【2016/08/26 デュオ・ミュゲ 2台チェンバロの調和 Vol.5@近江楽堂】〜memorandum〜
このブログで使用している写真のほとんどは、私が撮影したものです。 最初はフリー素材を使わせてもらおうと思っていたものの、探すのが面倒で挫折しました。
今日の1枚目(上の写真)は、3月にパリのアベス公園で撮影したスノーフレークです。
スズランに似たこの花を撮りながら、デュオ・ミュゲ、そろそろコンサートやらないかな、次はフランスものがいいなあと思っていたところ…
私の願いが通じたのか半年もしないうちに実現しました。
やったね!!
「その写真、日本で撮れるよね」 という声が聞こえてきそうですが、気にしません。
では、タップリ楽しんだデュオ・ミュゲ(中村恵美・及川れいね 2台チェンバロ)のコンサート、今回はその様子をお届けしたいと思います。
会場はとても便利な近江楽堂です。
オペラシティの中といった方がわかりやすいかもしれません。
オペラシティにはオペラを演れる大きなホールがありますが、私にとっては オペラシティ=近江楽堂、ここしか入ったことがありません。
近江楽堂なら構内案内図などは不要なくらい来ているので、迷わず到着しました。
扉を開けると2台のチェンバロが並んでいます。
演奏者を待つ楽器たちを見るだけで、期待が高まってきました。 開演前の緊張感のある空気がとても心地よいです。
写真を撮ったり、知っている方と話をしているうちに、開演時間になりました。
さあ、デュオ・ミュゲの登場です。
どんな衣装かなぁ。
今回はいわゆるドレスじゃなくて、ちょっとシックな感じと聞いていましたが……
すごく素敵〜〜!!
向かって左が恵美さん、右がれいね先生です!
白と黒のレースがオトナの雰囲気タップリです。 全く同じデザインの服ではないのに、きちんとオソロイになってます。
これぞデュオパワー。
フランスらしい優雅な曲です。
緩やかなテンポなのに、飽きさせることのない美しい調べ。
今まで聞いたデュオ・ミュゲはどれも素敵だけど、この曲はふたりの息が本当にピッタリと思ったら、フランス留学中にふたりで合わせた初めての曲との紹介がありました。
その次に来たのは同じくクープランで『ジュイエ』
この曲をこの会場で最も感慨深く聴いていたのは、私だったかも知れません。
この曲は、私が薫子さんと合わせた初めての曲で、アルマンドの紹介を聞いている時に、既に自分の思い出の中でこの曲を思い浮かべていたからです。
だけど、実際にデュオ・ミュゲの演奏を聴いてみると、私が想像していたよりもっとずっと名曲でした。
この曲の魅力を全然引き出せてなかったことに気がつかされました。
勿体ないことをしました。
このイメージを持って、いつかまた弾きたいと思います。
そのあと、クープランの曲が続き、次は中村恵美さんのソロ、フォルクレです。
フォルクレと言う作曲家は、コンサートのチラシで名前を見たことがあるくらいで、どんな曲を作る人か知らなかったけれど、とてもかっこいい感じでした。
今日はクープランの曲が多いので、クープランをイメージした曲を作ったフォルクレを選んだという恵美さん。
演奏が素晴らしいことは言うまでもありませんが、造詣が深いとこういう粋なことも出来てしまうのですね。
そのコンサートをどんな構成で演奏するかというのは、その時点でそのアーティストの表現なのだなと思いました。
前半の最後はル・ルーで締めくくられました。
ル・ルーも楽しみにしてたのですが、実はちょっとこの辺りの時間、部屋がとても寒く感じられ、記憶が曖昧です。
意外と冬よりも夏の冷房がツラくて、次回こそレッグウォーマーを用意しようと思いつつ、いつも忘れてしまいます。
来年の夏も忘れている自信があります。
ブランケットの貸し出しもあって借りていたのですが、膝掛けとしてではなく、足に巻きつけていました。 格好悪いですが、致し方ありません。
そのあと、休憩に入り、扉が開いたせいか私の寒さも和らぎました。
後半は再びクープランで始まります。 『「諸国の人々」よりフランス人』です。
冒頭の元々2台で弾ける曲とは違い、室内楽曲からアレンジされたものになります。
ヴァイオリンの華やかさ、ガンバの深み、フルートの柔らかさを失い、チェンバロだけで演奏することに不安もあったのですが、そんなことを思ってしまって本当にスミマセン。
2台チェンバロヴァージョン、とっても素敵でした。
チェンバロになったおかげで、今まで好きだった部分と違ったところに魅力を感じました。
場面の急転換には室内楽やオーケストラの方が適していますが、ちょっとずつ高揚感が増していくところはチェンバロの醍醐味だと思っています。
弦の弾かれる緊張感や強弱のつきにくい無機質なところが、演奏に取り残されることなく、素直に強く心に響いてくるのです。
演奏後に、クープランが元々クラヴシニストのせいか、とても弾きやすかったとコメントされていました。
それなら「諸国の人々」の他の作品も2台チェンバロヴァージョンで聴きたいです! 今回が第1オルドルなので、次回は、第2オルドルのスペイン人あたりをお願いします。
そして、れいね先生のラモーのソロへと続きます。
恵美さんの凜とした美しさに対し、れいね先生は艶やかな美しさ。
ふたりのデュオはとても息がピッタリだけれど、ソロで聴いてみるとそれぞれ違った個性が表れます。
昔は双子などのそっくりなデュオに惹かれましたが、今はふたりの異なった魅力がうまく溶け合う方が面白いなあって思うようになりました。
それにしても、れいね先生のラモーは素敵!!
