【2016/07/03 チェンバロ・フェスティバル in 東京 第4回 J.S.バッハ@浜離宮朝日ホール】その1
こんにちは。今回はデュオ・ローズの相方の薫子さんと行ってきたチェンバロ・フェスティバルの様子をお届けします。
今回の目玉は、バッハのチェンバロ協奏曲の全曲演奏会です!
バッハのチェンバロ協奏曲は全部で14曲。 1台が8曲、2台が3曲、3台が2曲、4台が1曲です。 つまり、4台が1曲、そこから1曲ずつ増えて、3台が2曲、2台が3曲、残りが1台です。 明日テストに出ても答えられますね!
この全14曲を2回の公演で全曲演奏します。 なんて濃厚なプログラムでしょう。
どちらの回も捨てがたいですが、BWV1062が演奏される第2回を選択しました。先日まで慣れ親しんでいたこの曲がどんな風に聴こえてくるか楽しみです。
その前に当日のチケットを提示すると無料で入場できる小ホールのレクチャー・コンサートに来ました。
レクチャー・コンサート
「諸国チェンバロ物語vol.2~ ドイツ&フランス」
チェンバリストの植山けいさん(写真右)と野澤知子(写真左)さんによるスライドを使用したレクチャーです。
チェンバロの歴史と様式を、その時代や地域の曲の生演奏を交えながら解説してくださいました。
その曲に合わせて、バロックダンサーの岩佐樹里さん(写真中央)が踊りを披露されました。
バロックの曲は舞曲が多く、例えばクーラントも舞曲だということは知っていたのですが、どんな踊りか知らなかったので新鮮でした。
会場が階段教室のようだったので、年齢の近い薫子さんと一緒にいたこともあり、大学の講義を受けている気分になりました。 何だか懐かしい感じです。
レクチャーで使われた楽器は3台、先程の写真の2段チェンバロと次の写真の2台です。
手前はクラヴィコード、奥はヴァージナル。 クラヴィコードの音はとっても繊細です。マイクがあっても小さく、かなり耳を澄まさないと聞こえないくらいでした。
さて、レクチャー・コンサートが終わってからチェンバロ協奏曲の開始までちょっと時間があります。
折角なので展示楽器を見ようかと思っていたら、レクチャーの前に見て回っていた薫子さんが、
「ロビーに展示してある楽器にこけももさんのスピネットに似てるのありましたよ」
教えられて見に行くと、確かに見慣れた形の楽器
マーク・デュコルネのスピネットが!
ということは…
やっぱりオワゾリールハウスの井岡妙さんがいらっしゃってました。
オワゾリールハウスはフランスのチェンバロ工房マーク・デュコルネの日本総代理店です。
井岡さんは、妹でチェンバリストである井岡みほさんの留学先を訪ねた際にチェンバロの音色と出会い、遂にはオワゾリールハウスを立ち上げます。
楽器の納品のときにお会いして以来なので、3年ぶりくらいでしょうか。 まさか今日ここでお会いできるとは思っていませんでした。
このモデルのスピネットは高音が艶やかによく鳴るとてもいい楽器です。
1列なので音に変化をつけることは出来ませんが、コンパクトなので狭い部屋でも圧迫感がなく、かつ優雅な気分に浸れます。
それはさておき、フランコ・フレミッシュの楽器も来ていました。
スピネットもいい楽器ですが、これはもう全然別格です。 次元が違います。
手を触れないよう注意書きがあったので触ることは出来ませんが、美しい装飾を眺めていると、以前弾かせて頂いたときの音色が頭の中で流れ始めます。3年経った今でも、あの響きは忘れられません。
よっぽど弾きたそうにしていたのでしょうか。井岡さんが声を掛けてくださいました。
「弾いても構いませんよ」
え、本当ですか!?
今日、来て良かった〜。コンサートの前に早くもテンションが最高潮に達しそうです。
椅子に腰を掛け、ゆっくり鍵盤に指を下ろすと、まろやかで煌びやかな音が響きます。
C'est magnifique !! C'est merveilleux !!
なんて素晴らしい楽器なのでしょう!
一音鳴らしただけで、もう完全に夢の世界です。
アルペジオを掻き鳴らすと、溜息の出そうなまばゆい音がします。
余韻に浸り、興奮している気持ちを少し鎮めて、座り直します。
いつもより長めの呼吸をして、思い切って、今、練習している曲の出だしを弾いてみました。
私が弾いたとは思えない響き!
さすがフランス製の楽器、フランスの曲がよく似合います。
「やっぱり、いいですね。700万でしたっけ?」
「装飾がないものなら、600万くらいになりますよ」
うーん、どっちにしても高いです。
・・・私は当分はスピネットで頑張ります。
・・・あー、チェンバロ貯金しようかなあ。
こちらはマーク・デュコルネのイタリアン、奥が安達正浩さんのフレンチかな。 どの楽器も本当に素敵ですね!
