チェンバロの果実 ♪

ピアノのようなかたちをした鍵盤楽器チェンバロ。にほんでいちばんやさしいチェンバロのあれこれ。

【2018/05/04 ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2018 "ソワレ・スカルラッティ" @東京国際フォーラム ホールD】

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ゴールデンウィークは油断すると寝正月ならぬ寝ゴールデンウィークになりがちなので、今年もラ・フォル・ジュルネに行ってきました。

ラ・フォル・ジュルネの記事を書くのは一昨年前に続き、2回目です。

実は昨年もチェンバロ以外の公演を聴きに行ったので、3年連続になりました。 そろそろ毎年行ってると言ってもいいでしょうか。

前回の記事は、読むとわかるラ・フォル・ジュルネな感じでしたので、イベント概要につきましてはそちらを読んで頂きたく存じます→★(笑)として、今回は一昨年前からの変更点などもお伝えしたいと思います。

◇ 会場に池袋が加わりました。

場所は東京芸術劇場。レポート的にはこちらに伺うのが正解ですが、丸の内エリアの方が近いのと、チェンバロ公演がなかったので東京国際フォーラムを選びました。

芸劇のアイコン、パイプオルガンで演奏される大バッハのオルガン曲プログラムとかあれば迷わず池袋にします。ぜひお願いします。

◇ オ・ジャポン→TOKYO になりました。

以前は東京都外でも開催されていたのですが、池袋を加え『東京都の音楽フェス』として推していこうという意図でしょうか。

◇ 「熱狂の日」という日本語訳が消えました。

一昨年前の記事で褒めた手前、苦笑いです。 きっと「フラ語のままのがシャレオツじゃね?」ということでしょう。 熱狂の日をやめちゃったからか、LFJという省略が見られるようになりました。

さて、LFJ今年のテーマは

「UN MONDE NOUVEAU モンド・ヌーヴォー - 新しい世界へ -」

ここ数年の流れどおり、幅広く解釈出来るテーマですが、新天地で頑張った作曲家たちをメインに据えているようです。ホール名も亡命作家から取られていますね。

私が選んだ公演はこちらです。

公演番号:M258 “ソワレ・スカルラッティ
5月4日 (金・祝) 22:00~22:45
東京国際フォーラム ホールD7:ネルー
チェンバロ:ピエール・アンタイ

一昨年前のラ・フォル・ジュルネ昨年のラモーのデュオコンサートと一方的にアンタイさんにご縁を感じたのと、スカルラッティが一応テーマに沿った作曲家に挙げられていたこともあり、こちらに決めました。

自らの意志で母国を離れ、新しい世界へ移住した作曲家たちとカテゴライズされていたドメニコ・スカルラッティ

彼はナポリの出身で、ポルトガルのマリア・バルバラ王女のチェンバロの先生になり、彼女がフェルナンド6世に嫁いだ際に、スペインに移住します。
(イタリア→ポルトガル→スペイン、先日見た水曜どうでsy…ボフッ∑(゚Д゚))

スカルラッティは555曲ものソナタを作曲しました。 繰り返しを入れて、1曲、3分程度の作品が多いので、クラシックの中でも、今のポップスに感覚が近いのではないでしょうか。

スカルラッティ聴きに行くんだと言ったら、「インディ・ジョーンズ?」と言われました。 クリスタル・スカルは関係ありません。

ピアノのコンサートのアンコールなどで演奏される機会もそこそこあるとはいえ、まあスカルラッティはマイナーです。

曲の後半に転調し、スケールで鍵盤を縦横無尽に駆け巡り、両手をクロスさせたり、高音や低音に激しく飛んだり、何曲か聴いているとスカルラッティ節みたいのがわかってきます。

では、ここで問題です。

スカルラッティと同期の作曲家と言えば?

ヒントは、スカルラッティは、鍵盤楽器の主流がピアノになる前のチェンバロ時代の作曲家です。

チェンバロ時代の有名な作曲家と言えば……

そうです。 答えは、J.S.バッハヘンデル。 3人とも1685年生まれです。花の85年組(笑)。

さて、555曲もあるソナタの中からLFJでどの曲を演奏するのか、案内には“ソワレ・スカルラッティ”としか書いてありません。

会場でプログラムをもらいました。が、曲名が全く書いてないです。

印刷ミスでしょうか?