レッスンのときにチラッと1小節弾いてくれるだけでもウットリなのですが、こうして曲として通しで聴くと、もう完全に虜です。
最後は、ラモーをデュオで。
『めんどり』ってちょっと切なさを感じていたのですが、2羽のめんどりが会話すると一気に楽しい感じになります。
この曲アレンジ次第で全然変わるかも……やっぱりラモーは偉大です。
素敵な時間はあっという間に過ぎ去ります。 終わってしまうのが残念です。
次のデュオ・ミュゲはいつかなあ。
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〜バッハ再び〜 チェンバロ レッスン.:*・゜゜201607 **・゜゜
今月のレッスンは先生と1対1ですが、デュオの曲をメインに見てもらいました。
デュオ・ローズは、5月に大曲に一区切りつけたので、次は軽めの曲を挟むイメージで薫子さんと話していました。
私がパリで楽譜を買ってきてしまったことも大いにあるとは思うのですが、6月に入った頃から、やっぱりバッハのチェンバロ協奏曲やりたいねーとなって、殆ど間を空けずにバッハに取り組むことを決めました。
デュオの曲を個人レッスンで初めて見てもらう頃って、ちょっと不思議な感じがします。
レッスンを受ける前、曲の弾き始めの時期は、かなり必死で、相手の音を考えている余裕が殆どありません。
一度デュオで合わせた後は、ひとりで弾いている時も記憶の音が重なります。
その間の、相手の音に出会うまでって、途方もない何かと向き合っているようなそんな時間です。
そこが楽しくもあるのですが、落ち着かない感じもして、早く越えてしまいたいと思ってしまいます。ここをもっと味わえる心のゆとりが欲しいです。
まずは、先生に1回聴いてもらいます。
練習配分が悪かったのか、前半はまあまあですが、後半がつらく、辛うじて1楽章の最後の小節まで辿り着きました。
さて、第一声は…
「この曲はc-mollで重たいので、もっと軽めに弾いて」
チェンバロ・フェスティバルでこの曲と同じハ短調のBWV1062を聴いて
「重たい曲なので、重くなりすぎないように」
と書いているのですが、全く活かせていません。
でも、自分で体感した印象は残っているので、ここからイメージを固めていければいいなあと思います。
「それから、この音はFisですね」
あ、シャープ。
バッハのこういう響きの音、楽譜を見ているつもりでも、よく間違えるのですが、あとあと聴くとこの音がとても重要だったりします。
譜面どおりに弾いてるつもりなのに、どうして思い込みが入るのでしょう。
さあ、ヒントはもらいましたので、デュオ・ローズのレッスンまでに修正したいと思います。
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written by coquemomo
〜イネガルとヘミオラ〜 チェンバロ レッスン.:*・゜゜201606 **・゜゜
新しい曲を始めるのはちょっと億劫で、つい弾ける曲に逃げてしまいがちです。 でも、今年は気持ちを入れ替えて、どんどん取り組んでみよう、そう決めました。
そうすると今度は曲を仕上げないうちに次の曲に行ってしまうという問題があるのですが、並行している曲が溜まってくるまではガンガン進もうと思います。
そんなわけで4月に始めた楽譜からもう1曲選びました。