で、気がついたらあっという間に開演時間が迫っていました。
さあ、お待ちかね、チェンバロ協奏曲全曲(の半分)の演奏会が始まります。
演奏会の様子は・・・次回に続きます(^^;; → その2
(注)文中に出てきたチェンバロの価格は参考価格であり、その金額で購入出来ることを保証するものではありません。
thanks for coming by.
written by coquemomo
〜BWV1062 フィナーレ〜 チェンバロ レッスン.:*・゜゜201605 **・゜゜
prologue
今月はデュオ・ローズでのレッスンです。
薫子さんと私の予定を合わせられる日が一日しかなく、今月は無理かもと言い合っていたのですが、れいね先生の予定が奇跡的に合ったので、何とか実現できました。
そして本日は、おさらい会で3楽章を弾いたBWV1062の完全版という位置づけです。
この曲はバッハが作曲した2台ヴァイオリンの協奏曲(BWV1043)をバッハ自身がチェンバロ用にアレンジしたものと言われています。
それぞれのパートは単独でも曲として成立するくらい魅力的です。 重なり合ってはじめて、この旋律は対旋律だったのかと気がつかされることもありました。
印象的なテーマが提示され、別のパートが追いかけるように応え、更に広がり、形を変え、調も変化し、曲は展開していきます。 追いかけ合いの中、時折登場するユニゾンの緊張感もまた魅力的です。
長く弾いた曲から離れるタイミングは難しいものですね。何だか寂しい気持ちになります。 でも、前に進むためには必要なステップなのかもしれません。
それに不思議なもので、曲も熟成するらしく、ちょっと寝かせて、また弾くと、意外と良くなったりします。
第1楽章
「1楽章、いいですね ♪」
いつもれいね先生の評価が高い第1楽章。
薫子さんと私の間ではミスタッチが最も多い楽章として評価が低いのですが、先生はそういう反応ではないんですよね。
正確さだけで評価するのなら、コンピューターに演奏させればいいよねってことになってしまうので、表現の部分は大切にしなくてはと思います。
でも、ミスを減らす努力もしないとなぁ。
あと、84小節目の4拍目、合わせる!
第2楽章
「こけももさん、多分そっちの楽器のせいだと思うのですが、もっとギリギリまで押さずに」
先生がこっちにやってきました。
「そうね。やっぱりかなり軽いですね。でももっともっと溜めて」
そう言って出だしの部分を弾いて見せてくれました。
多分、最終回と言ってしまったので、大サービスでの見本。
しっかり焼きつけて、再現しなくては。
あの響きを、あのタッチを。
2度目の演奏で何とか及第点となりました。
「そう、これで2台の響きが同じところになりましたね」
1楽章と3楽章は2列で弾いてますが、2楽章は1列にしています。 この2楽章の柔らかい雰囲気にはやっぱり1列の方が合うのです。
でも、この音色の点において、今日、私は根本的なところを直されたわけで、曲の根幹を左右するような致命的なことであったように思います。
この音の感じを感覚に刻み込んで、いつでも取り出せるように、どういう風に弾きたいかを忘れないように。
溜める、味わう、楽器の軽さにつられない。
24小節目はCembalo Ⅱ が聞く。
47小節目はCembalo Ⅰ が聞く。
第3楽章
3楽章は最近猛烈にやったせいもあり、それほど指摘を受けませんでした。
134小節目、最後のテーマに戻るところ、ここが最大の山場です。
1楽章と同じような展開ですが、最後の山はとにかく大切に。ここで全てが決まると言っても過言ではありません。
72小節目から勢いで誤摩化している感があるので、再度この曲をやるときはしっかり弾きこんでいきたいと思います。
総括
「それぞれの楽章の個性が違ったカラーで出ていて、とても良かったと思います。 卒業おめでとうございます」
おまけ:金平糖の踊り
12月に勢いで合わせてみたものの、笑い話にしかならなかった金平糖。
あの後、iPadアプリを購入して2台チェンバロ用の譜面を起こしました。
家で眠っていたこちらが活躍しました。
iPad/iPhone用スタイラスペン (タッチペン) Su-Pen P201S-T9C (カーボン軸)
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もうちょっと、安いやつだったような…。
iPad miniの画面に現れた鍵盤をひたすらSu-Penで押し続けて、完成しました。
「これ、先生の分です ⸜( ´ ꒳ ` )⸝」
最後のページが1行になってしまったところは少々美しくありませんが、その点を除けば、Notionが格好よく楽譜を印刷してくれました。
「ありがとう! 綺麗ですね」
褒められました ⸜( ´ ꒳ ` )⸝
でも、先生の手書きの楽譜はもっと素敵なんです。 私は、いつかれいねフォントを販売する権利を交渉したいと思っております。
「こけももさん、このファの音は何?」
1小節目の1拍目に、必要のない音が!!!
「印刷するときに触って変な音を入力しちゃったみたいです( ´・ω・`)」
何で見直さなかったのーー!!
詰めが甘いなあ。
この蛇足な音はさておき、おかしいところがないか先生にチェックしてもらいました。何度も聞き直したおかげか、修正は1箇所で済みました。
「殆どこのままで問題ないですね。売れますね」
「私もそう思ったのですが、2台チェンバロアレンジの需要がないみたいです」
1部壱千円也。一家に1部、いかがでしょうか?
epilogue
最後に今後やりたい曲の話をしてデュオレッスンは終了しました。
一人でもハーモニーが奏でられるという理由で鍵盤楽器に戻ってきたけれど
2台チェンバロって楽しい!!
thanks for coming by.
duo rose is to be continued.
