません。
れいね先生は会場を借りるときは発表会、先生の自宅でやるときはおさらい会という言葉を使います。
デュオ・ローズの片割れ薫子さんと短いやり取りをして、1月は別々に2月は一緒にレッスンを受けることにしました。
なぜに時の流れは容赦がないのでしょう。あっという間に1月のレッスンの日が来てしまいました。
「じゃあ、もう一度最初から丁寧に見ていきましょう」
という笑顔のれいね先生が鬼の形相になったのは3秒後。
2拍目の音で止められました。
最短記録更新かも?
「相手を追いかけるので、合わせる形になるけど、1拍目は8分休符、つまり弱拍になるので、弱拍の16分音符♬ではなく、2拍目に当たる音に重さを置いて、そこがバシッと合う感じで。 アウフタクト、装飾みたいに」
が、何も活かせてない( ̄◇ ̄;)
そもそも、これがアウフタクトであることに気がついていませんでした。
言われればわかるのに、気がつけない。
今度から楽譜を初めて見るときに、アウフタクトかどうか、あえて意識することを誓います。
「じゃあ、もう1回」
リズムを刻んで、こんな感じかな。
「そう! いいですね」
もらいました、れいね先生の菩薩のような笑顔!
「あとは、もうちょっと楽に弾けそうな気がするので、頑張らないで」
頑張らないって結構難しいのですが、幾つかのポイントを教えて頂きました。
・拍を刻むところ以外は軽く
・音が上がっていくところは指だけで弾くと固くなってしまうので、下から上に手首の回転を使って
・1拍目が終わりでも始まりでもあるところは駆け込んでしまいがちだけど一呼吸待って
・低い音だからといって全部5の指で弾かないで4•3を重ねて重量感を出して
デュオのレッスンまでにどこまでもっていけるかなあ。
それにしても、リズム感が欲しい。
ちなみに、全然身に付かないリズム感とは対照的に、音感の方はドンドン錆びついていったのですが、この話は絶対音感の話と合わせてまたの機会に。
thanks for coming by.
written by coquemomo
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みんな気になるチェンバロの値段の話
あけましておめでとうございます♪( ´▽`)
……と言うのも憚れる時期になってしまいましたが、
今年最初の更新です。
1月ももう終わりですね。 暖冬で冬物が売れないと嘆いていたところから一転、急に寒くなりました。
長崎市では観測史上最多の16センチの積雪、奄美大島では115年ぶりの降雪、こけももさんも寒さによるのど風邪を引く(今シーズン二度目ですが…)など寒い話題でもちきりです。
そんな大寒波にちなんで(?)
今日は懐が凍えるチェンバロの値段の話を。
ストーブに火を灯して、お付き合いくださいませ。
チェンバロがどんなものかわかってもらえると次に気になるのが、
「幾らぐらいするものなの?」
結構この質問は多いんです。
何でもそうかもしれませんが、楽器の値段も上は天井知らずです。
高い楽器と言えば、ヴァイオリンのストラディバリウス(ストラド)が有名ですね。 ストラドは、アントニオ・ストラディバリさんが製作したヴァイオリンのこと。 安くても数千万円、億を下らないものもたくさんあります。
ストラディバリが生きたのは17世紀から18世紀、この時期はチェンバロの最盛期と重なります。
では、チェンバロもストラドのような名器がたくさんあるかって言うと、残念ながらそうではありません。 ピアノの台頭と共に廃れてしまったチェンバロはそれほど数が残っていません。
大きいし邪魔だし要らないし、となれば処分されてしまいます。
きっと当時の良家の姫君も
「さっさとピアノをよこしなさい。 チェンバロなんか燃やしておしまい。」
と、言ったことでしょう。
ああ、もったいない。
美術館や博物館に残っている17〜18世紀のチェンバロは、装飾も華やかで美術品としての価値も高いですが、 市場に出回るものでないため、価格をつけることにあまり意味はないでしょう。
と・こ・ろ・で、自動車って幾らくらいしますか?