訝しそうな顔をしたからか、スタッフの人が教えてくれました。

「演奏する曲はアンタイさんがその時の気分で決めることになってるんです」

( ゚д゚)

「アンタイさん、そろそろプログラムを提出していただけないでしょうか」

「えー、そんなのないよ。気分で演奏するから」

(私の勝手な妄想です。)

クラシックだと曲順をきめてその通りに演奏するのが当たり前ですが、ロックバンドもポップスアーティストも落語家も出さないし、なくても困らないけど目から鱗でした。

少し重めの扉の向こう側の会場は、どうやら会議室ではなさそうです。 確かに会場の頭文字がG(ガラス棟会議室のGと推測)でなくDです。

きっと前回の会議室は照明が上手くいかなかったのがピエール的に不満だったに違いありません。

「この前の会議室さ、別にいいんだけど、老眼じゃないけどちょっと暗くてやりづらかったよね。老眼じゃないけど舞台用の照明ってやっぱりいいよね」

とか何とか言ったのかも、いえ、言ってないです(しかし一昨年は眼鏡を取り出し見えずらそうに楽譜を見ていたのは事実です)。

会場も前回より広くなりました。椅子も映画館のように座り心地の良いものになりました。

ふかっと座ってくるっとまわりを見回してみると満席です。

LFJはクラシックコンサートとしては客層が若いことが特徴です。

仕事や勉強から解放されるゴールデンウィーク(LFJの関係者を初め、サービス業の皆さんに感謝)にリーズナブルな値段でたくさんの公演が行われるLFJ、日本ではやっぱり唯一無二かなと思います。

時間になり、ピエール・アンタイさんが舞台に現れました。

楽譜はいつもの通りクリアファイルに入っているようです。 555曲入っている厚さではないので、弾く曲は絞られていたことになります。

まあ、555曲収めるとなるとゼクシィの如き鈍器になる事請け合いですし、そもそも全曲開演直前に見るのは不可能なので、当然と言えば当然です。

スカルラッティの45分間はあっという間に過ぎました。

ソワレ・スカルラッティのソワレはフランス語で夜公演という意味ですが、昼間の陽射しを感じさせるような演奏でした。

ナポリリスボンマドリードの肥沃な大地で、太陽の恵みが降り注がれた真っ赤なトマトのようにスカルラッティの曲たちは生み出されていったのかもしれません。

では、今日聴いた中で一番のオススメを。

Sonata In A Major, Kk. 208: Adagio a cantabile

Sonata In A Major, Kk. 208: Adagio a cantabile

  • ピエール・アンタイ
  • クラシック
  • ¥200

えーっと、長調だけど、切なくて、私が聴いたことある中では唯一の泣きたくなるスカルラッティです。 つまり、真っ赤な太陽ではないスカルラッティです。

ま、世の中そんなものです。 明るく華やかなことで有名なモーツァルトの曲で、なぜか短調の方が素敵に聴こえる人が結構いるように。

このコンサートは、チェンバロの日の2週間前でした。

久々にクープラン以外の音楽に触れ、気分転換し、そこからまたクープランに戻っていったのですが、

クープランのリレーコンサートに興味深いチラシが置いてありました。

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スカルラッティ ソナタ全曲リレーコンサート』!

クープランはギリギリ仕上がった感じでかなり大変な思いをしたのですが、もう少し弾きこんだらクープランの神と出会えたかもとも思えた得難い体験でもありました。

そんなわけで2曲だけエントリーしてみました。 555曲中2曲、僅か0.36%とはいえ、この先勢い余って増やしたりせずに丁寧に向き合うことを誓います。


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written by coquemomo

カプラー操作とかで考えられる過ちを全て犯したんじゃないかという話【2018/05/20 チェンバロの日!2018 @松本記念音楽迎賓館】

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今年のチェンバロの日は、フランソワ・クープラン生誕350年を記念し、ほぼクープラン一色に染まりました。

その中でも、目を引くのは1階のサロンで行われたクラヴサン曲集全曲リレーコンサート♪

2日間のイベントの開始から終了までを余すところなく使って、クープランクラヴサン曲集の全曲が演奏されました。

フランソワ・クープランバロック時代のフランスの作曲家。 クープラン家は音楽家一族で、他にも伯父のルイ・クープランなどがいますが、断り書きなくクープランと言うとこのフランソワのことを指します。

クープランとも呼ばれ、バッハ一族におけるJ.S.バッハ大バッハのような感じですね。

クープランクラヴサン曲集を4巻出しました。

1曲は2ページくらいの短いものが多く、7曲くらいをまとめて1つのオルドルとしています。 組曲みたいなものですが、少ないものだと4曲から多いもので23曲もあり、ある程度形の決まっている組曲よりも自由な印象です。