written by coquemomo
【2016/05/03 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2016 #168@G409】
La Folle Journee (ラ・フォル・ジュルネ) は2月の初め頃にフランスのナントで開催されるクラシックの音楽祭です。
10年くらい前から日本でも行われていて、Le Salon du Chocolat (ル・サロン・デュ・ショコラ) のようにフランスで開催してから数ヶ月遅れでやってきます。
サロン・デュ・ショコラは今や大人気のイベントとなり、あまりの混雑に足が遠のいてしまった一方で、ラ・フォル・ジュルネは何だか億劫で行ったことがありませんでした。
今年はチケットが販売される時期にパリ行きの準備をしていてフランス気分が高まっていたのか、いつの間にかチケットを買っていました。
ただ単に財布の紐が緩んでいただけかもしれません。 おかげで今はひもじいです。(>_<)
ラ・フォル・ジュルネには毎年テーマがあります。
今年のテーマは
「la nature ナチュール - 自然と音楽」
です。最初の頃は作曲家や時代をテーマにしていたのですが、段々テーマが壮大になってきました。
ちなみに、ナントでの記念すべき第1回目のテーマはモーツァルト。
“La Folle Journee” は
『フィガロの結婚』の正式なタイトル
“La Folle Journee, ou le Mariage de Figaro”
から来ているので、納得ですね。
英訳しておくと、
“The Mad Day, or the Marriage of Figaro”
ラ・フォル・ジュルネはマッドな日ということになりますが、熱狂の日という素敵な訳がつきました。
さて、自然というテーマからはどんな曲をやるのかよくわかりませんが、毎年一つくらいはチェンバロメインの公演もあるので調べてみたら、3つありました。
公演番号168 5/3 チェンバロ:ピエール・アンタイ
公演番号268 5/4 チェンバロ:ピエール・アンタイ
公演番号367 5/5 チェンバロ:ピエール・アンタイ
3つあるけど、つまり日にちが選べるってことですね。
演奏曲目がラモーとF.クープランの曲から構成されていてオールフレンチなので、チェンバロよりもフランス語でクラヴサンと言った方がいいかもしれません。
それにしても、なぜラモーやクープラン?と思ったら、ふたりの曲には番号ではなくタイトルが付いているものがたくさんあるんですよね。 鳥とか花とかナチュールな曲を集めやすいわけです。
このイベントではたくさんのクラシックコンサートが行われ、東京国際フォーラムのコンサートホールを主な会場としています。それぞれの会場にはナチュールに川の名前が付されていました。
チェンバロの公演会場は3つとも『G409(セーヌ)』です。 パリの繁栄の原点とも言われる川の名前を持つ会場はどのホールかと調べてみると、
セーヌ(G409:153席) ガラス棟にある会議室。東京国際フォーラムならではの充実した設備が導入されており、イベントにもよく利用されています。
あ、『G(ガラス棟の)409(号会議室)』でしたか。
国際フォーラムの一面ガラス張りのところ、何があるのか気になっていましたが、会議室などがあるんですね。
気がついたらポチッとしていた公演は初日の5月3日のものです。18歳以上入場可となっています。
チェンバロはオトナになってから。
ではなく、22時開始の夜の公演です。
開場は21時45分とあったので、ホールE(パシフィック)の無料公演の観覧を適当に切り上げ、意気揚々とガラス棟のエレベーターを上がりました。 しかし、時間になっても409号室の扉は開かれません。
会議が長引いているのか、もしやチェンバロを狙った密室殺人が起きたのではと思ったのですが、ハープの公演が延びただけのようです。
開始予定時間も過ぎた頃にやっと会場に入ることができました。
もうガラスは見えません。普通の会議室です。 Atlier von Nagel の2段チェンバロと燭台のようなランプがセットされていました。
頑張ってランプは用意したけれど、明かり以外にこれと言ったデコレーションもなく、会議室感満載です。
この開始時間で遅れてくる人はいないでしょう。会場を見回すとほぼ満席です。着席は速やかに済み、程なく運営の方から遅延に対する簡単な謝罪と注意事項がありました。
「1曲は2〜3分程度の短めのものですが、演奏者の希望により1曲ごとに拍手をしないようにお願い致します。本日の公演は大きく3つのパートに区切られていますので拍手はそこでお願い致します」
こんな注意、初めて聞きました。
クラシックコンサートで曲が終わったと思って拍手したら、次の楽章が始まって顰蹙を買ったということがありますが、拍手くらい好きにさせてあげればと思う反面、積み上げた空気が壊れてしまうことも否めません。
会場の後ろの方からチェンバリストのピエール・アンタイさんが軽やかに入ってきます。
一旦チェンバロの椅子に座りましたが、すぐに演奏は始まりません。思ったより燭台ランプが暗かったのか、ちょっと調整が入りました。
さあ、始まりますよ。
22時から遅れること20分、この日最後にして最大の公演が幕を開けました。
早い曲とゆっくりの曲、明るい曲と暗い曲が絶妙に配置されています。
好きな曲っていうと、つい早い曲を選んでしまいがちですが、ゆっくりな曲も繊細でやわらかくて素敵です。また、ゆっくりした曲があると、早い曲の魅力も更に際立ちます。
日常ではBGMとして音楽を聴くことの方が多いかもしれませんが、こうして心を込めて組まれたプログラムを聴くことはとても優雅で贅沢な時間です。
チェンバロは強弱のつかない楽器ですが、これだけ素晴らしいとそんな次元はあっさり超えてしまいます。 煌めくような音に心は囚われ、あっという間に終わってしまいました。
アンコールはフレンチではなく、バッハのゴルトベルク変奏曲のアリアでした。
ラモーで高まった空気が、ゴルトベルクのしめやかでゆったりとしたものに変わり、今宵の音楽の宴は締めくくられました。
華やかで煌びやかで美しいクラヴサンの演奏にフランスの空気を感じましたが、そういえばここはガラス棟の会議室です。
凄いなぁ。会議室にいることどころか、日本にいることすら忘れていました。
そんな私の余韻とは裏腹に、急いで出て行く人たちのざわめきが広がります。
そうでした、開始が遅れたことも忘却の彼方に消え去っていました。
これだけ時間に正確な日本ですが、コンサートの開始時間だけはなぜか当てにならないですね。
merci de votre visite.
ecrit par coquemomo
〜こけもも meets ヴァージナル〜 チェンバロ レッスン.:*・゜゜201604 **・゜゜
La Flute de Pan で購入した楽譜を携えて、いざレッスンへ。 ちょうどおさらい会 も終わった後で新たな気持ちで再出発です。
でも、練習時間もあまり取れなかったので、全然上手く弾ける気がしません ( ´・ω・`)
「じゃあ、始めます?」
と、いつも以上に笑顔が素敵なれいね先生。 今日の曲が先生の専門のフランス・バロックの作品だからでしょうか。
でも、ガッカリさせてしまう予感がします。 先に伝えておきましょう。
「音、はずしまくりますけど」
「これ、はずしまくりあるあるな曲なの。私も何度も試験とかで外したし」
うーん、れいね先生に外しまくり認定を受ける曲を選んでしまったことを後悔するべきでしょうか。 まあ、でも動きがあって華やかな曲ってことで前向きにいきましょう!
