〜イネガルとヘミオラ〜 チェンバロ レッスン.:*・゜゜201606 **・゜゜
新しい曲を始めるのはちょっと億劫で、つい弾ける曲に逃げてしまいがちです。 でも、今年は気持ちを入れ替えて、どんどん取り組んでみよう、そう決めました。
そうすると今度は曲を仕上げないうちに次の曲に行ってしまうという問題があるのですが、並行している曲が溜まってくるまではガンガン進もうと思います。
そんなわけで4月に始めた楽譜からもう1曲選びました。
今度はしっとりとした柔らかい曲です。 フランスもののゆっくりとした曲はリズムが掴みづらく、慣れないと正確な拍を刻みがちなのですが、そんなところを正すふたつの言葉が出てきたので、まとめておこうと思います。
inegal, inegale (イネガル)
[音楽] notes inegales 不等音符、ノート・イネガル、イネガル: 17、18世紀のフランス音楽に特有の演奏習慣。 8分音符などの連なりを故意に長短交えた不ぞろいにし、ニュアンス付けする方法。
小学館 ロベール仏和大辞典
この曲には、スラーで繋がっているのにそのふたつのキィがかなり離れていて、音が途切れてしまう箇所があります。 でも、チェンバロはピアノと違ってペダルがないので、ペダルに任せるというわけにはいきません。
どうやって弾いたらいいかれいね先生に聞いてみると、
「ここは滑らすようにスライドして、ちょっとイネガルっぽく…」
フランス語の "egal (エガル)" は、英語にすると "equal"。 "inegal (イネガル)"はその否定なので、不均等なという意味の形容詞です。
タタタタタタ
ではなく、
タ〜タ タ〜タ タ〜タ
って感じです。
ギリギリまで押さえてなるべく感覚を空けずに次の音を弾くというのは何となく想像がつきましたが、イネガルにすると、その隙間がよりなくなったように感じられます。
先生のお手本を真似て弾いてみます。 でも、私が弾くと本当の不均等になってしまい、ぎこちなさがかなり残ります。
「いい感じですよ。溜めて溜めて、指をコントロールしてください」
うーん、付点音符のようになってそうな気がします。
「これだと、やり過ぎですか?」
「最初はいっぱい入れて、段々減らしていく方向で。 それと、小節の頭は大きく、あとは崩れていく感じで」
これはイメージ勝負かな。 うまくイメージ出来れば弾けそうな気がしてきました。 フランス語で歌うような美しさを思い描いて練習します。
ヘミオラ【ヘミオラ】hemiola〔ギ〕
ギリシャ語で 1.5 ないし2:3を意味する。 3拍子の2小節(♪♪♪│♪♪♪)を 2拍子の3小節(♪♪│♪♪│♪♪)のように 読み替えて演奏すること。 バロック音楽で用いられた。
河合楽器製作所 意美音
「ここはどうしようかな、ヘミオラチックにした方がいいかな」
先生はそう言うと、2拍ずつに区切る線を引きました。
3拍が2つと2拍が3つは、どちらも合わせて6拍なので、2小節の時が流れることには変わりありません。
でも、今まで3拍子だった音楽が2拍子になるというのは、相当ドラマチックです。
ヘミオラと言い切らずに、ヘミオラチックって言ってたので、完全な2拍子ではなく、あまり拍感を持たずに、心地よい違和感になるように弾こうと思います。
あと、今日は全部下鍵盤で弾いてしまったけれど、繰り返しもあるし、どこか上鍵盤にしようかなぁ。
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ecrit par coquemomo