今度はしっとりとした柔らかい曲です。 フランスもののゆっくりとした曲はリズムが掴みづらく、慣れないと正確な拍を刻みがちなのですが、そんなところを正すふたつの言葉が出てきたので、まとめておこうと思います。
inegal, inegale (イネガル)
[音楽] notes inegales 不等音符、ノート・イネガル、イネガル: 17、18世紀のフランス音楽に特有の演奏習慣。 8分音符などの連なりを故意に長短交えた不ぞろいにし、ニュアンス付けする方法。
小学館 ロベール仏和大辞典
この曲には、スラーで繋がっているのにそのふたつのキィがかなり離れていて、音が途切れてしまう箇所があります。 でも、チェンバロはピアノと違ってペダルがないので、ペダルに任せるというわけにはいきません。
どうやって弾いたらいいかれいね先生に聞いてみると、
「ここは滑らすようにスライドして、ちょっとイネガルっぽく…」
フランス語の "egal (エガル)" は、英語にすると "equal"。 "inegal (イネガル)"はその否定なので、不均等なという意味の形容詞です。
タタタタタタ
ではなく、
タ〜タ タ〜タ タ〜タ
って感じです。
ギリギリまで押さえてなるべく感覚を空けずに次の音を弾くというのは何となく想像がつきましたが、イネガルにすると、その隙間がよりなくなったように感じられます。
先生のお手本を真似て弾いてみます。 でも、私が弾くと本当の不均等になってしまい、ぎこちなさがかなり残ります。
「いい感じですよ。溜めて溜めて、指をコントロールしてください」
うーん、付点音符のようになってそうな気がします。
「これだと、やり過ぎですか?」
「最初はいっぱい入れて、段々減らしていく方向で。 それと、小節の頭は大きく、あとは崩れていく感じで」
これはイメージ勝負かな。 うまくイメージ出来れば弾けそうな気がしてきました。 フランス語で歌うような美しさを思い描いて練習します。
ヘミオラ【ヘミオラ】hemiola〔ギ〕
ギリシャ語で 1.5 ないし2:3を意味する。 3拍子の2小節(♪♪♪│♪♪♪)を 2拍子の3小節(♪♪│♪♪│♪♪)のように 読み替えて演奏すること。 バロック音楽で用いられた。
河合楽器製作所 意美音
「ここはどうしようかな、ヘミオラチックにした方がいいかな」
先生はそう言うと、2拍ずつに区切る線を引きました。
3拍が2つと2拍が3つは、どちらも合わせて6拍なので、2小節の時が流れることには変わりありません。
でも、今まで3拍子だった音楽が2拍子になるというのは、相当ドラマチックです。
ヘミオラと言い切らずに、ヘミオラチックって言ってたので、完全な2拍子ではなく、あまり拍感を持たずに、心地よい違和感になるように弾こうと思います。
あと、今日は全部下鍵盤で弾いてしまったけれど、繰り返しもあるし、どこか上鍵盤にしようかなぁ。
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予習【2016/08/26 デュオ・ミュゲ 2台チェンバロの調和 Vol.5@近江楽堂】
8月末にデュオ・ミュゲのコンサートがあります!
デュオ・ミュゲは、及川れいね先生と中村恵美さんのチェンバロデュオです。
私にとってはデュオ・ローズを始めるきっかけのひとつでもあり、憧れの存在です!