「あ、いい楽譜ですね。私、これに書き込みしづらいです」
え、それは困ります。ビシバシ書いてください!
こうして新たなシーズンが幕を開けました。
先生の丁寧な書き込みと私の記憶から本日のポイントを。
・前打音はフランスものでは普通前の音に拍の頭が来るけれど、3度で収まっている音型では拍の頭が後ろの音に来る。 これはお決まりのパターンで指使いは必ず3→2(前打音を3で弾く)。
・普通アーティキュレーションを入れるようなところにスラーが書いてあるのは、アーティキュレーションを入れないでという意味。
さて、前置きはこのくらいで、今日の目玉はこちらです。 レッスンに行ったら、置いてありました。
ヴァージナル!
何ヶ月か前のデジャヴュって感じもしますが、今回はミニチュアではありません。本物の楽器です。
「弾いてみてもいいですか?」
「どうぞ」
やったね!
ゆっくりと指を鍵盤に下ろします。弦が
フェルメールが描いた楽器といえばやっぱりヴァージナルを思い浮かべる人が多いと思いますが、あの絵の雰囲気そのままの音色です。
私の感想に対し、れいね先生が楽器の構造の観点から解説をしてくれます。
「そうですね。チェンバロやスピネットは弦の端のほうを
なるほど。弦を
この写真で見えるかなぁ。
精彩な画面だとペアになっているジャックのそれぞれ左側の方のプレクトラムが見えると思います。 右側の方は恐らく逆側にプレクトラムがついているので見ることは出来ません。
そういえばこの楽器、ジャックが木製ではありません、珍しいかも。
古楽に触れるにつれて、フレンチチェンバロ、イタリアンチェンバロ、スピネット、クラヴィコード、フォルテピアノと、色々な楽器を弾く機会に恵まれましたが、ヴァージナルを弾いたのって初めてです。
この暖かみのあるまろやかな音は、大型のチェンバロには出すことが出来ない、ヴァージナルならではの響きですね。
そして、装飾もかなり可愛いくて、こんな素敵な楽器なのに、ドの音に惜しげもなくシールが貼られています。先生の娘さんのためでしょうか?
あぁ、私も今日見てもらった外しまくりあるあるの曲のために、低いレの音にシールが欲しいです。
merci de votre visite.
ecrit par coquemomo
【2016/03/19 Romeo et Juliette @ Opera Bastille, Paris】 (ロメオとジュリエット パリ バスチーユ オペラ座)
音楽は少し嗜んでいたけれど、バレエは友だちの発表会を見た程度。
だから「オペラ座で観るならオペラだよね、オペラ座だし」って思っていました。
でも、私がパリで初めて見たオペラは、イタリア語で歌ってフランス語の字幕がついていました。Σ(゚д゚lll)
字幕を見ながら舞台も見るって、オペラ初心者にはハードルが高過ぎやしませんか!
しかも、テレビの字幕なら、映像に重ねて表示できますが、舞台でそんなことは出来ません。 プロセニアムアーチの天井側にある電光板に字幕が出ていました。
舞台と字幕を同時に視野に入れるのは難しく、結局、字幕を読むのは諦めることにしました。
そしてあるとき気がつきました、実はオペラの曲よりバレエの曲の方をよく聴いていることに。
一度バレエを観てみると、音楽だけでなくバレエそのものもよい気がしてきました。
と言うのも、バレエに言葉の壁はないので、舞台に集中出来ます。
そんな理由?って言われるとそうなんですが、そんなところから徐々にバレエを楽しむことを覚えていきました。
さて、本日の作品は「ロメオとジュリエット」
ロミジュリって言うし、日本ではロミオの方が通りがいいでしょうか。
でも、バレエの演目ではローマっぽさを出すためにイタリア語読みにすることが多いので、ロメオ君とお呼びしましょう。英文学作品なのにね。
だからと言って、
「あゝロメオさま、何故あなたはロメオなの?」
とは言いません。バレエですから切ない気持ちも動きに乗せていきます。 言葉がないという制限された世界は、時に言葉以上の想いを伝えます。
原作:ウィリアム・シェークスピア
作曲:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:ルドルフ・ヌレエフ
プロコフィエフって知らないって言う人もこの曲はCMで聞いたことがあるのでは。
バレエの華は主役の二人ですが、この日はコール・ド・バレエ(群舞)がとても素敵でした。
この「騎士たちの踊り」もコール・ド・バレエ、キャピュレット家の人々の剣を使った踊りです。
キャピュレット家の衣装は真紅。 この色がとても鮮やかで、剣の鋭い動きと相まって、引き込まれます。
幾つものカップルが整然と舞台を駆け巡り、剣を振りかざし、そして、斜めの隊列は円になり、また違う形を見せていく。 個々の動きと全体の広がり。
少人数では絶対に出来ないコール・ド・バレエの世界。 ここまで舞台全体の動きに見惚れたことはなかったかもしれません。
やっぱりキャピュレットよねと思ってたら、モンタギュー家も負けていなかった。
モンタギュー家は深緑の衣装にフラッグを使った踊り。
いやーん、フラッグも格好いい(^^)
かなり大きなフラッグなのに、モンタギューの人々は寸分違わず正確に動かします。早い動きの中でフラッグだけは余韻のように優雅にはためき、昂揚感が高まっていきます。
剣やフラッグのもたらす華やかさと力強さの虜になりそうです。