1日目に1巻と2巻(第1オルドル〜第12オルドル)、2日目に第3巻と第4巻(第13オルドル〜第27オルドル)が演奏されます。

このリレーコンサートの参加条件はクープランの音楽が好きなこと。

私も参加可能でしたので、エントリーしました。

私が申し込んだのは…

My Set List

F.クープランクラヴサン曲集 第3巻より

第13オルドル
◇ フランスのフォリア、あるいはドミノ
◇ 煉獄の魂

第14オルドル
◇ ジュイエ (duo Rose)

第15オルドル
◇ ショワジのミュゼット (duo Rose)
◇ タヴェルニのミュゼット (duo Rose)

第16オルドル
◇ レティヴィル (duo Rose)

第18オルドル
◇ テュルビュラン(騒々しさ)

F.Couperin : Pieces de Clavecin, 3e livre

les Folies Francoise, ou les Dominos (13e ordre)
l'Ame-en Peine (13e ordre)
la Julliet (14e ordre)
Musete de Choisi (15e ordre)
Musete de Taverni (15e ordre)
la Letiville (16e ordre)
le Turbulent (18e ordre)

1つのオルドルを通しで弾く人もいる中、何というバラバラ参加。

リレーらしくていいじゃないとも言えるかもしれません。 何だか小学校の運動会みたいです。

飛び飛びの参加になったのは、デュオ・ローズでの連弾の参加のためです。

このクラヴサン曲集には3段で書かれている曲が何曲かあります。

普通は2台チェンバロで演奏しますが、今回は楽器が1台なので、デュオ・ローズの相方の薫子さんと相談して、1台3手の連弾での演奏にチャレンジしてみました。

さて、2日目は13オルドルから。

ソロで参加する「ドミノ」と「煉獄の魂」は13オルドルなので、早速出番が回ってきます。

「ドミノ」はちょっと珍しくて、16小節の曲が12個合わさって1曲になっています。

12個それぞれにタイトルとドミノ(仮面舞踏会用の頭巾付きマント)の色が記されていて、まるでオムニバス映画のサントラのようです。 30秒から40秒で次々と次の曲に進みます。

7つ目と8つ目の間にカプラー操作で上鍵盤を連動させて後半を2列で弾く構成にしました。

一般的には上鍵盤の両脇を押して連動させることが多いのですが、この楽器は下鍵盤の奥にある白いポッチを押すタイプです。

案内に書いてありました。

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読んでおりましたとも。

でも、ですね、実際に曲の間で操作しようと思ったらなぜか手が上鍵盤の横を押そうとしてしまったのです。

10秒くらい押したでしょうか。 動かないことに気がついた私の目に白いポッチが映ったようで、そこを触るといとも簡単に動きました。

知ってても間違えちゃう人っているんですよね。

私が見た範囲では私だけでしたが。

「煉獄の魂」はカプラーを戻して1列にしますが、そこはスムーズに出来ました。

次のカプラー地獄がやってきたのは、ローズの連弾のミュゼット。

連弾曲は全て2手を担当する方が下鍵盤を、対旋律のみを担当する方が上鍵盤を弾くことにしました。

主旋律と対旋律は同じあたりの鍵盤、時には同じ音を弾くので、鍵盤は必然的に連動させないことになります。

ミュゼット2曲は私が片手で対旋律を担当します。

ショワジのミュゼットは牧歌的なのどかな感じの曲です。 柔らかく暖かい雰囲気で曲は始まりました。 デュオ・ローズのどちらも鍵盤が連動していることに気がつかずに。

ここからの私は、状況が頭脳に伝わる前に身体が動いており、無意識とか反射とか言えばいいのでしょうか、とりあえず苔桃さんとして話を進めてみます。

ショワジのミュゼットが始まり、程なく苔桃さんの指は不思議な感覚に襲われます。

鍵盤の上にある指が力を加えていないのに下がりこみます。

電動アシスト!

そんなわけありません。

自動演奏中の電子ピアノの上に指を置いていれば、この感覚になるかもしれませんが、18世紀の楽器の復元です。電動するにはまだ早過ぎます。

では、マリー・アントワネットの呪い?

