チェンバロの果実 ♪

ピアノのようなかたちをした鍵盤楽器チェンバロ。にほんでいちばんやさしいチェンバロのあれこれ。

【2016/08/26 デュオ・ミュゲ 2台チェンバロの調和 Vol.5@近江楽堂】〜memorandum〜

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このブログで使用している写真のほとんどは、私が撮影したものです。 最初はフリー素材を使わせてもらおうと思っていたものの、探すのが面倒で挫折しました。

今日の1枚目(上の写真)は、3月にパリのアベス公園で撮影したスノーフレークです。

スズランに似たこの花を撮りながら、デュオ・ミュゲ、そろそろコンサートやらないかな、次はフランスものがいいなあと思っていたところ…

私の願いが通じたのか半年もしないうちに実現しました。

やったね!!

「その写真、日本で撮れるよね」 という声が聞こえてきそうですが、気にしません。

では、タップリ楽しんだデュオ・ミュゲ(中村恵美・及川れいね 2台チェンバロ)のコンサート、今回はその様子をお届けしたいと思います。

会場はとても便利な近江楽堂です。

新宿から京王新線で一駅、初台駅のすぐそばにあります。

オペラシティの中といった方がわかりやすいかもしれません。

オペラシティにはオペラを演れる大きなホールがありますが、私にとっては オペラシティ=近江楽堂、ここしか入ったことがありません。

近江楽堂なら構内案内図などは不要なくらい来ているので、迷わず到着しました。

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扉を開けると2台のチェンバロが並んでいます。

演奏者を待つ楽器たちを見るだけで、期待が高まってきました。 開演前の緊張感のある空気がとても心地よいです。

写真を撮ったり、知っている方と話をしているうちに、開演時間になりました。

さあ、デュオ・ミュゲの登場です。

どんな衣装かなぁ。

今回はいわゆるドレスじゃなくて、ちょっとシックな感じと聞いていましたが……

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すごく素敵〜〜!!

向かって左が恵美さん、右がれいね先生です!

白と黒のレースがオトナの雰囲気タップリです。 全く同じデザインの服ではないのに、きちんとオソロイになってます。

これぞデュオパワー。

1曲目はクープランの『2台のクラヴサンのためのアルマンド

フランスらしい優雅な曲です。

緩やかなテンポなのに、飽きさせることのない美しい調べ。

今まで聞いたデュオ・ミュゲはどれも素敵だけど、この曲はふたりの息が本当にピッタリと思ったら、フランス留学中にふたりで合わせた初めての曲との紹介がありました。

その次に来たのは同じくクープランで『ジュイエ』

この曲をこの会場で最も感慨深く聴いていたのは、私だったかも知れません。

この曲は、私が薫子さんと合わせた初めての曲で、アルマンドの紹介を聞いている時に、既に自分の思い出の中でこの曲を思い浮かべていたからです。

だけど、実際にデュオ・ミュゲの演奏を聴いてみると、私が想像していたよりもっとずっと名曲でした。

この曲の魅力を全然引き出せてなかったことに気がつかされました。

勿体ないことをしました。

このイメージを持って、いつかまた弾きたいと思います。

そのあと、クープランの曲が続き、次は中村恵美さんのソロ、フォルクレです。

フォルクレと言う作曲家は、コンサートのチラシで名前を見たことがあるくらいで、どんな曲を作る人か知らなかったけれど、とてもかっこいい感じでした。

今日はクープランの曲が多いので、クープランをイメージした曲を作ったフォルクレを選んだという恵美さん。

演奏が素晴らしいことは言うまでもありませんが、造詣が深いとこういう粋なことも出来てしまうのですね。

そのコンサートをどんな構成で演奏するかというのは、その時点でそのアーティストの表現なのだなと思いました。

前半の最後はル・ルーで締めくくられました。

ル・ルーも楽しみにしてたのですが、実はちょっとこの辺りの時間、部屋がとても寒く感じられ、記憶が曖昧です。

意外と冬よりも夏の冷房がツラくて、次回こそレッグウォーマーを用意しようと思いつつ、いつも忘れてしまいます。

来年の夏も忘れている自信があります。

ブランケットの貸し出しもあって借りていたのですが、膝掛けとしてではなく、足に巻きつけていました。 格好悪いですが、致し方ありません。

そのあと、休憩に入り、扉が開いたせいか私の寒さも和らぎました。

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後半は再びクープランで始まります。 『「諸国の人々」よりフランス人』です。

冒頭の元々2台で弾ける曲とは違い、室内楽曲からアレンジされたものになります。

ヴァイオリンの華やかさ、ガンバの深み、フルートの柔らかさを失い、チェンバロだけで演奏することに不安もあったのですが、そんなことを思ってしまって本当にスミマセン。

2台チェンバロヴァージョン、とっても素敵でした。

チェンバロになったおかげで、今まで好きだった部分と違ったところに魅力を感じました。

場面の急転換には室内楽やオーケストラの方が適していますが、ちょっとずつ高揚感が増していくところはチェンバロの醍醐味だと思っています。

弦の弾かれる緊張感や強弱のつきにくい無機質なところが、演奏に取り残されることなく、素直に強く心に響いてくるのです。

演奏後に、クープランが元々クラヴシニストのせいか、とても弾きやすかったとコメントされていました。

それなら「諸国の人々」の他の作品も2台チェンバロヴァージョンで聴きたいです! 今回が第1オルドルなので、次回は、第2オルドルのスペイン人あたりをお願いします。

そして、れいね先生のラモーのソロへと続きます。

恵美さんの凜とした美しさに対し、れいね先生は艶やかな美しさ。

ふたりのデュオはとても息がピッタリだけれど、ソロで聴いてみるとそれぞれ違った個性が表れます。

昔は双子などのそっくりなデュオに惹かれましたが、今はふたりの異なった魅力がうまく溶け合う方が面白いなあって思うようになりました。

それにしても、れいね先生のラモーは素敵!!

レッスンのときにチラッと1小節弾いてくれるだけでもウットリなのですが、こうして曲として通しで聴くと、もう完全に虜です。

最後は、ラモーをデュオで。

『めんどり』ってちょっと切なさを感じていたのですが、2羽のめんどりが会話すると一気に楽しい感じになります。

この曲アレンジ次第で全然変わるかも……やっぱりラモーは偉大です。

素敵な時間はあっという間に過ぎ去ります。 終わってしまうのが残念です。

次のデュオ・ミュゲはいつかなあ。

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* free programme (pdf)


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ecrit par coquemomo