ちなみに、ミュゲはフランス語でスズランを意味します。 スズランはフランスではとても重要なお花で、5/1に愛する人へスズランを贈る習慣があり、贈られた人には幸福が訪れると言われています。
パリ留学中に出会った2人に相応しい素敵な名前ですね。
そして、第5回を迎える今回のコンサートは、フランス音楽で構成されています。
このプログラムこそデュオ・ミュゲの真骨頂、これを聴き逃すなんて断じてありえません。
蒸し暑い日本の夏を忘れて、優雅なクラヴサン(チェンバロ)の音色に浸りましょう⸜( ´ ꒳ ` )⸝
主なプログラム
F.クープラン:2台のクラヴサンのためのアルマンド
フランソワ・クープランが4巻発行したクラヴサン曲集の中で、唯一2台チェンバロを指定している曲です。
他にも2台で演奏出来る曲はありますが、クープランがこの曲に込めた2台ならではの荘厳な響きは格別です。 眼を閉じると、ヴェルサイユ宮殿の情景が広がります。
F.クープラン:「諸国の人々」より フランス人
室内楽曲「諸国の人々(レ・ナシオン)」は、フランス人、スペイン人、神聖ローマ帝国の人々、ピエモンテ人の4つの組曲で構成されています。 2台チェンバロバージョンを聴くのは初めてなのでとても楽しみです。
G.ル・ルー:組曲 ヘ長調
Gはガスパールの略なので、ガスパール・ル・ルーとルばっかりで何だかウキウキしてきます。しっとりきれいな曲を残したフランスの作曲家です。
J.-P.ラモー:未開人たち(2台チェンバロバージョン)
ラモーのクラヴサン曲集は、1706年、1724年、1728年、1741年と、時代が下るごとにオペラ色が強くなっていきます。
未開人たちは、1728年の新クラヴサン組曲集に収録されており、元々1台の曲ですが、2台での聞き応えたっぷりです。
フランス語の原題は Les Sauvages(ソバージュ)。 ウエーブのあの髪型は、野性味溢れるって意味だったのですね。
J.-P.ラモー:めんどり(2台チェンバロバージョン)
めんどりも新クラヴサン組曲集の1曲です。 ラ・フォル・ジュルネでピエール・アンタイさんが弾いていた姿が蘇ります。
そして、デュオ・ミュゲのめんどりは…
2羽のニワトリ バージョン! (2台チェンバロバージョン)
2羽の掛け合いになるとまた違った雰囲気の曲になるんだろうなぁ。 期待が高まります。
みんなに愛されてるめんどり。メタルバージョンを見つけたので、どうぞ。
デュオ・ミュゲ(中村恵美&及川れいね)
Duo muguet
2台チェンバロの調和 Vol.5
~2台のチェンバロで楽しむフランスバロック~
日時:2016年8月26日(金)
開場18時半 開演19時
会場:近江楽堂(東京オペラシティ3階)
入場料:前売り3500円 当日4000円
チケット取り扱い:
東京オペラシティチケットセンター 03-5353-9999
カンフェティチケットセンター 0120-240-540
お問い合わせ:
森音楽事務所 03-6434-1371(平日10時半~18時)
後援:株式会社インフォメーション・ディベロプメント
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je vais y aller et j'ai tellement hâte.
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【2016/07/03 チェンバロ・フェスティバル in 東京 第4回 J.S.バッハ@浜離宮朝日ホール】その3
バッハのチェンバロ協奏曲全曲を演奏すると言う何とも魅惑的なコンサート、今回はその続きをお届けします。
BWV1062を聴き終えて、その迫力に圧倒されたデュオ・ローズ(薫子さんと私)ですが、この先も最後まで目の離せない、いや耳が離せない?、魅力的な楽曲の数々です。
それでは、チェンバロ・フェスティバル最終楽章です。
J.S.バッハ
チェンバロ協奏曲全曲演奏会 第2回(続き)
チェンバロ協奏曲 第6番 ヘ長調 BWV1057
ここで本日、最初で最後の譜めくりすとが登場しました。
2台のリコーダーも加わり、華やかで動きも早く、チェンバロの転がるような音が魅力の1曲です。 原曲はブランデンブルク協奏曲第4番。
奏者の鈴木優人さんは昨年見に行ったジョワ・ド・ヴィーヴルでアーティスティックディレクターを務めていました。 前回は指揮者として拝見しましたが、今日のチェンバロもどちらも素敵です。
普段から指揮者として活躍されているからか、弦楽器やリコーダーとの調和がとても自然で美しく感じました。
チェンバロ協奏曲 第5番 ヘ短調 BWV1056
曽根さん本日二度目のソロです。 5番はあまり聞いたことがなかったのですが、曲の魅力に気が付いたという意味で、本日最大の収穫です。
第2楽章はカンタータ第156番と同じ。「バッハのアリオーソ」として人気だそうです。
3台のチェンバロのための協奏曲 第2番 ハ長調 BWV1064
4台は短調、3台のもう1曲も短調。 この曲は3台4台で唯一の長調の曲です。 チェンバロのキラキラした魅力がふんだんに盛り込まれています。 こちらは1063と比べると3台らしさがよく出ているので最後を飾るに相応しい派手な曲です。
7曲なんて多過ぎるかなと思いましたが、そんなことなく、それぞれの曲の魅力にどっぷり浸りました。
もう終わってしまうのが残念です。
鳴り止まぬ拍手の中、舞台の中央には今日初めて4台が配置されていきます。
もしや、アンコールは・・・。
そうですよね。こんな素敵なチェンバリストが4人揃って、アンコールにできる曲なんてこの世に1曲しかありません。
アンコール:4台のチェンバロのための協奏曲 イ短調 BWV1065
オリジナルはヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲。 今だったら バッハ feat. ヴィヴァルディ、ヴィヴァルディとバッハのコラボとか言うところです。 アレンジでこれだけ自分らしさを出すバッハの頭の中はどうなっていたのでしょうか。
こちらのプログラムには4台がないことが心残りだね、薫子さんとそう話していたのですが、ラッキーなことに少し4台を聴くことが出来ました!!