その可能性は全くないとは言い切れませんが、お昼前の爽やかな時間に、そんなことする霊はあまり例がありません。

本番中の苔桃さんはそんな可笑しな発想はせずに、動きを指で感じるとほぼ同時にカプラーを手前に引きました。

カプラーの引き方はバッチリです。さっきやってますからね。

カプラーは片手では引けないので、苔桃さんの右手は鍵盤から離れました。 正にその瞬間は薫子さんは弾いていたはずですが、この部屋から音はなくなりました。

薫子さんも演奏を中断したようです。

苔桃さんは斜め後ろを振り返ると、運営の方に言いました。

「やり直してもいいですか」

そうして、再び最初から演奏が始まりました。

ソロであったら何も言わずに弾き始めたでしょうか。 何れにしても、私より頼りになる苔桃さんが全てを進めてくれたおかげか、アクシデントがあったものの演奏自体はなかなか良かったかなと思います。

私が最後に弾いた曲はテュルビュラン 。 この曲は8フィートに4フィートを重ねます。

この音色を選んだ話はおさらい会の方でどうぞ。

愛着を持って決めた4+8を忘れるわけがありません。 演奏前にしっかり設定して、4フィートを入れて弾きました。

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完璧!

ミスを数えたらキリがないですが、全体の纏まりも軽やかさもおさらい会とは比べ物にならないくらい名曲になりました。

結構相性のいい曲だと思うので、この曲はレパートリーとして大切にしていこうと思います。

そうして弾き終わって近くの椅子に座りかけて、次の演奏者がカプラーを入れているのが見えました。

苔桃さんは立ち上がり4フィートを外すために楽器に戻ります。

演奏者にそのことを伝え、4フィートをオフにしました。

次の曲、右手もヘ音記号の重い曲です。 高音の4フィートなんて重ねたら台無しです。 弾く前に直せて良かったです。

人は失敗から学ぶと言います。

これだけ操作に手こずったのだから、次の発表会はかなり複雑な操作にしてもイケるのではと、変な自信すら湧いてきました。

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記念品は使用した楽譜のカラーに近い水色のものをいただきました。


merci de votre visite.
ecrit par coquemomo

【2018/03 おさらい会+お茶会@及川邸チェンバロルーム】

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先日、れいね先生のご自宅でおさらい会がありました。

ここのところ発表会と隔年ごとに行われています。

最近では、発表会を聴きに行きたい、と言ってくださる方が増えていてとても有り難い反面、緊張してしまうのも事実。

一方、おさらい会は発表会と違って弾き直しOKで、お客様も少ないので、緊張が少し和らぎます。しかもお茶会が付いてくるので、かなり幸せなイベントです。

発表会の方は全体の打ち上げや反省会はあったりなかったりですが、どちらにしても個人的にご褒美のスイーツは欠かしていないので、その辺りをツッコまれると実は大差がないような気もしてまいります。

さて、今年のおさらい会は、先生の娘さんを始め、ちびっ子の部も充実してきました。

初めから人前が苦手な子、少しずつ緊張を覚え、それと向かい合っている子、ピアノとチェンバロで同じ曲を弾き分けていた子(←同じ曲を両方で弾くって意外と大変なんです!)、小さな子って純真で、普段の世界では見落としがちなことに気が付かされます。

さらに、大人の部では、お子さまとの連弾のためにピアノを始めたのに子どもさんだけやめてしまわれたという方も。 色んなきっかけで始めて、続けてる方がいて、とてもパワーをもらいました。

私の今回のセットリストはこちら。

My Set List

(solo)
F.クープランクラヴサン曲集 第3巻より
煉獄の魂(第13オルドル)
騒々しさ(第18オルドル)
F.Couperin : Pieces de Clavecin, 3e livre
l'ame-en peine (13e ordre)
le turbulent (18e ordre)

(duo Rose)
バッハ:2台のチェンバロのための協奏曲 第1番 ハ短調 BWV 1060 第1楽章、第3楽章
J.S.Bach : Konzert fur zwei Cembali, Streicher und Basso Continuo c-moll, BWV1060

バッハの2台はBWV1060。前回の1062は3楽章だけでしたが、今回は1楽章と3楽章を弾くことにしました。

去年の東急ジルベスターコンサートでこの曲のバイオリンとオーボエのヴァージョンが演奏されてたのですが、2楽章をカットして、1楽章と3楽章でした。

2楽章はゆっくりで1と3は早いので、何となく1と3だけ続けて弾くのはダメかなと思ってたのですが、それもありなんだってなって、ちょっと目から鱗でした。

(こう書くとまるで見に行ったみたいですが、テレビで見ただけです(^^; 一度オーチャードホールで新年を迎えてみたいものですが、チケットのお値段的に敷居が高いのです。)

そんなわけで、この1と3の組み合わせをデュオローズはジルベスターと呼んでいます。

「全楽章通す? ジルベスターでいく?」

こういう符牒が結構楽しかったりします。

ソロはクープランから2曲弾きました。

去年の成果ということであれば、発表会の後はラモーとスカルラッティを練習していたのですが、年明けにチェンバロの日のクープラン リレーコンサートに参加することを決めて、クープランを始めてしまったので、ここでもクープランをやることにしました。 こういう自由度はおさらい会ならではです。

