【2016/03/19 Romeo et Juliette @ Opera Bastille, Paris】 (ロメオとジュリエット パリ バスチーユ オペラ座)
音楽は少し嗜んでいたけれど、バレエは友だちの発表会を見た程度。
だから「オペラ座で観るならオペラだよね、オペラ座だし」って思っていました。
でも、私がパリで初めて見たオペラは、イタリア語で歌ってフランス語の字幕がついていました。Σ(゚д゚lll)
字幕を見ながら舞台も見るって、オペラ初心者にはハードルが高過ぎやしませんか!
しかも、テレビの字幕なら、映像に重ねて表示できますが、舞台でそんなことは出来ません。 プロセニアムアーチの天井側にある電光板に字幕が出ていました。
舞台と字幕を同時に視野に入れるのは難しく、結局、字幕を読むのは諦めることにしました。
そしてあるとき気がつきました、実はオペラの曲よりバレエの曲の方をよく聴いていることに。
一度バレエを観てみると、音楽だけでなくバレエそのものもよい気がしてきました。
と言うのも、バレエに言葉の壁はないので、舞台に集中出来ます。
そんな理由?って言われるとそうなんですが、そんなところから徐々にバレエを楽しむことを覚えていきました。
さて、本日の作品は「ロメオとジュリエット」
ロミジュリって言うし、日本ではロミオの方が通りがいいでしょうか。
でも、バレエの演目ではローマっぽさを出すためにイタリア語読みにすることが多いので、ロメオ君とお呼びしましょう。英文学作品なのにね。
だからと言って、
「あゝロメオさま、何故あなたはロメオなの?」
とは言いません。バレエですから切ない気持ちも動きに乗せていきます。 言葉がないという制限された世界は、時に言葉以上の想いを伝えます。
原作:ウィリアム・シェークスピア
作曲:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:ルドルフ・ヌレエフ
プロコフィエフって知らないって言う人もこの曲はCMで聞いたことがあるのでは。
バレエの華は主役の二人ですが、この日はコール・ド・バレエ(群舞)がとても素敵でした。
この「騎士たちの踊り」もコール・ド・バレエ、キャピュレット家の人々の剣を使った踊りです。
キャピュレット家の衣装は真紅。 この色がとても鮮やかで、剣の鋭い動きと相まって、引き込まれます。
幾つものカップルが整然と舞台を駆け巡り、剣を振りかざし、そして、斜めの隊列は円になり、また違う形を見せていく。 個々の動きと全体の広がり。
少人数では絶対に出来ないコール・ド・バレエの世界。 ここまで舞台全体の動きに見惚れたことはなかったかもしれません。
やっぱりキャピュレットよねと思ってたら、モンタギュー家も負けていなかった。
モンタギュー家は深緑の衣装にフラッグを使った踊り。
いやーん、フラッグも格好いい(^^)
かなり大きなフラッグなのに、モンタギューの人々は寸分違わず正確に動かします。早い動きの中でフラッグだけは余韻のように優雅にはためき、昂揚感が高まっていきます。
剣やフラッグのもたらす華やかさと力強さの虜になりそうです。
剣は群舞だけではなく格闘シーンにも使われていました。この格好よさは殺陣に通じるものがありますね。 どちらが勝つか決まっていても、魅せ方が素晴らしく見入ってしまいます。
そういえば、この公演は Premiere(プルミエール)って書いてありました。初日の公演を観るのは初めてですが、そのせいもあるのか、今までに見たことないくらい、とにかく全員のクオリティの高さが最上級でした。
第2幕からは、主役ふたりの存在感が増していきます。
ロメオ君の衣装は爽やかなアップルグリーンとホワイトで、ジュリエット嬢は可愛さ溢れるコーラル。 この淡い感じが、ふたりの若さを象徴しているよう。
特にジュリエットは上に着る濃い赤のドレスが少女から大人への変化を表しているようでまた素敵でした。
主役のふたりのための踊り、パ・ド・ドゥが始まるとガラリと空気が変わります。
群舞の素晴らしさに心奪われていたけれど、これだけのダンサーの中から選ばれるエトワールは、やはり格別です。
それぞれの動きも神業としか思えない超絶技巧の世界ですが、それ以上にふたりの重なり合いに溜息。
どうしたらこんなに合わせられるのでしょう。
双子のような、鏡のような、それでいて相手に合わせているだけではないそれぞれの個性。
重なるところと、際立つところ。
ひとつの世界と、無限の広がり。
あ、これってデュオのレッスンでれいね先生が言ってたことと同じ! フランス語で星を意味するエトワールは、正に雲のずっと上の存在だけど、このイメージが少しでもデュオ・ローズの演奏に繋がるといいなぁ。
ところで、パリのオペラ座には、ロシアのボリショイ劇場や英国のロイヤルオペラハウスなどと同様に付属のオーケストラがあります。
当然、生演奏です。 音楽監督がいて専属のオーケストラがあれば、音楽と合わせる練習もそれだけ充実します。
オペラ座管弦楽団といえば管弦楽のコンサートとして聴きに行く価値のある一流の楽団です。 その場で音が紡ぎ出される臨場感、バレエとの一体感がとても良かったです。 やっぱり音楽ってかなり重要な要素です。
ちなみに、日本の新国立劇場は専属のオケがないので、色々な楽団が交代で演奏します。
久々のフランス滞在でしたが、つくづくパリって芸術を身近に感じることの出来る街だなぁと思います。 3回に渡ってお届けしたパリの中に何か琴線に触れるようなものがあれば幸いです。
note*1 オペラ座のチケット購入〜ネット編〜
パソコンかスマートフォンでオペラ座の公式ページにアクセスします。言語は英語かフランス語です。
オペラ座はガルニエ宮とバスチーユと二つの劇場があります。 オペラ座と言われて思い浮かべるのはガルニエ宮の方なので、建物としてはやっぱりガルニエを見ておきたいですが、劇場としてはバスチーユの方が好きだったりします。
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note*2
フランス語のアクサン等につきましては、文字化け防止のため省略しています。
merci de votre visite.
au revoir, paris.
ecrit par coquemomo