この豪華なプロのチェンバリストたちをもってしても、難しい、頭を使う、と言わせるヨハン・セバスチャン・バッハ。 この偉大な作曲家の曲を聴いたり演奏したり出来ることを、とても幸せに思います。
使用楽器
左:デヴィッド・レイ 作/ フレンチ様式。 ブランシュの復元。 白地に可愛らしい柄の楽器、最近の曽根さんの写真でよく見るので、曽根さんの持ち物だと思います。
左2番目: ウィリアム・ダウド 作/ フレンチ様式。 れいね先生のフレンチと同じダウドの楽器、2台のダウドのハーモニーを聞いてみたいです。
左3番目: ブルース・ケネディ 作/ ジャーマン様式。 ミートケの復元。 響板も外してあるし、この配置だと殆ど見えません(T_T)
右: 久保田彰 作/ フレミッシュ様式。 響板の絵画が美しい久保田さんのフレミッシュ。
ちなみに4台から始まる第1回では、違う配置だったそうです。
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written by coquemomo
【2016/07/03 チェンバロ・フェスティバル in 東京 第4回 J.S.バッハ@浜離宮朝日ホール】その2
バッハのチェンバロ協奏曲全14曲を2回で演奏すると言うパワフルなコンサート、薫子さんとその第2回を聴きにきました。
この演奏会は、3日間に渡って行われたチェンバロ・フェスティバルの5つのコンサートのトリを飾る公演に当たります。
フェスティバルの期間中は、本格的な演奏会だけではなく、DVD上映会、レクチャー・コンサート、ミニライブやチェンバロの展示など様々なイベントがありました。
コンサートの前にちょっと寄ってきたので、こちらもどうぞ。 → その1
それでは、チェンバロ協奏曲、開幕です。
J.S.バッハ
チェンバロ協奏曲全曲演奏会 第2回
浜離宮朝日ホールの音楽ホールは552席、このくらい広くなると、チェンバロの音は小さく感じられます。
バッハの時代のようにストリングスは1人ずつの構成でしたが、それでも最初はストリングスの音量が強く感じられました。
しかし、素晴らしい演奏を聴いていると、その差を感じたこともいつの間にか忘れていました。
チェンバロの音を心行くまで楽しむには、サロンのような、100人も入ったら狭く感じられるような場所で聴けたらいいのですが……
でも、こんな素敵なコンサートを聴けるのがたった552人だなんて既に勿体ないのに、ましてや100人なんて言ったらバチが当たりそうです。
出演:大塚直哉、鈴木優人、曽根麻矢子、渡邊順生、
チェンバロ・フェスティバル・アンサンブル
4人のチェンバリストは、全2回の公演で、1台から2曲、2台と3台から3曲、4台1曲の計6曲を弾きます。 これはかなり大変なことです。
でも、チェンバロ・フェスティバル・アンサンブルのメンバーは全曲弾くのだから、こちらも相当大変です。
3台のチェンバロのための協奏曲 第1番 二短調 BWV1063
静寂な空間を突き破る冒頭の強烈なユニゾンは正に1曲目を飾るに相応しい作品、この1楽章はかなりお気に入りです。
第1チェンバロが幅を利かせているので、1台の協奏曲に似た雰囲気もあるのですが、3台でのやり取りや3台のユニゾンもあるため、1台の魅力と複数台の魅力を両方味わうことが出来ます。
一説には、第1チェンバロをバッハ本人が、第2チェンバロと第3チェンバロをバッハの息子(も苗字はバッハですが)に弾かせるためにこのようなアレンジになったと言われています。
チェンバロ協奏曲 第2番 ホ長調 BWV1053
れいね先生の師匠でもある渡邊順生先生のソロです。 音にとても深みがあり、重厚な響きに感動しました。
バッハの作品は短調を好んで聴いていますが、荘厳な長調の演奏を聴くと、長調の曲もお気に入りリストに加えたくなります。