『le turbulent』は「騒がしさ」「騒々しさ」と訳されているようですが、「騒がしい人」かなと私は思っています。

もっと言ってしまうと、「騒がしい」というより悪ふざけが好きな、やんちゃ坊主のような天使やフェアリーでもよいかなと考えています(※注 思い込みです)。

私の妄想はさておき、曲のタイトルからチェンバロではもっとも賑やかな3列(8+8+4)の弦を使って弾くつもりでレッスンのときに先生に見てもらいました。

音の強弱がつかないチェンバロにとって、どの弦で弾くかを考えるのは表現の重要な一部です。

3列で弾いている途中で、れいね先生が

「8・8・4だとちょっとうるさい気がするので、8・4でやってみましょう」

と言って、上鍵盤の8フィートの連動を外しました。

高音の4フィートを使うとなると何となく豪華な8+8+4しか考えていなかったのですが、8+4の響きに新たな世界の広がりを感じます。

この曲にはこの響きがピッタリです。

おさらい会では、まだまだ弾き慣れていない感がありありでしたので、リレーコンサートまでに、もっと仕上げていきたいと思います。

チェンバロの日は5月。おさらい会では弾かなかった曲もあるので、もっとクープランと仲良くならなくては。

本番では参加されるみなさまと共に素敵な時間を作れたらと思います。


thanks for coming by.
written by coquemomo

ピアノの椅子を新調しました 〜その1〜

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平昌オリンピックも終わり、もう3月。

来年のことをいうと鬼が笑うと言いますが、昨年の話にはどのような反応をするのでしょう。

今年最初(!)となるこの記事では、昨年買った椅子について取り上げます。

買ったのはピアノ用の椅子ですが、うちにあるのはスピネットですのでスピネット用になります(*´∀`*)

座って鍵盤を弾くという点では同じなので、ピアノ用ということはスピネット用という意味で間違いありませんっ。 そう言いながらタイトルはピアノの椅子と書いた小心者…

そうそう、楽器購入の際に、オワゾリールハウスさんが「スピネットに合う椅子もお作り出来ます」と仰っておりました。

通常チェンバロの購入は受注生産になるので、椅子待ちになることはありません。

ですが、私は既に出来上がっている楽器を買うことにしたので、これだと椅子待ちになります。 それもどうかなと思い、導入を見送りました。

もっとも、諭吉先生の枚数が中々必要そうだったので、どちらにしても買えなかった気もします。

でも、どちらかと言えば、GVIDOよりも椅子を優先しちゃうと思います。だって、やっぱり揃ってたら素敵じゃないですか。(*´ω`*)

今まで使用していたのはこちら。

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子どもの頃にピアノを買ったときに付けてもらったと、こけももママは申しておりました。

そうかー、ピアノを買った頃は交渉次第では椅子が貰えたのですね。

で、ピアノを手離した際に取っておいたこちらに座って、スピネットを弾いていました。

ただ座面の破けとか、側面の化粧板の剥がれとか、 f:id:lepetitclavecin:20180124224423j:plain かなり年季がはいってきていまして、思い切って新調することにしました。

まずは今の不満を確認しましょう。

1.ボロボロである

→新品を買い替えれば解決します。

でも、実は中古も探してみました。状態のいいものがあればと思いましたが、そもそも売ってないんですね。

中古ピアノフェアみたいのに行くと見つかるそうですが、いつもやっているわけではありません。 情報収集が大変そうです。

ジモティとかで気に入ったのが貰えそうであれば、それがリーズナブルだと思いますが、こちらも配送の手間を考えて却下しました。

2.鍵盤から考えて椅子の高さがちょっと高い(気がする)