剣は群舞だけではなく格闘シーンにも使われていました。この格好よさは殺陣に通じるものがありますね。 どちらが勝つか決まっていても、魅せ方が素晴らしく見入ってしまいます。
そういえば、この公演は Premiere(プルミエール)って書いてありました。初日の公演を観るのは初めてですが、そのせいもあるのか、今までに見たことないくらい、とにかく全員のクオリティの高さが最上級でした。
第2幕からは、主役ふたりの存在感が増していきます。
ロメオ君の衣装は爽やかなアップルグリーンとホワイトで、ジュリエット嬢は可愛さ溢れるコーラル。 この淡い感じが、ふたりの若さを象徴しているよう。
特にジュリエットは上に着る濃い赤のドレスが少女から大人への変化を表しているようでまた素敵でした。
主役のふたりのための踊り、パ・ド・ドゥが始まるとガラリと空気が変わります。
群舞の素晴らしさに心奪われていたけれど、これだけのダンサーの中から選ばれるエトワールは、やはり格別です。
それぞれの動きも神業としか思えない超絶技巧の世界ですが、それ以上にふたりの重なり合いに溜息。
どうしたらこんなに合わせられるのでしょう。
双子のような、鏡のような、それでいて相手に合わせているだけではないそれぞれの個性。
重なるところと、際立つところ。
ひとつの世界と、無限の広がり。
あ、これってデュオのレッスンでれいね先生が言ってたことと同じ! フランス語で星を意味するエトワールは、正に雲のずっと上の存在だけど、このイメージが少しでもデュオ・ローズの演奏に繋がるといいなぁ。
ところで、パリのオペラ座には、ロシアのボリショイ劇場や英国のロイヤルオペラハウスなどと同様に付属のオーケストラがあります。
当然、生演奏です。 音楽監督がいて専属のオーケストラがあれば、音楽と合わせる練習もそれだけ充実します。
オペラ座管弦楽団といえば管弦楽のコンサートとして聴きに行く価値のある一流の楽団です。 その場で音が紡ぎ出される臨場感、バレエとの一体感がとても良かったです。 やっぱり音楽ってかなり重要な要素です。
ちなみに、日本の新国立劇場は専属のオケがないので、色々な楽団が交代で演奏します。
久々のフランス滞在でしたが、つくづくパリって芸術を身近に感じることの出来る街だなぁと思います。 3回に渡ってお届けしたパリの中に何か琴線に触れるようなものがあれば幸いです。
note*1 オペラ座のチケット購入〜ネット編〜
パソコンかスマートフォンでオペラ座の公式ページにアクセスします。言語は英語かフランス語です。
オペラ座はガルニエ宮とバスチーユと二つの劇場があります。 オペラ座と言われて思い浮かべるのはガルニエ宮の方なので、建物としてはやっぱりガルニエを見ておきたいですが、劇場としてはバスチーユの方が好きだったりします。
購入するには会員登録をしなくてはなりません。 登録に必要なのは、 メールアドレスと任意のパスワード。 名前、生年月日、住所、電話番号。 あとは、支払いにクレジットカードを使用しました。
公演を選択して支払いが完了すると、すぐにメールが届きます。 メールにあるリンクからログインすると「チケットが用意出来たのでダウンロードか印刷してね」とあります。
Bille mobileボタン(英語だとMobile ticketかな)をクリックすると、QRコードが表示されます。 当日はこのQRコードを見せればOKです。 なお印刷の方はもっと普通のチケットっぽい見た目です。
note*2
フランス語のアクサン等につきましては、文字化け防止のため省略しています。
merci de votre visite.
au revoir, paris.
ecrit par coquemomo
La Flute de Pan エレガントでまた行きたくなるパリの素敵な楽譜屋さん
Musee de la musique に引き続き、チェンバロの果実♪ パリ編をお届けします。
旅行に行くと、朝から晩まで予定タップリの人と、のんびり行き当たりばったりの人、あなたはどちらですか?
私は、後者です。
根がナマケモノなので、楽しい予定でも、ありすぎると逃げ出したくなっちゃうのです。
でも、ちょっとは考えておかないとね。
パリで何しようかなぁ…
(o゚▽゚)o キュピーン!(←何かがヒラめいた音)
そうだ、楽譜屋さんに行ってみよう。
でも、どこにあるんだろう。
(o゚▽゚)o キュピーン!(←閃きの神が降臨した音)
れいね先生はパリに留学していたから、きっとパリの楽譜屋さんも知っているはず。
1月のレッスン のときにParis Pratique (edition 2001 ←古っ!)を持っていって尋ねてみました。
Paris Pratique はパリのポケットサイズ(よりちょっと大きいかな)の地図です。 全ての通りの索引があるところがポイントです。 これさえあればパリで迷うことはありません。 仮令パリで迷ってもすぐにどこにいるかわかります。*1
「メトロのEurope駅を降りてすぐのところ、この通りにあるんだけど、同じお店が3軒あるけど、チェンバロの楽譜を置いてあるのはここ」
めもめも_φ(・_・
「お店の名前は、えーと、La Flute de Pan (ラ・フリュート・ドゥ・パン) だったかな」
パンのフルート
パンはパリに行ったら発酵バターをタップリつけて食べようと思っているバケット的なアレではなくて、ギリシア神話の神様。
上半身は人、下半身は山羊の牧神パンは音楽も好きなんですよね。
で、楽器のパンフルートの由来となる神話があります。
何だか粋な感じ!!