渡邊先生、途中、楽譜をめくったものの前のページに戻ってしまい、めくり直していたところがありました。
ページが戻ったら頭が真っ白になりそうなのに、全く動じていません。何事もなかったというより、小鳥でも遊びに来たかのような物腰で、素晴らしい演奏と同じくらい感動してしまいました。
そういえばこの公演では出演者はみなさん楽譜を使用していますが、譜めくりの人はいないですね。
物販コーナーでは、渡邊先生のゴルトベルク変奏曲のCDが売ってました。14のカノンには、れいね先生も参加しています。
J.S.バッハ ゴルトベルク変奏曲(Bach: Goldberg Variations)
- アーティスト: 渡邊順生,J.S.バッハ,Yoshio Watanabe
- 出版社/メーカー: ALM RECORDS
- 発売日: 2009/11/07
- メディア: CD
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チェンバロ協奏曲 第1番 ニ短調 BWV1052
花と言えば桜、チェンバロ協奏曲と言えばバッハの第1番、名曲中の名曲です。
曽根麻矢子さんは装飾音の掛け方が華やかに艶やかで、それなのに柔らかさも感じます。 やっぱり装飾音はチェンバロの醍醐味ですね。
あと素敵だったのが曽根さんの衣装!
クラシックコンサートは所謂ドレスの方が多いですが、曽根さんの服はワンピースとして普段から着れそうな、それでいてシースルーで舞台映えもして、とても情緒がありました。
2台のチェンバロのための協奏曲 第3番 ハ短調 BWV1062
休憩を挟んで、ここから後半戦になります。後半の1曲目はBWV1062です。
楽譜をめくるタイミングから、私たちが使用したのと同じ楽譜のような気がします。
薫子さんに話すと、
「そうだと思います。先程チラッと表紙が見えました」とのこと。
次にあの楽譜を見るときに、何だか武者震いしそうです。
第1楽章、今までに聴いた中で最速のテンポの1楽章でした。改めて聴いてみると重たい曲なので、重くなり過ぎないようにもうちょっと速くできるといいなと思います。このテンポは無理ですが。
第2楽章、楽譜にはない装飾がタップリで、かなり華やかです。アンダンテでちょっと間延びするとは思っていたので、自分で弾く時ももっと自由に遊べるとよい気がします。
第3楽章 アレグロアッサイ、第1楽章が速かったので、どれだけ速いのだろうと思ったら、3楽章は思っていたくらいの速さでした。よかった。
どの楽章も終わり方が格好よかったので真似したいです。終わることを強調しすぎずに、でもさりげなくアピールする感じでしょうか。終わりから2拍目に少し重みを持たせて、だからといって最後の音は延ばしすぎない。
1楽章、この演奏は速くない方かな。私はこの曲は3楽章が最も好きです♪( ´▽`)
ほえー。聴き終わったら、1062を演奏した気分です。 他の曲よりパワーを使い、若干抜け殻になりました。
でも、むしろ抜け殻になってからの方が、自然に音楽に身を委ねることが出来ていたかもしれません。
全7曲なので、あと3曲ありますが・・・もう一度だけ続きます(^^;; → その3
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【2016/07/03 チェンバロ・フェスティバル in 東京 第4回 J.S.バッハ@浜離宮朝日ホール】その1
こんにちは。今回はデュオ・ローズの相方の薫子さんと行ってきたチェンバロ・フェスティバルの様子をお届けします。
今回の目玉は、バッハのチェンバロ協奏曲の全曲演奏会です!
バッハのチェンバロ協奏曲は全部で14曲。 1台が8曲、2台が3曲、3台が2曲、4台が1曲です。 つまり、4台が1曲、そこから1曲ずつ増えて、3台が2曲、2台が3曲、残りが1台です。 明日テストに出ても答えられますね!