→高さ調節は必須機能とします。

ダイニングチェアをピアノでも兼用しようと思ったら、ダイニング用ではピアノを弾くには低かったというのは時折聞く話です。

ピアノのおまけの椅子は高さが調節出来ませんが、ピアノ時代にそのことを気にしたことはありませんでした。

でも、スピネットの鍵盤の高さは、持っていたピアノと比べてちょっと低くなりました。

最適な高さを知っていれば、その高さのものを購入すれば良いのですが、その高さを知るためにも今回は高さが調節出来るものを選びたいと思います。

3.横幅が長い

→普通サイズにしましょう。

おまけイスは何故か横幅が広めです。 座るだけなら優に2人座れます。ちょっと狭くはありますが。

座っても横に物が置けるのは便利だったのですが、スピネットの鍵盤の幅と比較してもアンバランスで美しくありません。

美には努力も必要なのです。どこぞのエライ人もそう言ってました。

では逆に、今までの椅子の気に入ってたポイントも確認してみましょう。 ここをちゃんと整理しないと、前の方が良かったとなりかねません。

1.茶色い

ピアノが茶色かったので不思議はないのですが、オーソドックスな黒ではないところが珍しくて、子どもの頃に自分のピアノの色と思っていました。

黒いグランドピアノに重厚な黒い椅子を合わせると、Theピアノって感じで憧れます。クールで格好いいですからね。 でも、スピネットが華やかな緑に金色の装飾なので、黒だとちょっと重い印象になりそうです。

2.猫脚なんだミャー

これはお気に入りポイントと言うよりは、家にあったのがこういう脚だったので、ピアノの椅子ってこういうものだと思っていました。

今回購入にあたって調べて、基本はまっすぐであることに気がつきました。(そして、こういう脚のことを猫脚ということも知りました。)

まっすぐの方が少し安いし種類も豊富ですが、スピネットの脚に轆轤挽きの装飾がされていることもあり、バランスも考えて、猫脚の椅子を探したいと思います。

そうそう、椅子って言ってましたが、結構ピアノスツールと書いてあることも多いんですね。

今回チェア(背もたれ有)タイプは考えていなかったので、スツール(背もたれ無)で合ってるのですが、何だかまだ違和感。

さて、何となく欲しいスツールも見えてきました。 次回は、これを踏まえて実際に候補にあげたスツールを見ていきたいと思いまスツール。

お楽しみに。


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written by coquemomo

【2017/12/06 ピエール・アンタイ&スキップ・センペ 2台チェンバロのためのシンフォニー @浜離宮朝日ホール】

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暖かい陽射しを浴びても寒いと感じると冬の始まりを感じます。 そんな中、散り始めた銀杏の葉で一面が黄色に染まっているのを見ると、秋が美しい季節であることを主張しているように感じられます。

まったりとしたアンニュイなこの時期に聴きたくなると言えば、やっぱりラモー。 この季節にピッタリのコンサートに行ってまいりました。

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演奏は、世界的チェンバリスト、ピエール・アンタイさん(写真右)とスキップ・センペさん(同左)、何と、チェンバロデュオです。 ピエール・アンタイさんの演奏を聴くのはこれが2度目になります。

きっかけは今夏。 梅岡楽器さんにスピネットを運んでもらったのですが(その時の話もいずれ書きたいと思ってます)、梅岡さんの車に同乗させてもらいチェンバロ談義に花を咲かせました。

話はラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンに到り……

「今年はオケを選んじゃったのですが、去年はチェンバロに行きました

「どれに行ったの? あそこのチェンバロは殆ど担当してるんだ」

「ピエール・アンタイさんの初日です」

「残念。それだけはやらなかった」

何とも決まりが悪い感じになってしまった数秒後、

「そういえば、アンタイ、今年来るんだよね。ラモーの2台。スキップ・センペとの。それは担当するんだ」

なぬー? ラモーの2台!

しかも、ピエール・アンタイにスキップ・センペ!!

豪華すぎるとはこのことです。

「空けときますっ!! いつですか?」

梅岡さんはスケジュールを確認してくれました。

「12月6日。8日もあるけど、武蔵野だから、6日の方が場所はいいと思う」

そんなわけで浜離宮朝日ホールにまいりました。

昨年のチェンバロ・フェスティバル以来です。

あの時はバッハの協奏曲を聴きました。

弾いたことある曲はその視点で聴いてしまうのですが、今日は弾いたことない曲ばかりなので純粋に楽しむことができます。

このコンサートはラモーのオペラ曲を2台チェンバロにアレンジしたものですが、ラモーを聴くようになったのはチェンバロを弾き始めてからで、それもクラヴサン曲以外はノーマークでしたので、オペラはほとんど聴いたことがありません。

新しい曲たちとの出会いが楽しみです。

梅岡さんの姿を見れるかなと思いましたが、私が会場に入ったときには既に調律は終えてるようでした。

チェンバロのコンサートって始まるギリギリまで調律をしているイメージなので、準備万端って新鮮です。

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2台は向かい合わせではないのですね。 まあ、最初のアイコンタクト以外はそれほど相手を見ないので問題ないとは思いますが、ちょっと不思議な感じです。

さて、ここで問題です。

向かって右はフレンチのチェンバロに昔からあるコンサートタイプの椅子

左側はジャーマンのチェンバロに最近よく見るガススプリング式の椅子

どちらがどちらに座るでしょうか。

答えは後ほど!