お店の名前だけでワクワクしてきて、パリに行きたくなりました。 いや、パリには行くのですけども。
さて、Europe駅を降りたら、寒いのなんの。
ちょっと3月、もうちょっと暖かくしておいてよ。
この日は緩やかな風が吹きっぱなし。 柔らかい風は悪くないけど、こうも温度が低いと身に沁みます。
うぅ寒いです…。早くお店に入りたいです。
すぐに見つかるかなあ。まずは適当に歩いてみます。
キョロキョロしていたら、すぐに1軒目を発見しました。ラッキー。でも、多分ここではない予感。
入って聞いてみましょう。
"Est-ce que vous en avez pour le clavecin ?"
(チェンバロの楽譜ありますか?)
"Non, dans autre magasin."
(別の店舗になります)
やっぱり違ってました。れいね先生の説明からすると、そうじゃないかとは思ってました。
同じ通りなので、あとはこの道を真っ直ぐ行くだけです。程なく2軒目が見えてきました。
入ってみたところ、ピアノの楽譜がなさそうなので、多分ここも違います。 でも、オーケストラの譜面があるから、チェンバロのパート譜があるかなと聞いてみると、チェンバロはみんなもう一軒の店舗にあるとのこと。
さーてと、3軒目に参りますわよ。
別に間違えたわけなんかじゃなくてよ。
折角来たのですから他の店舗も視察させて頂こうかなと思いまして。
それに、真打ちは最後に登場って決まりなのですから。
3軒目は同じ通り沿い、最初に入った店舗の先にありました。
到着!!!
ここだけクリーム色の外観なので、次は間違えることはありませんわ。
ちょっとお待ちになって。間違えたなんて失礼なことをおっしゃるのはどなたかしら。
まだ氷点下になる事もある3月のパリだからといって、一目散に目的地に向かうなどパリジェンヌ日本代表の私には考えられないことでしてよ。
その割には寒過ぎて写真撮影が適当すぎで「3店舗とも全く同じアングルでワロスw」とか思いもしないですわ。
入り口の写真は構えが更に雑で、構図のかけらもなく本来ならお蔵入りですけれど、致し方ありませんわね。 日の丸を背負ってもメダルを逃す日だってありますもの。
ガチャ。
"Bonjour."
(こんにちは)
"Bonjour."
(いらっしゃいませ)
入るとピアノの楽譜がいっぱいあります。
お店の中は天井まである棚に所狭しと楽譜が並べられています。
日本で楽譜を扱っているお店だと売れ筋の楽譜が平積みされていますが、平積みはかなり少なめです。 もっとも、私が日本で行くのは、楽器屋さんの楽譜売り場になるので、楽譜の専門店だとこんな感じになるのかもしれません。
路面店だし、どちらかというと雰囲気でいうなら古書堂と言ったイメージでしょうか。 でも、扱っているのは古書ではありませんし、広さも3倍から4倍くらいはありそうです。
また、棚同士が近いので、感覚的に図書館に似たものを感じます。
そんな事を思いながらお店の中を一回りした後、チェンバロのコーナーをひたすら見ました。
ピアノに比べたらほんのちょっとですけれど、それでも見たことのないチェンバロ譜がたくさんあります。 それだけで楽しくて仕方ありません。
片っ端から取っ替え引っ替え、表紙に見とれたり、ページをめくったり。
楽譜一冊丸ごと手書き(印刷ですが)のものもあります。 作曲家本人の直筆でしょうか。流暢でお洒落な感じすらしますが、筆記体同様、ぺーぺーには即座に読むことが出来ません。 買い物は実用性重視です。 そそくさ棚に戻しました。
ところどころ日本の楽譜もありました。少々こそばゆいです。どういう基準で仕入れているのでしょうか。
高い棚に手を伸ばしたり、しゃがみこんで低い棚を漁ったり、そうこうしているうちに1時間以上、チェンバロ譜の辺りを陣取っていました。
お店の人に怪しまれたかも…
眺めているだけでアートなものもたくさんあり、欲しいのがいっぱいあります。さすがに気になったの全部買うと大変なことになりそうです。 楽譜って結構高いのですよね。
今はインターネットで無料や安価にダウンロード出来ます。 でも、楽譜を買うとそれだけでやる気が変わるのは私だけでしょうか。
そうは言っても、買ったものの弾いたことがない楽譜もあります。積ん読ならぬ積ん弾?
ここは厳選しましょう。 持って帰るのに重いし、大量買いしても楽譜は書籍だから、仮に免税が出来たとしてもたかが知れてます。*2
これとこれと…決めました。レジに持っていきましょう!
私の前のお客さんのお会計が終わり、私の番が回ってきました。 厳選したと言っても2冊以上の楽譜なんて普段買わないからか、武者震いがしてきました。
レジを打ちながら、店員さんが話しかけてきました。
"Vous etes professionnelle ?"
(プロの音楽家さんですか?)
"Non."
(いいえ、違います)
"Etudiante ?"
(学生さんかしら?)
"Non, je suis amateur."
(いえ、音楽は趣味なんです)
もしかして、音楽関係者だと割引があるのかな。
(そういうのはなかったと思います。れいね談。)
支払いが完了し、お店のお姉さんはビニールの袋らしきものに私が購入した楽譜を入れようとして、手を止めました。 少し考えるような仕草をしたあと、後ろに掛かっている布製の袋を指差しました。
"Quelle couleur aimez-vous ? Blue, rouge, jaune, rose."