何を突然と言われてしまいそうですが、そう言わずに。
新車で軽自動車クラスだと100万円、普通のセダンなら300万円くらいが基準でしょうか。
それより安くてリーズナブルなのももちろんあります。
高機能高性能だったり、ラグジュアリーなソファだったり、優れたデザインだったりと、オプションがつくことによって、どんどん値段は上がっていきます。
新しいものは高いし、中古市場も充実していて、外車は総じて高いですね。
では次に、ピアノって幾らくらいでしょうか?
かなりザックリ言うなら、ヤマハやカワイなど国産のアップライトピアノで100万円くらい、グランドピアノで300万円くらいかと思います。
スタインウェイやベヒシュタインなど海外メーカーのものだともっと高くなります。
でも、じゃあ100万円ないとピアノを始められないの?って言うと、そんなことはありません。
安価なモデルを探せば70万円台でもありますし、中古市場も活気があります。
自動車はピアノより陳腐化が早く、買い替えの頻度が高いですが、 同じくらいの感覚で捉えることが出来そうです。
では、チェンバロの金額ですが、幾らくらいするかって言うと、小型のもので100万円くらい、大型のものだと300万円くらいを目安にするといいかなと思います。
あれ? また同じような数字になってしまいました。 覚えやすくてラッキー。
もう少しチェンバロについて見ていきましょう。
小型チェンバロと言うと、スピネットやヴァージナル。
◆ スピネット https://fr.wikipedia.org/wiki/Épinette_(instrument_de_musique)#/media/File:Epinette_Rouaud.JPG © 2005 Rouaud
◆ ヴァージナル https://fr.wikipedia.org/wiki/Clavecin#/media/File:Virginal.jpg
アップライトピアノは壁と平行に弦を張ることで省スペース化を図っていますが、スピネットやヴァージナルは普通のチェンバロと同じように床に対して平行に弦を張ります。
でも、鍵盤に対してまっすぐ張るのではなく、斜めに張ることによって小型化を実現しています。 弦の本数は、鍵盤の数と同じで、大体40〜60本くらいです。予算は100万円を見込んでください。
次に一段チェンバロになると、グランドピアノのような形、言い換えると一般的なチェンバロの形になります。 通常一段チェンバロには一つの鍵盤に二本の弦が張ってあります。 これを二列といいます。
レジスターを切り替えて、一本だけ鳴らしたり、二本同時に鳴らしたりできます。 鍵盤は50〜60鍵くらいなので、弦の本数は100本〜120本になります。 このクラスの楽器を買うときは200万円を目安にするとよいと思います。
そして、二段チェンバロ。 一般的にチェンバロと言って思い浮かべるのはこれですね。
上鍵盤には1つのキーに1つの弦、下鍵盤には2つの弦が割り当てられています。 また、下鍵盤を鳴らすと同時に上鍵盤の弦を鳴らすことの出来るカプラー装置がついていて、3つの弦を同時に鳴らすことも出来ます。
鍵盤は60×2で120個くらい、弦は60×3で180本くらいになります。ここまでくると300万円は用意しなくてはなりません。
大雑把な説明ですが、弦が増えると値段が上がるということがわかります。
受注生産が主のチェンバロはオプションも色々。 オプションをつければつけるほど当然値段が跳ね上がります。
響板に花や鳥を描いてもらったり、屋根の内側に風景を描いたりするのもオプションの一例です。 鍵盤の白黒反転もこう見えてオプションです。
最後に残念なことに、チェンバロを中古で買うのはなかなか困難です。 絶対数が少ないので仕方ないのですが、時々出てもあっという間に買い手が決まってしまいます。
ちなみに新品がいいかどうかっていうのはなかなか難しいところです。
弾き込むことによって楽器が安定してきますので、作り立ての時点では思うように鳴らなかったりします。 もちろんそれを育てていく楽しみもあります。
また、例えば「あれと同じもの」って頼んでも全く同じにならないのが楽器。 でも、その個性がまた魅力なのかもしれません。
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written by coquemomo
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