開演の時間になった頃に梅岡さんらしき人が舞台に現れました。

もしやピエール・アンタイさんかスキップ・センペさんのどちらかが来れなくなって、梅岡さんが代役⁉︎なんてことはなく、

チェンバロの天板を上に大きく開き、その音色を客席に届ける響板としての役目を果たすポジションにすると舞台袖に下がっていきました。

世界最高峰のチェンバロデュオを迎えるための最後の準備だったようです。

程なく、奏者のおふたりが舞台に上がり、椅子に座りました。

クイズの正解は、フレンチがスキップ・センペ、ジャーマンがピエール・アンタイでした。立ち位置(座り位置?)としては、何故かチラシの配置とは逆です。

そもそも先に提供される楽器が決まっていた場合、どちらがどちらを弾くってどう決めるのでしょうか。

そういえば、デュオ・ミュゲは演奏会ではいつも途中で楽器を交替していたのに前回のコンサートでは固定でした。

れいね先生にそのことを聞いてみたら、れいね先生が弾かなかった楽器の鍵盤が、先生は少し重たく感じ、恵美さんは気にならなかったので、そのような配置になったとのことでした。 「鍵盤の重さを調整することも可能でしたけど」と付け加えられました。

ところで、最近、椅子について色々調べていたので、椅子に目がいったのですが、最近はガススプリング式の椅子が増えてきているのですね。

高さが変えやすいのでピアノ教室とかに便利らしく、コンクールなどでも使用されているようです。

でも、ガス式に座ったことがなくて普段と全然違うタイプの椅子が出てきたら戸惑ってしまいそうです。

迫力がある華やかな2台のチェンバロの共演はすごく幸せな時間でした。

曲はラモーのいくつかのオペラ作品から曲単位で選ばれたものが3部構成で自由に配置されています。 ラ・フォル・ジュルネの構成を思い出しました。

きっとアンタイさんはこういう感じが好きなんでしょうね。

たくさんの曲の中から一つの物語を紡ぐように曲を選び出していくのはきっと楽しいんだろうなと思います。

私もあやかりたいところですが、まずはレパートリーがないと出来ませんね。

今日の演奏曲の中で有名な曲といえば、やっぱりこのタンブーランでしょうか。

Tambourins en rondeau (Pièces de clavecin, 1724 - Les Fêtes d'Hébé) (feat. Pierre Hantai, Skip Sempé)

Tambourins en rondeau (Pièces de clavecin, 1724 - Les Fêtes d'Hébé) (feat. Pierre Hantai, Skip Sempé)

  • ピエール・アンタイ & Skip Sempé
  • クラシック
  • ¥200

私が気に入ったのはこちら。

La Marais (Pièces de clavecin en concerts) (feat. Pierre Hantai, Skip Sempé)

La Marais (Pièces de clavecin en concerts) (feat. Pierre Hantai, Skip Sempé)

  • ピエール・アンタイ & Skip Sempé
  • クラシック
  • ¥200

2台の掛け合いが優雅で印象的な作品です。

今年のチェンバロのコンサートは、チェンバロの日のれいね先生とこのラモーだったので、フレンチ尽くしとなりましたが、来年はどんなコンサートに出会えるでしょうか。

2018年に弾こうと思ってる曲は大体まとまってきたのですが、聴きにいく方は聴きたいものが聴きたいときにやってるとも限らず、巡り合わせを楽しみにしたいと思います。

今年もたくさんの方にお世話になりました。 ありがとうございます。 2018年、よいお年をお迎えくださいませ。


merci de votre visite.
je vous souhaite une tres bonne annee.
ecrit par coquemomo

108円で快適でカワイイ猫の楽譜クリップ

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先日、電子楽譜の20万円という高値に意気消沈していたところですが、そんな私を知ってか知らずか、薫子さんから楽譜に使うクリップを頂きました。

このクリップ、薫子さんが使ってるのを見たことがあります。

クリップなのに凹凸がほとんどなくてスマートで、使いやすそうだったので、欲しいとは言った記憶はありますが・・・感激です。

読みたい(弾きたい)ページを開いてしっかりホールドします!