(何色がいいですか? 青、赤、黄色、ピンク?)
"Rose, j'aime beaucoup." (えーと、ピンク)
慣れた手つきでピンクの布バッグを取り、楽譜を入れて差し出してくれました。
"Voila !" (はい、どうぞ)
"Merci, mais pourquoi avec le sac ?" (でも、何でこの袋を?)
"C'est un cadeau a vous." (あなたへのプレゼントよ)
"Merci, c'est gentil !" (ありがとうございます!)
布バッグは薄手のものなのでノベルティーなのだと思いますが、冊数なのか値段なのか店員さんの気分なのか、もらえた基準まではわかりませんでした。
もっと聞いてみてもよかったのですが、いただいたハッピーな気持ちが薄れてしまいそうなので、これ以上は聞かないでおきましょう。
今年と来年くらいで、この楽譜たちを楽しみたいと思います。
この楽譜が終わった頃、またこのお店に来れたらいいなあ。
La Flute de Pan
59 rue de Rome 75008 Paris
Metro : Europe
定休日 : 日曜
さて次回は、パリ編をもうひとつだけお届けしたいと思います。 チェンバロからはちょっと離れた話になる予定ですが、ご覧いただければ嬉しいです。
note*1
さすがに古過ぎるかなとParis Pratique の新しいのを買いました。 今回はiPhoneを持っていって、シャルルドゴール空港で購入した現地SIMが、そんなに要らないけど1ギガあったため、GPSも乗換案内も使いたい放題。 iPhone Pratique 状態だったのですが、それでも便利です、Paris Pratique。旅行者の強い味方です。 ⤴モドル
note*2
フランスのTVA(付加価値税=消費税)は20%ですが、食品や書籍は5.5%です。
免税をするには最低175.01ユーロ以上の買い物をする必要があります。
このお店が免税に対応しているかは確認していませんが、仮に出来てもそもそものTVA が小さいため、大した返金は見込めないということになります。⤴モドル
note*3
フランス語のアクサン等につきましては、文字化け防止のため省略しています。
merci de votre visite.
ecrit par coquemomo
聖地巡礼? パリの音楽博物館 Musee de la musique でチェンバロを見よう!
Bonjour, comment allez-vous ?
れいね先生オススメのMusee de la musique (ミュゼ・ドゥ・ラ・ミュズィック)は1997年にパリに出来た比較的新しい博物館です。
日本語にすると『音楽博物館』
まだ新しいのに、こんな唯一無二の名前が付いているということで、益々期待が膨らみます。
ずっと行きたかったのですが、ちょいと飛行機で12時間となると、中々都合がつきません。 先日、やっと、チェンバロを習ってから初めてのパリ行きが実現しました。
到着の次の日は特に予定がなかったので、念願のMusee de la musique へ。
早速メトロに乗って、といきたいところですが
その前に、アレを買わなくては。
次にパリに来たら買おうと思ってたもの
そう、パリのSuica、Navigo
です。
買うと決めていても下調べが出来ていないのはいつものこと。 きっとメトロの窓口で売ってますよね。
"Est-ce que je peux acheter un Navigo Decouverte ici ?" (ここで、Navigo を買えますか?)
"Bien sur !" (もちろんよ)
やったね。これで1週間26.25ユーロで、パリ市内とおまけに郊外も電車にバスに乗り放題!!
さあ、メトロに乗ろうと思ったら、窓口のお姉さんに止められました。
"Attendez ! Il faut la photo avant."
(乗る前に写真を貼らなきゃダメよ)
その辺は、Navigo の前身カルト・オランジュと同じシステムなのですね。
すぐそばにある Photomaton® (フォトマトン)で写真を撮って、さっきのお姉さんのところに持っていくと、雑な感じに切ってNavigoに貼ってくれました。 ちょっ、写真の枠からはみ出てるよ!
カルト・オランジュを買った時の記憶が蘇ります。 あれもかなり適当な感じに貼られたなぁ。
ちなみに、Photomaton® は日本で言うスピード写真で撮影料金は5ユーロでした。 高くはないけど、いまどきデジカメならタダで…
べらんめえ、こちとら江戸っ子でえ(ウソです)
そんな細かいことは気にしねえぜ。
しかも、パリのエスプリを感じる素敵な証明写真があと4枚も残ってらあ。
さあ、今度こそ、行きましょう。
ビュン!
Navigo をかざすと、何と表現すればいいかよくわからない近未来な音がします。
この音はぜひパリで確認してみてください。 初めてSuicaで改札を通った時のようなワクワク感が湧き上がること間違いありません。
さて、音楽博物館はパリの19区の端の方にあります。 最寄り駅はメトロ5号線のPorte de Pantin駅。 2回乗り換えて到着しました。
私にとっては初めて降りる駅です。ドキドキ。
わあ、音符!!
駅を降りるとホームの壁には五線譜が描かれていました。
Musee de la musique は Cite de la musique (シテ・ドゥ・ラ・ミュズィック)の中にあります。 Cite は都市という意味なので、ここは『音楽の都市』の最寄り駅ってことになります。
コンサートホールなどもあって、すぐ近くには Conservatoire nationale superieure de musique et danse de Paris(コンセルヴァトワール=パリ国立高等音楽・舞踏学校)があります。
さて、改札を出たものの、駅からの行き方がよくわかりません。 と、言うのも地図を見ても、まとめてシテの場所がドーンと書いてあるので、博物館の具体的な場所がどこかよくわからないのです。
3月中旬にしては寒いパリの街を少しキョロキョロ歩き回ってみました。 それらしき建物は1つしかなさそうです。 ここの入り口で聞いてみることにしましょう。
“Ou est la musee de la musique ?”
