【2017/12/06 ピエール・アンタイ&スキップ・センペ 2台チェンバロのためのシンフォニー @浜離宮朝日ホール】
暖かい陽射しを浴びても寒いと感じると冬の始まりを感じます。 そんな中、散り始めた銀杏の葉で一面が黄色に染まっているのを見ると、秋が美しい季節であることを主張しているように感じられます。
まったりとしたアンニュイなこの時期に聴きたくなると言えば、やっぱりラモー。 この季節にピッタリのコンサートに行ってまいりました。
演奏は、世界的チェンバリスト、ピエール・アンタイさん(写真右)とスキップ・センペさん(同左)、何と、チェンバロデュオです。 ピエール・アンタイさんの演奏を聴くのはこれが2度目になります。
きっかけは今夏。 梅岡楽器さんにスピネットを運んでもらったのですが(その時の話もいずれ書きたいと思ってます)、梅岡さんの車に同乗させてもらいチェンバロ談義に花を咲かせました。
話はラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンに到り……
「今年はオケを選んじゃったのですが、去年はチェンバロに行きました」
「どれに行ったの? あそこのチェンバロは殆ど担当してるんだ」
「ピエール・アンタイさんの初日です」
「残念。それだけはやらなかった」
何とも決まりが悪い感じになってしまった数秒後、
「そういえば、アンタイ、今年来るんだよね。ラモーの2台。スキップ・センペとの。それは担当するんだ」
なぬー? ラモーの2台!
しかも、ピエール・アンタイにスキップ・センペ!!
豪華すぎるとはこのことです。
「空けときますっ!! いつですか?」
梅岡さんはスケジュールを確認してくれました。
「12月6日。8日もあるけど、武蔵野だから、6日の方が場所はいいと思う」
そんなわけで浜離宮朝日ホールにまいりました。
昨年のチェンバロ・フェスティバル以来です。
あの時はバッハの協奏曲を聴きました。
弾いたことある曲はその視点で聴いてしまうのですが、今日は弾いたことない曲ばかりなので純粋に楽しむことができます。
このコンサートはラモーのオペラ曲を2台チェンバロにアレンジしたものですが、ラモーを聴くようになったのはチェンバロを弾き始めてからで、それもクラヴサン曲以外はノーマークでしたので、オペラはほとんど聴いたことがありません。
新しい曲たちとの出会いが楽しみです。
梅岡さんの姿を見れるかなと思いましたが、私が会場に入ったときには既に調律は終えてるようでした。
チェンバロのコンサートって始まるギリギリまで調律をしているイメージなので、準備万端って新鮮です。
2台は向かい合わせではないのですね。 まあ、最初のアイコンタクト以外はそれほど相手を見ないので問題ないとは思いますが、ちょっと不思議な感じです。
さて、ここで問題です。
向かって右はフレンチのチェンバロに昔からあるコンサートタイプの椅子
左側はジャーマンのチェンバロに最近よく見るガススプリング式の椅子
どちらがどちらに座るでしょうか。
答えは後ほど!
開演の時間になった頃に梅岡さんらしき人が舞台に現れました。
もしやピエール・アンタイさんかスキップ・センペさんのどちらかが来れなくなって、梅岡さんが代役⁉︎なんてことはなく、
チェンバロの天板を上に大きく開き、その音色を客席に届ける響板としての役目を果たすポジションにすると舞台袖に下がっていきました。
世界最高峰のチェンバロデュオを迎えるための最後の準備だったようです。
程なく、奏者のおふたりが舞台に上がり、椅子に座りました。
クイズの正解は、フレンチがスキップ・センペ、ジャーマンがピエール・アンタイでした。立ち位置(座り位置?)としては、何故かチラシの配置とは逆です。
そもそも先に提供される楽器が決まっていた場合、どちらがどちらを弾くってどう決めるのでしょうか。
そういえば、デュオ・ミュゲは演奏会ではいつも途中で楽器を交替していたのに前回のコンサートでは固定でした。
れいね先生にそのことを聞いてみたら、れいね先生が弾かなかった楽器の鍵盤が、先生は少し重たく感じ、恵美さんは気にならなかったので、そのような配置になったとのことでした。 「鍵盤の重さを調整することも可能でしたけど」と付け加えられました。
ところで、最近、椅子について色々調べていたので、椅子に目がいったのですが、最近はガススプリング式の椅子が増えてきているのですね。
高さが変えやすいのでピアノ教室とかに便利らしく、コンクールなどでも使用されているようです。
でも、ガス式に座ったことがなくて普段と全然違うタイプの椅子が出てきたら戸惑ってしまいそうです。
迫力がある華やかな2台のチェンバロの共演はすごく幸せな時間でした。
曲はラモーのいくつかのオペラ作品から曲単位で選ばれたものが3部構成で自由に配置されています。 ラ・フォル・ジュルネの構成を思い出しました。
きっとアンタイさんはこういう感じが好きなんでしょうね。
たくさんの曲の中から一つの物語を紡ぐように曲を選び出していくのはきっと楽しいんだろうなと思います。
私もあやかりたいところですが、まずはレパートリーがないと出来ませんね。
今日の演奏曲の中で有名な曲といえば、やっぱりこのタンブーランでしょうか。
私が気に入ったのはこちら。
2台の掛け合いが優雅で印象的な作品です。
今年のチェンバロのコンサートは、チェンバロの日のれいね先生とこのラモーだったので、フレンチ尽くしとなりましたが、来年はどんなコンサートに出会えるでしょうか。
2018年に弾こうと思ってる曲は大体まとまってきたのですが、聴きにいく方は聴きたいものが聴きたいときにやってるとも限らず、巡り合わせを楽しみにしたいと思います。
今年もたくさんの方にお世話になりました。 ありがとうございます。 2018年、よいお年をお迎えくださいませ。
merci de votre visite.
je vous souhaite une tres bonne annee.
ecrit par coquemomo