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しかも、ダイソーで108円という庶民価格。

胴長の黒猫ちゃんはデュオローズの公認ゆるキャラ採用です。

ダイソーさん非公式ですが。

紙の楽譜でまだまだ頑張りますっ(`・ω・´)


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written by coquemomo

こけもも meets 足で譜めくりできる未来の楽譜 GVIDO (グイド)

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チェンバリストの夢と言っても過言ではありません。

足でめくれる楽譜が登場しました。

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デュオローズの相方 薫子さんが「銀座で実物を見ました」と言ってたのが1ヶ月くらい前、置いているうちに見に行きたいなと思ってはいたのです。

例によって重い腰が上がらなかったのですが、銀座のAppple Storeに行くついでに寄ることにしました。

場所は、山野楽器 銀座本店 6階 ピアノフロア。

そういえば電子チェンバロを弾かせてもらったのもここでした。 色々展示してくれる良いお店ですー。

GVIDO は電子ペーパーです。 AmazonKindleとかと同じ仕組みです。 液晶じゃないので、表示がとってもキレイで、目に優しい。

私はKindleは使ったことがないのですが、昔、ソニー電子書籍リーダー Reader PRS-T2を持っていました。 その頃から電子ペーパーは見やすかったので、見る前から信頼感がありましたが、実物を見てみると、やっぱり美しいです。

ちょっと見とれてしまいます。 液晶では感じることの出来ない佇まいです。

でも、Readerはあんまり使わないまま手離したような…

存在すらすっかり忘れていましたが、何が原因で使わなくなってしまったのでしたっけ。えーと、第一印象はとても気に入ってて・・・そうです、不満は、ページめくり。

電子ペーパーは一度表示させると、表示させ続けることには電力を消費しない優れものですが、その表示までにちょっと時間が掛かります。 これになかなか馴染めなかったのです。

ほんの数秒、もしかしたら1秒も掛かっていなかったかもしれません。 それでも、紙の本を読むときにはなかったストレスがページをめくるたびにおとずれました。

でも、GVIDO は楽譜だし、そこは改善されているのでは。

期待して、画面の端にあるタッチスイッチに触れてみると、スムースに次のページが表示されます。

早い!

このくらい早ければ、きっとReaderも使っただろうに。

技術が進歩したのか、楽譜という性質上、ハイスペックなものが積まれているのか、今の電子書籍市場を知らないので何とも言えません。

とにかくこの速さなら、問題なしです。

先ほどは勧められるままタッチスイッチでページをめくりましたが、フットスイッチを試さなくては私の使命が果たせません。

ピアノと違ってペダルがないので、チェンバロ弾きの足は空いてます。更にはペダルがないということは指で押し続けなければ音を持続させられないので、足で譜めくりって理想的です。

恐る恐る踏んでみます。

おーー、めくれる!

踏み心地もいいし、踏んだだけでページが進むなんて 神業です。

勢い余って踏みまくって、あっという間に最終ページにたどり着いてしまいました。

そんなことしたら演奏出来なくなってしまうので、実際には踏みまくる場面はないのですが、どんどん踏みたくなるくらい心地よいです。

楽譜はGVIDOストアで最適化されたものを購入出来るそうです。曲単位の購入で、山野楽器の方によると1曲300円くらいとのことですが、ストアの開店は12月になるとのことで、正確には確認できませんでした。

例えばバッハの平均律第1巻のような感じでまとまって安くなるようになっているといいですね。

または、PDFファイルを自分で用意すれば、その取り込みも可能です。

付属のスタイラスペンでの書き込みも快適だし、もう紙の楽譜、いらないじゃないですか。

と思ったのも束の間。

肝心なお値段は、

18万円也。

ピンキリとは言え、紙の楽譜のリーズナブルさが際立ちます。

しかも個人的には何よりもの目玉と思ったフットスイッチは別売で3万円。

20万円を超えてきました。

一生分の楽譜を買ってお釣りがくる気がします。

楽譜って意外と高いので、1冊3000円の楽譜だと、70冊も買えないですが、今持っててまだやってないのもあるし、そこまで楽譜にお金を掛けることを全く考えたことがありませんでした。

古今東西のあらゆる楽譜が蒐集されたライブラリーが完備され、そこを自由に使えるのであれば、清水の舞台から飛び降りる覚悟も出来るかもしれませんが、マイナーな曲をスキャンしている自分が目に浮かびます。

何にせよ物は本当に上質でいいものなので、お金に余裕のある方で紙の楽譜に拘りがなければ、絶対オススメします。

私ですか? GVIDO の開発費が回収されて、廉価版が発表になった段階で検討したいと思います。

しかし、このニッチな商品は大量生産にならないでしょうから、価格設定は高めのままいく可能性も大いにあるわけで・・・

前世で悪いことをしたのか、まだまだ譜めくり地獄から解放されそうにありません。

何を償えば、赦してくれますか?


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written by coquemomo