(音楽博物館はどこにありますか?)
“Ici."(ここだよ)
(写真を見直すと、右側のプレートに書いてありそうな…。)
パリの荷物検査は以前より厳しくなったように思います。 美術館などでバッグの中身を見せるのは以前からでしたが、結構覗き込まれ、ボディチェックもあります。 でも、安全のためなので仕方ありません。
怪しいものは持っていませんので、程なく中に入れました。
まずはチケットを買います。大人1枚7ユーロです。
左手に進んでと言われたので見るといきなりおみやげやさん。日本だとぐるっと一周回って元のところが出口兼おみやげやさんっていうのはよくあるけど、出会い頭におみやげやさんってのは結構斬新な造りですね。
おみやげはとりあえずスルーしましょう。右手奥にクロークが見えますが預けたいものはありません。受付に進んでお姉さんにチケットを見せます。
“Vous parlez le français ?”
(フランス語は話せますか?)
“Oui, mais un peu.”
(少しなら)
“Est-ce que ca vous convient en français ?”
(これはフランス語で大丈夫?)
あ、音声ガイドを貸してくれるんですね。 別料金の設定ではないようです。
“Il n'y a aucune probleme.”
(フランス語で問題ないです)
“Vous venez d'ou ?”
(どちらからお越しですか?)
“Je viens du Japon. ”
(日本からです)
“・・・”
(・・・)
極東の島国 Japonには特に思い入れがなかったのか、そのまま操作方法の説明に入りました。
音声ガイドの操作は簡単で、使い方はすぐわかりました。
お礼して、展示フロアに入ると、
いきなりチェンバロ!!!
わお。テンションマックス!!
と、いうのは勘違いで、
入ってすぐのフロアは17世紀の間。 年代順に配置されると、チェンバロは当然初めの方になります。
館内を見ているうちに、先ほど渡された音声ガイドが大活躍していることに気がつきました。
よく美術館で貸してくれる音声ガイドは、書かれている番号を押すと、その絵の背景やその絵を描いた画家についての説明があるのだと思います。
この音声ガイドもその楽器にまつわる歴史を聞けるのは勿論のこと、その楽器で録音された演奏を聴くことができるのです。
どんな楽器かを知るにはビジュアルだけじゃなく、耳から入る音の情報があってこそ。
更に、館内の要所には小型のディスプレイが配置され、そこで動画を再生しています。 この動画の音声はこのガイド端末で聞くことが出来ます。
普通、音の出る解説動画を流すとなると、他のお客さんへの影響も考えて、壁で仕切るなどするものですが、この方法ですと、あちこちで解説動画を流すことが出来ますね。
音声ガイドが必ず手渡される理由がわかりました。
あとは、点字が用意されているのも楽器の博物館ならではでしょうか。
楽器の形状や演奏方法も指で触れてわかるようになっています。
次のフロアは18世紀。
18世紀と言えば豪華なフレンチチェンバロの時代。 華やかな楽器が展示されています。
こんな煌びやかな楽器が似合うのは、やっぱりマリー・アントワネット?
さすが、フランス。ラモーがピックアップされています。
そして、18世紀の後半、ピアノが台頭してきます。
いわゆるフォルテピアノです。
でもここでは Piano a queue(グランドピアノ)と書かれていただけで、特にモダンピアノとの区別はされていませんでした。
音の強弱がつくもの同士だからか、何故かクラヴィコードも同じあたりに置いてありました。
この18世紀のフロアにはステージがあります。 毎日ここでミニコンサートをやっているようです。
この日はクラリネット奏者が、クラリネットの他に古楽のリコーダーなども色々演奏していました。 また、演奏だけでなく管楽器の歴史もお話されていました。ちょっとした音楽史の講義みたいですね。
後ろのチェンバロらしきものが気になったのですが、残念ながらこちらが演奏されることはありませんでした。 このコンサートは数日で違うものに変わるようなので、いつかこの楽器の音色と出会える日が来るかもしれません。
次のフロアは19世紀。音楽で言うとロマン派の時代です。
チェンバロも終わっちゃたし、長いこと演奏を聴いていたのもあって、このフロアは軽めに流しました。
なので、写真も流しました。テヘペロ (・ω≦)
そして20世紀のフロアです。
そこには、ちょっと眼が覚めるようなものが置いてありました。
まず、テルミンがきて、
去年オンドについて少し学んだので、何だか感慨深いです。 原田さんが演奏した楽器とは少し雰囲気が違います。
その先には録音ブースのような場所にミキサーが展示されていて、現在に繋がります。
音楽の時間旅行はここでおしまい。
平日の昼間だったせいか、混み過ぎず、かといって誰もいないわけでもなく、居心地のよい空間でした。
この日比較的多かった来館者は、小学生の課外授業のような少人数の団体でした。
子供たちはフロアに直に座って先生の話を聞いています。 質問したり、ふざけたり、楽しそうでした。 私も子供の頃にこういう体験をしたかったなあ。
この博物館には、鍵盤楽器の他にヴァイオリンやフルートなどたくさんの楽器が展示されています。 メトロノームなど楽器周辺の小物や世界の民族楽器もあります。 チェンバロ以外にも装飾に凝った楽器が色々と置いてあり、音を鳴らす前から芸術作品です。
ぜひ、パリを訪れた際は立ち寄ってみてください。
MUSEE DE LA MUSIQUE
221 avenue Jean Jaures 75019 Paris
Metro : Porte de Pantin
休館 : 月曜
次回のチェンバロの果実♪もパリ編をお届け予定です。
フランス語のアクサン等につきましては、文字化け防止のため省略しています。
merci de votre visite.
ecrit par coquemomo