この全14曲を2回の公演で全曲演奏します。 なんて濃厚なプログラムでしょう。
どちらの回も捨てがたいですが、BWV1062が演奏される第2回を選択しました。先日まで慣れ親しんでいたこの曲がどんな風に聴こえてくるか楽しみです。
その前に当日のチケットを提示すると無料で入場できる小ホールのレクチャー・コンサートに来ました。
レクチャー・コンサート
「諸国チェンバロ物語vol.2~ ドイツ&フランス」
チェンバリストの植山けいさん(写真右)と野澤知子(写真左)さんによるスライドを使用したレクチャーです。
チェンバロの歴史と様式を、その時代や地域の曲の生演奏を交えながら解説してくださいました。
その曲に合わせて、バロックダンサーの岩佐樹里さん(写真中央)が踊りを披露されました。
バロックの曲は舞曲が多く、例えばクーラントも舞曲だということは知っていたのですが、どんな踊りか知らなかったので新鮮でした。
会場が階段教室のようだったので、年齢の近い薫子さんと一緒にいたこともあり、大学の講義を受けている気分になりました。 何だか懐かしい感じです。
レクチャーで使われた楽器は3台、先程の写真の2段チェンバロと次の写真の2台です。
手前はクラヴィコード、奥はヴァージナル。 クラヴィコードの音はとっても繊細です。マイクがあっても小さく、かなり耳を澄まさないと聞こえないくらいでした。
さて、レクチャー・コンサートが終わってからチェンバロ協奏曲の開始までちょっと時間があります。
折角なので展示楽器を見ようかと思っていたら、レクチャーの前に見て回っていた薫子さんが、
「ロビーに展示してある楽器にこけももさんのスピネットに似てるのありましたよ」
教えられて見に行くと、確かに見慣れた形の楽器
マーク・デュコルネのスピネットが!
ということは…
やっぱりオワゾリールハウスの井岡妙さんがいらっしゃってました。
オワゾリールハウスはフランスのチェンバロ工房マーク・デュコルネの日本総代理店です。
井岡さんは、妹でチェンバリストである井岡みほさんの留学先を訪ねた際にチェンバロの音色と出会い、遂にはオワゾリールハウスを立ち上げます。
楽器の納品のときにお会いして以来なので、3年ぶりくらいでしょうか。 まさか今日ここでお会いできるとは思っていませんでした。
このモデルのスピネットは高音が艶やかによく鳴るとてもいい楽器です。
1列なので音に変化をつけることは出来ませんが、コンパクトなので狭い部屋でも圧迫感がなく、かつ優雅な気分に浸れます。
それはさておき、フランコ・フレミッシュの楽器も来ていました。
スピネットもいい楽器ですが、これはもう全然別格です。 次元が違います。
手を触れないよう注意書きがあったので触ることは出来ませんが、美しい装飾を眺めていると、以前弾かせて頂いたときの音色が頭の中で流れ始めます。3年経った今でも、あの響きは忘れられません。
よっぽど弾きたそうにしていたのでしょうか。井岡さんが声を掛けてくださいました。
「弾いても構いませんよ」
え、本当ですか!?
今日、来て良かった〜。コンサートの前に早くもテンションが最高潮に達しそうです。
椅子に腰を掛け、ゆっくり鍵盤に指を下ろすと、まろやかで煌びやかな音が響きます。
C'est magnifique !! C'est merveilleux !!
なんて素晴らしい楽器なのでしょう!
一音鳴らしただけで、もう完全に夢の世界です。
アルペジオを掻き鳴らすと、溜息の出そうなまばゆい音がします。
余韻に浸り、興奮している気持ちを少し鎮めて、座り直します。
いつもより長めの呼吸をして、思い切って、今、練習している曲の出だしを弾いてみました。
私が弾いたとは思えない響き!
さすがフランス製の楽器、フランスの曲がよく似合います。
「やっぱり、いいですね。700万でしたっけ?」
「装飾がないものなら、600万くらいになりますよ」
うーん、どっちにしても高いです。
・・・私は当分はスピネットで頑張ります。
・・・あー、チェンバロ貯金しようかなあ。
こちらはマーク・デュコルネのイタリアン、奥が安達正浩さんのフレンチかな。 どの楽器も本当に素敵ですね!
で、気がついたらあっという間に開演時間が迫っていました。
さあ、お待ちかね、チェンバロ協奏曲全曲(の半分)の演奏会が始まります。
演奏会の様子は・・・次回に続きます(^^;; → その2
(注)文中に出てきたチェンバロの価格は参考価格であり、その金額で購入出来ることを保証するものではありません。
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